質疑の報告−安藤ハザマの除染不正請求、ため池の放射性物質対策
2017年 11月 10日
質疑の詳細をご報告します。
ちなみに、議案等に対する質疑は、意見を述べることはできないルールです。
質疑項目は、以下の通りです。
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1 市長提案要旨説明について
(1)市政を取り巻く諸問題についてのうち、本市発注の除染業務委託に係る不正請求への対応について
2 議案第22号 平成29年度いわき市一般会計補正予算(第3号)について
(1)歳出6款1項7目農地費の農地等保全管理事業費のため池等放射性物質対策事業費について
(2)歳出7款1項3目企業誘致対策費の企業立地対策推進費の工場等立地奨励金について
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35番、創世会の佐藤和良です。ただいまより、質疑を行います。
大きな第一点は、市長提案要旨説明について、であります。
一つは、市政を取り巻く諸問題についてのうち、本市発注の除染業務委託に係る不正請求への対応について、です。
1点目、本市発注の「久之浜・大久地区除染業務委託」について、契約内容は時系列的にどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
当初の契約は、平成24年10月11日付けで締結し、委託期間は同日から平成25年3月29日まで、委託料の額は26億7,750万円としておりました。
平成25年3月26日には第1回目の変更契約を行い、委託期間を平成26年3月24日まで延長いたしました。
平成26年3月20日には第2回目の変更契約を行い、委託期間を平成26年7月31日まで延長するとともに、委託料の額を50億4,203万7,182円に増額いたしました。
平成26年7月29日には第3回目の変更契約を行い、委託期間を平成26年8月29日まで延長し、平成26年8月28日には第4回目の変更契約を行い、最終的な委託料の額を56億5,768万3,060円に増額いたしました。
2点目、本市発注の「久之浜・大久地区除染業務委託」にかかる不正請求の経緯は、どのようなものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
本年6月7日付けの新聞紙面において、株式会社安藤・間が、本市及び田村市から受注した除染業務委託に関し、作業員の人数や宿泊単価等を改ざんした領収書を提出し、費用を不正に取得した疑いがあるとの報道がなされました。
これを受け、6月9日に、株式会社安藤・間において記者会見を開催し、現場担当者が領収書の改ざんを下請業者に指示した事実が確認されたことが報告され、6月14日には、同社社長が来庁し、市長への謝罪を行いました。
その後、6月19日に、東京地方検察庁特別捜査部が株式会社安藤・間への強制捜査に着手し、9月28日には、田村市発注の除染業務に関し、同社東北支社の社員2名を詐欺罪で在宅起訴したことが東京地方検察庁特別捜査部から発表されました。
本市発注の案件に関しましては、詐欺罪としての起訴は見送られましたが、10月12日に、株式会社安藤・間より、改ざんした領収書を提出するという非常に不適切な行為が確認されたため、修正協議を行いたいとの申し出がなされたところでございます。
3点目、株式会社安藤・間を代表とする共同企業体による本市発注業務について、東京地検特捜部が、本市の事務手続きに不適切な点はなく、受注者側の提出した領収書に虚偽があるものの詐欺罪の起訴を見送ると判断したことについて、何らかの説明は受けたのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
東京地方検察庁特別捜査部からは、田村市発注の除染業務に関し、同社東北支社の社員2名を詐欺罪で在宅起訴したことが発表された後で、本市の事案については、諸般の事情を総合的に勘案して判断した結果、起訴をしないこととなった旨のお話をいただいたところでございます。
4点目、株式会社安藤・間による改竄領収書の修正協議の文書申し出について、この修正協議はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
申し出を受けた後、現在まで2回の協議を行っておりまして、関係資料の提出と、その内容の説明を受けているところであります。
5点目、本件発注業務における指名停止措置について、市競争入札有資格者指名停止等措置要綱による株式会社安藤・間に対する12ヶ月の指名停止措置は、情状を勘案した時、同要綱第4条を踏まえて妥当なものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
今回の不正請求に対しましては、市建設業者選定委員会の審議を経て、要綱第2条別表に定める基準の最長である12か月の指名停止措置としたところであります。
要綱第4条におきましては、極めて悪質な事由が認められる場合、指名停止期間を2倍まで延長できる旨を定めており、今後、新たな事実が判明した場合には、その適用について、判断してまいりたいと考えております。
なお、田村市においては、同市発注の除染事業に関し、株式会社安藤・間の社員が詐欺罪の容疑で在宅起訴されたことを受け、12か月の指名停止措置を講じているところであり、
今回、本市は、田村市と同等の12か月の指名停止措置を講じていることから、現状においては、適正な指名停止期間であると考えております。
6点目、本件発注業務における共同企業体への指名停止措置について、安藤ハザマ・水中共同企業体としての契約ですが、同要綱第3条の共同企業体への指名停止措置はどうなるのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
要綱第3条におきましては、共同企業体に対する指名停止について、当該事案に一定の責めを負うと認められるときには、その構成員に対しても、指名停止を行う旨を定めているところであります。
今回の不正請求に関しては、株式会社安藤・間から、同社における、改ざんした資料を提出するという不適切な行為が確認されたとして、修正協議を行いたい旨の文書が提出されたことから、同社に対する指名停止措置を講じたものであります。
なお、共同企業体のうち、同社以外の業者への対応については、新たに事実が判明した場合において指名停止措置の対応を検討することになりますが、現時点では、措置する考えはありません。
7点目、当該業務における宿泊費等の支出内容について、不正請求額の確定を含めて資料に基づく再確認などはいつごろまでに終了するのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
