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カジノ解禁推進法に抗議・廃止の日弁連声明

「カジノ解禁推進法」=「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」、カジノを含む統合型リゾート整備を政府に促す法律(IR推進法)が、12月15日未明の衆院本会議で成立しました。これは、参議院が議決した修正を自民党などの賛成多数で可決したものです。これを受けて、政府は施行から1年以内をめどにカジノ解禁に伴う法規制などを定めた実施法案を策定することになります。大阪府はじめ複数の自治体が誘致に名乗りを上げており、2020年東京五輪・パラリンピック後の開業という見通しが報道されています。
 これに対して、日本弁護士連合会は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し、廃止を求める会長声明を、公表しました。以下、掲載します。

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し、廃止を求める会長声明

本日、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下「カジノ解禁推進法」という。)が成立した。

当連合会は、去る11月30日には、同法案の審議入りに当たり、会長声明を公表し、改めてカジノ解禁推進法案に反対し、廃案を求めた。カジノ解禁推進法案には、暴力団対策上の問題、マネー・ローンダリング対策上の問題、ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題再燃の危険性及び青少年の健全育成への悪影響等看過できない問題点が多数含まれている。

ところが、衆議院内閣委員会では6時間という極めて短い審議時間で採決が強行された。その結果、多くのメディアからも同法案の内容のみならず審議の過程への懸念が指摘されていた。さらに、参議院内閣委員会では、基本法たる刑法が賭博を犯罪とするなかで民間賭博を認めることの、法秩序全体の整合性の点からの問題点も改めて浮き彫りとなったが、同委員会でも、十分な審議は行われず、修正案についても修正動議の後わずか数十分の審議で可決された。こうした在り方は、国会が国民各層の意見を慎重に吸い上げる言論の府の役割を事実上放棄するに等しい。

カジノ解禁推進法は、我が国では、現行刑法制定以前から歴史的に厳に禁止され、刑罰の対象とされてきた賭博行為を、特定の場所、特定の者に限定して非犯罪化するものであり、また、民間賭博を初めて正面から公認するという、我が国の刑事司法政策に重大な変更をもたらすものである。この点からも慎重な審議を要するものであったが、今回のカジノ解禁推進法の審議過程は、あまりに短時間で、拙速にすぎるものであった。

また、委員会採決に当たっては、附帯決議において、弊害に対応した対策をとることを明らかにしたものの、その内容は抽象的な表現にとどまっており、いまだいかなる対策が講じられるかについての具体的な提案もされていない。

以上のとおり、カジノ解禁推進法は、当連合会がかねてから指摘している問題点についての解消策が全く講じられておらず、その審議経過も拙速といわざるを得ない。

よって、当連合会は、カジノ解禁推進法の成立に強く抗議し、その廃止を求める。

2016年(平成28年)12月15日
日本弁護士連合会      
 会長 中本 和洋 
カジノ解禁推進法に抗議・廃止の日弁連声明_e0068696_8161576.png

by kazu1206k | 2016-12-15 23:02 | 文化 | Comments(0)

佐藤かずよし


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