質問報告1-原子力災害対策ー弾道ミサイル攻撃、甲状腺検査、避難者の支援
2017年 12月 12日
1 いのちを守る、原子力災害対策について(第1回)
(1)弾道ミサイル攻撃と東京電力福島第一・福島第二原子力発電所について(第1回)
(2)米の全量全袋検査について(第1回)
(3)県民健康調査・甲状腺検査と子どもたちへの支援について(第1回)
(4)本市から市外への避難者の支援について(第1回)
2 水産業の再生について
(1)本市の水産業の現状について
(2)第二期いわき市水産業振興プランと「小名浜のカツオ」再構築について
3 いわき市の再生と地域課題の解決について
(1)タウンモール・リスポ閉館に伴う影響と跡地利用について
(2)地域活性化をめざす商店街・空き店舗等のリノベーションまちづくり支援について
第1回は、「1 いのちを守る、原子力災害対策について」の「(1)弾道ミサイル攻撃と東京電力福島第一・福島第二原子力発電所について」「(2)米の全量全袋検査について」「(3)県民健康調査・甲状腺検査と子どもたちへの支援について」「(4)本市から市外への避難者の支援について」、です。
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35番、創世会の佐藤和良です。
通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、いのちを守る、原子力災害対策について、であります。
1点目は、弾道ミサイル攻撃と東京電力福島第一・福島第二原子力発電所について、です。
昨年8月以来、朝鮮半島情勢の緊迫化によって、朝鮮民主主義人民共和国による弾道ミサイル攻撃の危険性を認定し、自衛隊法82条の3に規定された、命令により自衛隊の部隊が日本領空又は公海において、弾道ミサイルの撃破を行う破壊措置命令が常時発令されています。
国民保護法は、武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置を規定しています。そこで、以下伺います。
①まず、弾道ミサイル攻撃と東京電力福島第一・福島第二原子力発電所への着弾時の被害想定ついて、弾道ミサイルが原子炉建屋周辺へ着弾して、2011年の東日本大震災時のように全電源が喪失した場合、また、弾道ミサイルが原子炉建屋に着弾し原子炉格納容器が破壊された場合、さらに、弾道ミサイルが原子炉建屋と原子炉格納容器を貫通し原子炉圧力容器を直撃した場合など、本市は大量の放射性物質が拡散し甚大な被害がでる事態をどのように想定しているか、お尋ね致します。
—答弁(危機管理監)
本市におきましては、国の国民保護計画に基づきまして武力攻撃事態等が発生した場合に、市の住民の生命、身体及び財産を保護するための措置を的確かつ迅速に実施することを目的としたいわき市国民保護計画を策定しているところであり、当該計画では、原子力事業所が攻撃を受けた場合の主な被害として、大量の放射性物質等が放出され、周辺住民が被ばくしてしまうことや、放射性物質により汚染された飲食物を摂取した住民が被ばくしてしまうことなどを想定しております。
②次に、東京電力福島第一・福島第二原子力発電所への弾道ミサイル攻撃に伴う避難・防災計画について、福島原子力発電所の原子炉が弾道ミサイルの直撃を受けた場合を想定した、本市の避難・防災計画はどのようなものか、お尋ね致します。
—答弁(危機管理監)
万が一、福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所が、弾道ミサイル等により被害を受けた場合には、市の区域への影響も想定されますことから、その対処については、市国民保護計画で市地域防災計画(原子力災害対策編)及び市原子力災害広域避難計画を準用するよう定めているところであります。
初期対応におきましては、原子力発電所の状況を踏まえ、適切な防護措置を判断するための基準である「緊急事態区分」に応じ、市民の皆様に対して、屋内退避等の防護措置を講じることとしております。さらに万一、放射性物質が拡散し、市内の空間放射線量率が上昇した場合には、周辺住民における被ばくの影響を回避するための防護措置の判断基準であります「運用上の介入レベル」に応じまして、市原子力災害広域避難計画に基づき国及び県等の関係機関と協力し、飲食物の摂取制限や市外への広域避難等の防護措置を講じることとしております。
③次に、弾道ミサイル攻撃により全国瞬時情報システム「Jアラート」が鳴った時の避難施設について、弾道ミサイル落下時、屋外にいる場合「頑丈な建物や地下に避難する」とされますが、国民保護法施行令第35条の基準を満たし指定された施設は、本市では小中学校や公民館等の施設であり、弾道ミサイル飛来時に24時間いつでも避難可能ではなく地下避難も可能ではないのですが、有効な避難施設といえるのか、お尋ね致します。
—答弁(危機管理監)
