県民健康調査甲状腺検査で要請書
2017年 05月 09日
要請に対して、県民健康調査課の担当は、「意見を伺い、業務の中で生かしていく。具体的な対策については答えられない」、というもので、当時4歳だった子どもや親からの相談があれば、県のサポート事業に該当するので対応したい、という回答がありました。武藤共同代表は、このような事例が他にもあるかもしれないので、県立医大と連絡を取り合ってほしいと要請、今後5月か6月に予定される県民健康調査検討委員会に、今回の件について県民からの要請の内容を報告してほしい旨伝えました。
以下に、要請書を掲載します。
要請書
福島県知事 内堀 雅夫 様
県民健康調査課課長 鈴木 陽一 様
2017年5月9日
3月30日の報道により、福島県立医科大学(以下、「県立医大」)がこれまで県民健康調査甲状腺検査で公表してきた以外にも、甲状腺がんと診断され摘出施術を受けていた4歳児がいたことが明らかになりました。
その同日、県立医大は、二次検査で経過観察となったのちに甲状腺がんと診断し手術をしても、県民健康調査の「悪性ないし悪性疑い」として報告はしないと、放射線医学県民健康管理センターのホームページ上にて公表しました。
しかし2015年2月に開かれた福島県県民健康調査検討委員会(以下、「検討委」)の第5回甲状腺検査評価部会では、当時甲状腺検査を担当していた県立医大の鈴木眞一教授が、「経過観察中に発見された悪性腫瘍」は「別枠で報告になる」と発言しています。結局これが現在まで検討委に示されていなかったことが明らかになりました。
検討委がまとめた「県民健康調査における中間とりまとめ」では、事故時5歳以下の甲状腺がんの発見がないことを「放射線の影響とは考えにくい」とする根拠の1つとしており、県はそれを受け対応を策定しています。さらに2016年、日本財団が主催した第5回福島国際専門家会議にてまとめられ、12月に知事に提出された提言では、4歳以下の甲状腺がんの発見がないことを理由の1つにして原発事故との関係を否定しています。
今回、4歳児の甲状腺がんの発症が明らかになったことは、これらの見解の前提を覆す重大な事実です。
県立医大は、県民健康調査甲状腺検査において経過観察とされた対象者の、その後の症例を速やかに調査し検討委に報告するべきです。そして検討委は、その新たな情報を踏まえ、中間とりまとめの内容を見直すべきです。特に県立医大が、5歳以下の甲状腺がんの有無が検討委で議論になっていることを知りながら報告しなかったことは、その隠ぺいすら疑われる行為であり、県民健康調査自体の信頼を大きく棄損しかねません。
県は実施主体として、県立医大に対し、以下のように強く指導・指示するよう要請いたします。
尚、要請に対する回答は文書にて、5月22日までにお送り下さいますよう、よろしくお願いいたします。
記
1、県立医大に対し、県民健康調査甲状腺検査で経過観察中に県立医大の医師が診察・診断している甲状腺がんについて、検討委員会に報告し、公表するよう指示すること。
2、県立医大に対し、県民健康調査甲状腺検査で経過観察中に県立医大以外の医療機関で診断している甲状腺がんについて、把握する仕組みを確立させ、検討委員会に報告し、公表するよう指示すること。
以上
原発事故被害者団体連絡会(加盟21団体)
共同代表 長谷川健一
共同代表 武藤類子
原発事故被害者団体連絡会
連絡先:田村市船引町芦沢字小倉140-1
080-2805-9004
hidanren@gmail.com
【賛同団体】
原発被害者訴訟原告団全国連絡会(加盟21原告団)
「避難の権利」を求める全国避難者の会
原発災害情報センター
会津放射能情報センター
避難の協同センター
認定NPO法人アウシュヴィッツ平和博物館
虹とみどりの会
緑ふくしま
市民による健康を守るネットワーク
あぶくま市民放射能測定所
3a郡山
いのちを守る三春の会
フクシマ・アクション・プロジェクト
ふくしまWAWAWA―環・話・和―の会
原発いらない福島の女たち