11月16日、いわき市議会創世会の研修で横浜市役所の横浜市会に伺いました。調査事項は、「横浜市中小企業振興基本条例の取り組み実施状況について」です。横浜市の経済局及び財政局の担当者から聞き取りを行いました。 横浜市の中小企業振興基本条例は、平成22年に自民党、民主党、公明党の3市会議員団から提案され全会一致で可決、公布、施行されたものです。いわゆる議員提案によって成立しました。
条例の目的は、「市内中小企業の振興に関する施策を総合的に推進することにより、市内経済の発展及び市民生活の向上に寄与すること」です。
条例の内容には、市の責務や市内中小企業者の努力、大企業等の役割、市民の理解と努力などのほか、中小企業振興施策の基本方針として「経営革新、経営基盤強化を促進する施策の推進」「市が行う工事発注、物品・役務の調達等における受注機会の増大」がかかげられ、市会に対して毎年、中小企業振興施策の年次報告が義務づけられています。
横浜市の取り組み状況は、全庁的推進体制として横浜市中小企業振興推進会議を設置するとともに、年度方針の庁内への周知と共有化、調達業務等での市内中有小企業の受注機会の増大、「横浜市中小企業振興基本条例に基づく取組状況報告書」の公表等を実施しています。横浜市は、推進会議を設置や報告書の公表によって、全区局がPDCAサイクルを継続的にまわす推進体制を確立でき、職員の意識を高める効果があったとしています。また、地域特性を踏まえた各区における取り組みとして、市内18区で執行している区配予算の中で1割弱の「個性ある区づくり推進費」を活用し、1区あたり1億円を配分して商店街活性化イベント助成事業を実施していることも報告されました。
横浜市では、工事・物品及び委託契約における受注機会増大に向けた取り組みを確実に実施して、市内の中小企業の振興に向けた施策を実施していました。議員提案のため、毎年議会に実施状況を報告することが、取り組み推進の大きな役割を果たしています。
いわき市では、本年4月から「いわき市中小企業・小規模企業振興条例」が施行されました。しかし、「市が行う工事発注、物品・役務の調達等における受注機会の増大」等の中小企業振興施策について、横浜市のように市議会に対して毎年の報告が義務づけられていないなど、限界もあります。
今後は、市議会に対して毎年、中小企業振興施策の年次報告の義務づけなど、本市の条例の改正も視野に入れて、中小企業振興施策の「市が行う工事発注、物品・役務の調達等における受注機会の増大」などに、実効性ある基本方針を確立する必要があります。