国が示す弾道ミサイル飛来時の行動につきましては、爆風や破片などによる被害を避けるため、屋内への避難を原則としておりますことから、国民保護法施行令第35条に基づく本市の避難施設280箇所のうち191箇所につきましては屋内が指定されておりますため、屋外にいる市民の避難先として、有効な施設であると認識しております。
また、昨今の北朝鮮情勢を踏まえ、弾道ミサイル飛来時に住民が避難できる24時間対応可能、かつ、コンクリート造などの頑丈な施設を県が取りまとめておりまして、市内におきましては市役所本庁舎をはじめ10施設を選定し、県及び市のホームページで公開しているところであります。
今後も弾道ミサイル発射時の避難等につきましては、引き続き、国、県の動向を注視しながら、適切に対応して参りたいと考えております。
弾道ミサイル攻撃についてはですね、今おっしゃったように、24時間可能で地下避難ということになりますと非常に限られていて、市役所本庁というようなことに全市から集まってくるというわけには、これはまったく参らないわけで、現時点では対応する状況にはなっていないというのが、現実的な状況だと思います。
④次に、東京電力福島第一・福島第二原子力発電所の核燃料について、弾道ミサイルの破壊措置命令が継続されている以上、弾道ミサイル着弾に備えて、原子炉内の核燃料及び使用済燃料プール内の使用済み核燃料を安全な場所に運び出すことが必要と考えますが、東京電力と国に核燃料の運び出しを要請すべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
福島第一原発につきましては、これまで国及び東京電力に対して、廃炉作業を安全かつ速やかに遂行するよう申し入れるとともに、取り出した後の燃料デブリを含む放射性廃棄物は県外で処分するよう、県や周辺市町村とともに、国に対して要請しているところであります。
また、福島第二原発につきましても、現在、原子炉内から全ての核燃料が取り出されているものの、貯蔵プール内には使用済燃料等が貯蔵されていることから、早急に廃炉方針を決定するよう、東京電力に対して再三申し入れておりますが、先月22日には改めて、東京電力の小早川代表取締役社長に対して、廃炉工程の明確化などの具体的なアクションを起こすことも含め、直接申し入れをしたところであります。
今後につきましても、機会を捉えて、市民の皆様が安心して日常生活を送ることができるよう、国及び東京電力に対して、一刻も早い対応を求めて参りたいと考えております。
この弾道ミサイルについては、破壊措置命令が常時今発令されている事態の意味が大きいのだろうと思うのです。原子炉内に核燃料が入っているという状況、さらには、燃料プールに移動しているということもありますけれども、そういう意味で、発電所あるいは施設周辺にあったのでは、いざという時にどうしても大量の放射性物質が拡散するという状況が生まれせざるを得ないわけです。そういう意味では今一度、今市長の方からもご発言ございましたが、米朝の緊張がこれだけ高まってきておりますので、原子力発電所の隣接自治体であるいわき市として、市民の生命財産を守るために、あらゆる事態を想定して、その対処に遺漏なきを、対処方針の確立をあらためて求めまして、次に進みたいと思います。
2点目は、米の全量全袋検査について、です。
平成24年度から福島県産米の放射性物質濃度の全量全袋検査が県内177カ所で実施され、市内9カ所では平成28年産米で約51万袋の検査を実施しました。
機械の稼働費や人件費など、年間60億円弱の費用は、約52億円が東京電力の損害賠償、残りは国の補助金です。本年7月、県は、平成30年度以降の検査方法を検討する「福島県コメ検査検討会議」を設置、一定期間を置き体制を見直すため、今年度内に検査方法等の方向性をまとめる方針です。そこで伺います。
⑤県消費者団体連絡協議会が平成28年度に県民に実施した「放射能による風評等に関するアンケート」では、回答者の73%がコメの全量全袋検査の継続を求め、12%が「市町村単位でサンプル検査」、11%が「農家ごとにサンプル検査」と回答しました。全量全袋検査の継続を求めた回答者への、あと何年必要かとの問いに対しては「5~10年」が43%で最多で、「10年以上」が30%、「1~3年」が22%、との結果でした。本市としては、県に対し当面、米の全量全袋検査の継続を求めるべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
本市産米の全量全袋検査につきましては、本市をはじめ、JA福島さくら、民間の米集荷業者で構成された「いわき地域の恵み安全対策協議会」が主体となり、平成24年から6年間、実施してきたところであります。
現在、累計で315万点を超える検査を行い、国の基準である1キログラム当たり100ベクレルを超過した米は、平成24年産米の1点のみでありますが、その出荷を水際で食いとめるなど、本市産米の信頼の回復に努めてきたところであります。
このような経過を踏まえ、市といたしましても、本市産米の信頼のさらなる回復に向けた取り組みとして、本検査は重要であると認識しておりますことから、平成30年度以降の全量全袋検査の継続について、
