市長に来年度予算要望書を提出
2016年 11月 21日
東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から5年8ヶ月、収束をみない原発事故、放射能汚染水問題、原発事故避難者との共生など課題が山積するいわき市の現状にあって、平成28年度からの復興・創生と位置付けた、いわき市の改定・後期基本計画では、市民の身近な生活環境の整備などの復興・創生事業が求められています。
いわき市議会創世会は、平成29年当初予算編成に臨んで、いわき市内の各種団体からの要望を承った上で、清水市長に対して、財政健全性の確保を基本に、市民の願いを重視して、市民生活を守る市民本位の予算編成に取り組むよう、予算要望を行いました。
執行部からは清水市長、上遠野副市長、鈴木副市長が出席、総合政策部長、財政部次長らも同席しました。
平成29年度 予 算 要 望 書
平成28年11月21日
いわき市長 清水 敏男 様
いわき市議会 創世会
会 長 上壁 充
平成29年度 予算編成に対する要望
市当局におかれては、本市の発展と市民福祉の向上のため懸命の活動を展開されておりますことに対し、心より敬意と感謝を申し上げます。また、私たちいわき市議会創世会の議会活動につきましても、特段のご支援・ご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。
さて、5年8カ月前の3月11日の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の大事故によって、地震、津波、放射能による未曽有の被害を受けた本市は、未だにその爪痕が各地に残り、収束をみない原発事故、放射能汚染水問題、原発事故避難者との共生など課題山積の現状です。
このような中、本市は東日本大震災以降5年間の復興事業計画を策定し、防潮堤・防植林や災害復興公営住宅の建設・入居など、ハード面での復興事業は計画通り進められてきました。今後は、平成28年度からの復興・創生と位置付けた、改定・後期基本計画は、市民の身近な生活環境の整備などソフト面での復興・創生事業が求められております。
私たちいわき市議会創世会は、本来の自治と分権を市民とともに創り上げていくために、本市の行財政運営が、何よりも市民本位の立場に立って、市民参画を基本として事務事業の発案、決定、執行、検証、次期方針の決定についてのルール化を図り、進めていくことが肝要と考えております。
また、平成29年当初予算編成に臨んで、私たちいわき市議会創世会は、今回もいわき市内の各種団体からの要望を承ったところであります。
清水市長におかれましては、市民の厳しい環境を念頭に、財政健全性の確保を基本としながら、市民の願いを重視して、市民生活を守る市民本位の予算編成に取り組んで頂くようお願い申し上げます。
以下の項目について、要望致しますので、平成29年度予算編成にご配慮いただきますようお願い申し上げます。
1 震災復興の生活環境の整備
(1)事業及び営業、自主避難など30キロ圏外の原子力災害に伴う充分な損害賠償を引き続き東京電力に求めること。
(2)放射線量を下げるため、子どもの生活の場をはじめ地域の除染活動を東京電力と国の責任で行わせること。
(3)子どもたちのために、保護者の不安解消や心のケアにも取り組み、保育士や教員のケアなど支援体制を強化すること。
(4)一刻も早い市内全域の側溝堆積物の撤去を実施すること。
(5)中間貯蔵施設の早期整備・早期搬入を国に求めること。
(6)原発事故の収束と廃炉に向けた政府機関として「事故収束廃炉庁」の設置を国に求めること。
(7)原発事故による健康被害を防止するため、子どもたちのリフレッシュ保養の制度化を国に求めること。
(8)原発事故による健康被害を防止するため、福島県内外における健康診断の充実・拡充と医療費の減免について「原発事故子ども・被災者支援法」第13条第2項・第3項の具体化のための立法措置を国に求めること。
(9)原発事故避難者への住宅無償提供の継続を県と国に求めること。
(10)災害時及び復旧・復興に向けた業務に対応出来るよう、現業職を含めた正規職員を雇用し適正な人員管理を図ること。
2 医療・福祉の充実
(1)甲状腺検査など健康管理について、白血球分画などの血液検査等を追加するとともに国の直轄事業を求めること。また、いわき市独自で検査体制を確立し、アドバイスが出来る専門機関等を作り、健康管理体制をしっかり構築すること。
(2)新病院内に障がい児の早期発見、早期療育の機能を持つ専門の医師、スタッフがいる療育センターなどの機能を設置すること。
(3)生活習慣病(糖尿病等)及び慢性腎臓病の予防・治療対策を推進すること。
(4)総合磐城共立病院診療スタッフの充実強化支援策を早期に実施すること。
(5)総合磐城共立病院において、透析医療の常勤医師を確保し拡充すること。
(6)健康診断へポイント制度の導入と地元商品等の交換を行う、(仮称)健康マイレージ事業の創設をすること。