現在、関係資料の提出とその内容の説明を受けておりますが、今後、環境省、福島県及び田村市と連携しながら、その内容を確認し、不正請求額を確定する必要がありますことから、現時点においては、協議の終了時期を明確にお答えする状況には至っておりません。
8点目、不正請求と認定された金額の返還について、いつ頃を目処に返還を実現させるのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
現時点においては、返還時期についても明確にお答えすることは困難ではございますが、不正請求と認定された額が確定し次第、速やかに返還を求めていく考えでございます。
9点目、本件、除染業務委託に係る不正請求を見抜くことは困難なことだったのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
市といたしましては、今回の対象事案である除染業務委託の宿泊費に係る領収書等について、所定の手続に従い、項目や件数、金額等を確認の上、支出しているところでございます。
その確認の対象となる領収書等が契約上の信義則に反して改ざんされ、さらにその根拠となる下請事業者との契約書も改ざんされた今回の場合、その不正を見抜くことは極めて困難であると思っております。
10点目、本件に関する本市としての対応は、どのように推移してきたのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
市といたしましては、不正取得疑いの報道があった本年6月7日に、「株式会社安藤・間に対し厳正なる調査を求める」ことや、「環境省・県と連携しながら事実関係を見極め、厳正に対応していく」ことを表明し、また、6月14日に、株式会社安藤・間の社長が謝罪に来庁した際にも、「除染事業というのは、本市にとってはなくてはならない事業であり、その中での今回の不正は、著しく信頼を損ねる行為である。市の行う調査に対して誠意をもって協力するよう」申し伝えたところであります。
その後、環境省、福島県、田村市及び本市において、株式会社安藤・間の不正請求に関する協議の場を設け、それぞれの発注内容等の確認や情報交換などを行ってまいりました。そのような中、6月19日に東京地方検察庁特別捜査部による強制捜査が行われたため、株式会社安藤・間との個別の支出に係る具体的な検証作業は実施できない状況にありましたが、10月12日に、株式会社安藤・間から修正協議の申出があったことを受け、現在、協議を進めているところでございます。
11点目、本市としては、再発防止にどう取り組むのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
今回の事案は、契約上の信義則に反し、相手方から内容虚偽の領収書等が提出されたことによるもので、捜査権を持たない本市が、下請事業者に対し効果的な調査を行うことも難しいことから極めて困難な事例であり、再発防止のためには、企業の事業活動に関わる法令等の遵守の徹底とモラルの向上を図っていくことも必要であると認識しております。
このようなことから、環境省においては、本年10月4日付けで、一般社団法人日本建設業連合会や一般社団法人全国建設業協会に対し、「今後の除染・中間貯蔵施設・放射性物質汚染廃棄物処理の安全・安心な事業の推進について」を通知しまして、福島の復興事業に対する信頼回復のため、企業統治の強化や法令遵守の徹底等を図るべく注意喚起を行っているところでございます。
大きな第二点は、議案第22号 平成29年度いわき市一般会計補正予算(第3号)について、であります。
一つは、歳出6款1項7目農地費の農地等保全管理事業費のため池等放射性物質対策事業費について、です。
1点目、ため池等放射性物質対策事業について、本事業の進捗状況はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(農林水産部長)
ため池等放射性物質対策事業の進捗状況につきましては、県が、平成25年度から27年度にかけて市内373箇所の農業用ため池等を対象にため池の取水口部1箇所についてモニタリング調査を行い、ため池の水底にある堆積物であるいわゆる「底質」の放射能濃度が8,000Bq/kgを超えるため池等が19箇所確認されたところであります。
これら19箇所については、本市が、平成28年度にため池底質の全体的な汚染分布図等を作成する「詳細調査」を実施した結果、8箇所のため池等について、一定の範囲において8,000Bq/kgを超える放射能濃度が確認されたところであります。
2点目、ため池等放射性物質対策事業費について、これまでの実績はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(農林水産部長)
ため池等放射性物質対策事業費につきましては、平成28年度からの事業であり、実施した19箇所の「詳細調査」の事業費は、約5,800万円となっております。
3点目、ため池底質の放射性物質対策分布状況の調査実施など、今回の内容はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(農林水産部長)
今回の調査の内容につきましては、県が平成27年度に実施したモニタリング調査により、底質の放射能濃度が2,000㏃/㎏を超えるため池等60箇所を再度対象として平成28年度にモニタリング調査を実施した結果、底質の放射能濃度が8,000Bq/kgを超えるため池等が新たに2箇所確認されたことから、この2箇所について、これまでに実施した「詳細調査」と同様の調査を行うものであります。
4点目、ため池等放射性物質対策事業の今後の見通しは、どうなっているか、お尋ねします。
—答弁(農林水産部長)
今後の見通しにつきましては、詳細調査の結果、底質の放射能濃度が8,000Bq/kgを超え、底質の除去等が必要となるため池等について、地元の理解を得た後、実施設計を組み対策事業を実施する予定であります。
二つは、歳出7款1項3目企業誘致対策費の企業立地対策推進費の工場等立地奨励金について、です。
1点目、工場等立地奨励金について、交付対象事業者が3社増加したとされるますが、増加した3社の概要はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
工場等立地奨励金につきましては、工場等の新増設に係る操業開始の日から90日以内に申請を受け、操業開始から1年経過した後に投資額や雇用状況などの要件を審査した上で、交付決定をすることとなっております。
今回は、補正の対象となる3社は、昨年度の平成29年度当初予算編成時以降に交付申請があった事業者で、その概要は、曙ブレーキ工業株式会社による、自動車用テストコースの新設、株式会社ファルテックによる、自動車のプラスチック部品製造ラインの増設、株式会社海神(わだつみ)による、干物加工を行う工場の新設であります。