さまざまな機会を捉えながら、国・県に対し要望して参りたいと考えております。
消費者も生産者も安心できるよう、よろしくお願い致します。
3点目は、県民健康調査・甲状腺検査と子どもたちへの支援について、です。
東京電力福島第一原子力発電所事故当時18歳以下の県民38万人に実施している甲状腺検査で、甲状腺がんの悪性または悪性の疑いと診断された子どもたちは193人に達し、福島市22人、郡山市43人、本市33人と報告され、154人が手術を終えています。昨年3月までに手術を終えた145人の7割以上にリンパ節転移などがあり、腫瘍の急成長と重傷化、複数の再発例が報告されています。
9月末までに甲状腺がんと診断された子ども100人に対し、療養費を給付している民間団体「3.11甲状腺がん子ども基金」は、福島県在住の本人および家族67世帯にアンケート調査を行い、52世帯から回答を得た結果を公表しました。
回答者の77%は、がんの再発や転移、将来に不安を感じていると答え、4人に1人が進学や就職を変更または断念したとしています。大規模検査により甲状腺がんが通常より多く見つかっている可能性が高いとの指摘に対して、検査の維持と拡充を求める声が86%に上っています。
また、自由回答では、「甲状腺がんで甲状腺全摘し、リンパ節郭清を13歳で経験し、再発し、2度の手術を受けている。子どもを持っている親にして見れば、初期発見は大切だと思う」、また「甲状腺がんであることを隠して生きていかなければならない今の世の中を変えてほしいです」、さらに「原発事故が発生したために、手術により甲状腺を失った子どもたちがいることは決して『なかったこと』にしない、という態度を示してもらいたい」と、患者家族の思いを切々と訴えています。そこで、伺います。
⑥まず、県民健康調査・甲状腺検査の継続について、本年11月から来年3月まで、本市での三巡目の甲状腺検査が小中高等学校、特別支援学校において実施されています。甲状腺がんの多発と患者のみなさんの現状を踏まえ、学校検査の中止や縮小の動きに同調せず、経過観察の公表されていない甲状腺がんの患者数の把握を進め、甲状腺検査の目的である「早期発見・早期治療」と「症例数の把握」を推進して、学校検査はじめ甲状腺検査体制を維持することを、改めて福島県に要望すべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(保健福祉部長)
県におきましては、経過観察中の甲状腺がんの症例数の把握を含め様々な取り組みが進められており、また、甲状腺検査を含めた県民健康調査につきましては、検査体制などを当面維持することとしておりますことから、市といたしましては、今後も県が実施する甲状腺検査を含む県民健康調査が円滑に実施できるよう引き続き協力して対応するとともに、必要に応じて、県に働きかけて参りたいと考えております。
再質問:まさに必要に応じてとおっしゃいましたが、今必要なんです!今です!という時なので、どうしてもやはり縮小の動きが一方で見られますから、これだけの患者さんたち、ご家族の方たちが本当に切ない思いをして悩んで治療をしているという状況でございますので、早期発見・早期治療の体制を崩すような動きには、きちんと竿を刺していくことが大事だろうと思いますので、市長いかがでしょうか。
—答弁(市長)
今ほどの質問でございますけれども、部長がお話ししましたように、必要に応じて県に働きかけて参りたいと考えております。
⑦次に、東京電力福島第一原子力発電所事故以降に甲状腺がんと診断された子どもたちへの支援について、民間レベルで危急の経済的支援、患者の治療環境と生活の質の向上につなげていく努力が重ねられていますが、「原発事故子ども・被災者支援法」の第13条3項に掲げられた「医療支援」について、窓口負担の無償化や健康手帳の交付などの支援策が講じられるよう、同法の支援対象地域である本市として、国に要請すべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(保健福祉部長)
県民健康調査甲状腺検査の対象者のうち、県内在住の18歳以下の方々の医療費につきましては、子ども医療費助成事業により全て無料となっております。一方、県外在住者や19歳以上の方々につきましては、県の県民健康調査甲状腺検査サポート事業の対象者となっており、受診者は医療機関で一度自己負担分を支払う償還払いとなっております。議員お質しの、窓口で費用負担のない仕組みづくりや健康手帳の交付などの具体的施策の実現につきましては、県や県内自治体と連携を図りながら対応して参りたいと考えております。
原発事故子ども・被災者支援法の医療支援の部分が折角、法文化されているにもかかわらず、基本方針の中で具体化されないものですから、依然として滞っているという事態があるので、この辺を県・国に強く働きかけていただきたいと思います。
