炉心溶融マニュアルの隠蔽・公表遅れに抗議、責任の明確化を求める
2016年 03月 17日
内容は、以下のテーマ。
① 炉心溶融マニュアルの隠蔽と炉心溶融の公表遅れに抗議し、責任の明確化を求める要請書の提出
② 福島第一原発1号機2号機共用排気筒の安全対策を求める要請書への回答
③ 被曝労働者の待遇改善、汚染水など、これまでの質疑への再々回答
④ その他
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東京電力株式会社 代表執行役社長 廣瀬 直巳様 2016年3月17日
炉心溶融マニュアルの隠蔽と炉心溶融の公表遅れに抗議し、責任の明確化を求める要請書
福島原発事故から5年の月日が流れた。しかし、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていない。福島第一原子力発電所は、事故収束の見通しも立たず、毎日大量の放射性物質を大気中に放出し、汚染水を海洋に流出し続けている。未だに約10万人余の被災者が避難生活を強いられている。事故の収束にはほど遠い状況だ。連日7千人以上が従事する事故収束作業の現場では、労災死亡事故が相次ぎ、熟練労働者が離脱するなど、多重労務構造下での厳しい被曝労働という労働環境にある。
こうした状況下にあって、貴社は2月24日、「福島第一原子力発電所事故当時における通報・報告状況について」を公表した。
これは、新潟県の安全管理に関する技術委員会において、「メルトダウンの定義がなかったため、炉心状況の解析結果に基づき、メルトダウンの公表が2か月後となった」と説明して追及されたため、貴社が事故当時の情報発信を調査した結果、「当時の社内マニュアル上では、炉心損傷割合が5%を超えていれば、炉心溶融と判定することが明記されている」、これまで「マニュアルを十分に確認せず、炉心溶融と判定する根拠がなかったという誤った説明をしており」、今後「社内マニュアルに則って、炉心溶融を判定・公表できなかった経緯や原因、および当時の通報・報告内容等」の詳細調査を行うという内容だ。
核燃料が溶け落ちる炉心溶融の判断基準を定めたマニュアルがあったにもかかわらず、核燃料を扱う事業者が誰も気づかなかったという。社内で作成したマニュアルが組織的に共有されていなかったというのは、俄には信じ難い話である。
社内マニュアルに則って、炉心溶融を判定していれば、2011年3月14日早朝には1、3号機で炉心溶融が起きたと判断できた。しかし、貴社は当時、繰り返し「判断基準がない」と説明し続け、事故から約2カ月後の2011年5月になってはじめて、炉心溶融を公式に認めた。
当時の原子力災害対策特別措置法では、炉心溶融と判断した場合、直ちに国に報告することが義務付けられていたが、これを怠り、東日本全域の広範な国土を汚染し、周辺住民はもとより多くの市民に無用な被ばくを強制し、取り返しのつかない事態を招くこととなった。この結果責任は極めて重大である。
事故後5年間、この事実を公表せず隠蔽してきたことは、極めて遺憾であり、到底許される行為ではない。厳重に抗議するとともに、下記の通り要請し、回答を求める。
記
1、事故後5年間、炉心溶融マニュアルの存在を隠蔽した組織的経過を明らかにすること。
2、炉心溶融の事実を2ヶ月間公表しなかった背景並びに組織的指示系統などに明らかにすること。
3、本件の責任の所在を明らかにすること。
以上
命を守る三春の会 風下の会福島 脱原発の日実行委員会福島 脱原発福島ネットワーク
脱原発緑ネット ハイロアクション福島 福島原発30キロひとの会 双葉地方原発反対同盟 フクシマ原発労働者相談センター ふくしまWAWAWA―環・話・和―の会