(7)障がい当事者も参加した障がい者用の防災避難計画を策定すること。
(8)地元中小企業への市独自の障がい者雇用助成金の創設、障がい者多数雇用企業へ減税・助成等の施策で障がい者雇用推進を図ること。
(9)障がい者の通勤・通学に関して移動支援等での福祉サービス や制度の利用を図ること。
(10)いわき市職員の障がい者雇用を促進すること。
(11)いわき市のチャレンジ雇用において雇用期間の拡大と部署の拡大を図ること。
(12)福祉避難所となった指定事業所に対し、受け入れ環境の整備を支援すること。
(13)障がい者が移動支援を利用の際、自宅またはグループホームから通院し、終了後福祉サービス事業所などへ通所したくても現行制度では、一旦出発地である自宅またはグループホームへ戻らなくてはならないような不便さを解消し、使いやすい制度にすること。
(14)福祉施設のスタッフ確保のためのいわき市独自の待遇改善策や就職支援策を検討すること。
3 教育の充実
(1)小中学校の普通教室にもエアコンを設置すること。
(2)被災に係る児童・生徒への就学援助について、平成29年度以降も引き続き行うように国に求めること。
(3)文部科学省が作成した「放射線に関する副読本」は内容的に問題があるので改善を働きかけること。
(4)学習困難児童・生徒のための学習支援員、生活支援員の配置を拡大すること。また、支援員の賃金引上げなど待遇改善を行うこと。
(5)学校令達予算を増額し、保護者負担軽減を図ること。
(6)教職員用のパソコンを1人につき1台配当すること。
(7)1学級30人以下の少人数学級を計画的に中学校3年生まで実施するよう、国に要望すること。
(8)教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため、義務教育費国庫負担制度を引き続き堅持し、国負担割合を2分の1に復元するように国の関係機関に働きかけること。
(9)教職員が子どもと向き合う時間を十分確保し、きめ細やかな教育が実施できるように、自治体からの学校を通した子どもたちの作品募集や行事への参加依頼、各種調査及び会議招集については最小限にとどめるよう教育委員会と連携した取り組みを進めること。
(10)教職員の多忙化・過重労働を解消するよう教育委員会と具体的な対策を進め、教職員の健康保持・増進に努めること。
(11)「スチューデント・シティ」「ファイナンス・パーク」の体験学習に参加するための交通費を公費で負担すること。
(12)学校トイレの洋式化を順次進めること。
4 生活環境の整備・充実
(1)下刈り、枝打ち、除伐、間伐等、花粉症対策のためにも総合的な林業の拡充を図ること。
(2)鳥獣被害対策として、侵入防止対策、個体数の調整、周辺環境の整備、捕獲報償金の予算確保など総合的な対策を強化すること。
(3)10年以上経過した、いわき市営テニスコート芝の全面改修をすること。また照明設備のあるテニスコート整備を行うこと。
(4)治安の観点から地域の要望のある場所に防犯カメラを設置すること。
(5)(仮称)動物愛護センターを早期整備すること。
(6)飼い主のいない猫への不妊去勢手術の助成制度を創設すること。
5 社会基盤の再生・強化
(1)老朽化した支所等の改築にあたっては、支所機能と地域活性化を図る総合施設として順次整備すること。
(2)道路改修補修等の土木、公園・市施設の維持補修費を増額すること。
(3)中心市街地活性化法に基づく事業計画の策定及び国による認定の実現へ向け努力すること。
(4)常磐線の新幹線の導入促進を図ること。
(5)JR勿来・植田・内郷・四倉駅構内路線跨線橋へエレベーターを設置するようJRへ働きかけること。
6 経済・産業の再生・創造
(1)家庭用太陽光発電機の設置の助成を拡大すること。
(2)企業進出の受け皿となる産業用地の確保をすること。
(3)就職支援、起業・承継支援、居住支援、各種生活情報提供などをワンストップで実施するUIJターン受け入れ環境の整備をすること。
(4)湯本温泉街等を滞在型観光地・街なか散策が出来るように各所へのトイレ・見やすい観光案内看板・歩道などの整備をすすめること。
(5) 小名浜地区における中心市街地活性化計画の策定について、本市とパートナーシップ協定を結ぶまちづくり団体と協働して促進すること。
(6)公共工事における、賃金確保条例(公契約条例)の制定をすること。
(7)小規模修繕契約希望者登録制度において登録業者を増やす取り組みを行うとともに、発注については登録業者への発注を完全実施すること。
(8)住宅リフォーム助成制度において要件の緩和・補助金の上限の増額などを拡充すること。
(9)農業の振興策、直売所・6次化加工所の整備への支援すること。
(10)漁業経営改善普及事業費補助金の支給継続を行うこと。
(11)漁業再開支援業務の継続・増大と業務内容を拡大すること。
(12)今年度実施したまちなか周遊無料シャトルバスを継続すること。