⑧本市における相談体制について、子どもたちの治療や日常生活、学業や就職など将来への不安等に対し、本市としても実態を把握するため、市放射線健康管理センターが相談窓口となり、寄り添う体制を明確にすべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(保健福祉部長)
放射線健康管理センターにおきましては、市民から寄せられる放射線に関連した健康不安への相談対応や、万が一に備え、家庭や支所で備蓄する安定ヨウ素剤配布事業、更には、放射線に関する正しい知識の普及活動などを行っており、今後も、市民からの相談に対し適切に対応するとともに放射線医学総合研究所と連携した講演会の開催などの各種事業を通し、放射線に関する不安の軽減に努めて参りたいと考えております。
放医研との講演会もいいのですが、やはり実際に全摘手術を受けた患者さん、それからご家族の方が困っている実態というのが、やはり寄り添ってきちんと相談体制があるのですよということを知らせていくということはとても大事だと思います。行政が患者さんたちの立場に立って寄り添っていきますよという発信をしていくべきだと思います。その工夫をぜひお願いしたいと思います。
届きはじめました患者さんあるいは、家族の皆さんの声が、この間もETVの特集で2時間ほど取り上げられました。やはり本市としても患者さんとご家族の痛み苦しみに寄り添って、県と国に医療支援を強く求めるよう要望して、次に進みます。
4点目は、本市から市外への避難者の支援について、です。
本市は、東日本大震災と原子力発電所の事故によって、住民票を異動せずに市外に避難されている世帯を避難住民、そして住民票を異動した方で、本市の広報紙等の提供を希望する旨申し出た世帯を特定住所移転者と、しています。
本年3月31日に本市などの避難指示区域外避難者のみなし仮設住宅無償提供が打切られた結果、避難者の皆さんの住まいの確保が困難になり、生活苦に陥ったりする事案が報告されています。そこで、伺います。
⑨まず、本市から市外への避難者の現状について、本市からの避難住民及び特定住所移転者の人数の推移はどうなっているか、お尋ね致します。
—答弁(総合政策部長)
過去5カ年11月1日時点で申し上げますと 、住民票を異動せずに市外避難されている 、いわゆる避難住民につきましては、平成25年が2,281人、平成26年が1,684人、平成27年が1,310人、平成28年が1,066人、平成29年が789人となっております。
また、住民票を異動して市外に避難された方で、本市からの情報提供を希望する旨申し出された、いわゆる特定住所移転者は、平成25年が2,758人、平成26年が2,667人、平成27年が2,527人、平成28年が2,430人、平成29年が2,335人となっております。
なお、避難住民及び特定住所移転者の合計は、本年11月1日現在で、3,124人となっております。
⑩次に、避難指示区域外避難者のみなし仮設住宅無償提供打切りについて、応急仮設住宅の供与終了後における、本市からの避難者の生存権を守るため、生活実態を調査・把握し、適切な支援を継続していくべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(総合政策部長)
本市から外へ避難された方のうち、応急仮設住宅の供与終了後も、住まいが未確定の世帯数につきましては、本年10月20日現在、24世帯となっております。
県におきましては、これまで、戸別訪問等により避難者の様々な課題を聴取し、生活実態を把握してきたところであり、これらを踏まえ、今後も支援を必要とする方が相当数いるものと認識してことから、「支援対象者」として幅広く把握し、必要な支援を継続していくことしており 、全国26箇所に設置した生活再建支援拠点等において、避難者からの相談に応じるとともに、復興支援員等による 個別の見守り活動や日常生活の支援を行うなど対応が継続して継続してなされているところであります。
本市におきましても、こうした県の取組みに協力・連携するともに 、生活再建市民総合案内窓口等を通じて寄せられる避難者からの個々相談に応じるほか、住まいの確保や生活に課題を抱える方に対しては、必要に応じて関係機関と連携しながら、避難者宅を訪問するなどの対応をしていところであり、今後も、引き続き、 個々の事情に応じて丁寧に対応して参りたいと考えおます。
3月31日で打ち切りになったことによって、本市の例ではありませんが、福島市の方が米沢に避難していて、雇用促進住宅に入っている8世帯の人たちが出ていってほしいという訴訟を起こされたというようなことも聞いており、そのような事態にならないように、24世帯の方という把握もあるようですから、そのことについて、やはりきちんと寄り添っていただきたいと思います。そこのところが、非常に大事だと思いますので、被災者の生活再建では住まいの確保は死活的な問題ですから、住宅支援の継続を県と国に対して働きかけるとともに、本市も避難者に寄り添った支援を継続していくように強く要望します。