頻発するトラブルで要請、汚染水で第38回東電交渉
2017年 12月 25日
冒頭、「福島第一原発での放射性物質監視不能に伴う運転上の制限逸脱及び使用済み核燃料プール冷却ポンプの停止に関する要請書」(下記参照)を提出しました。また、「川村会長のトリチウム水海洋放出発言の撤回とトリチウム水の安全な保管を求める要請書」への東電による再々回答と質疑などが行われました。
「福島第一原発での放射性物質監視不能に伴う運転上の制限逸脱及び使用済み核燃料プール冷却ポンプの停止に関する要請書」は、11月に事故の収束作業中の東京電力福島第1原発で、放射性物質を監視する、原子炉格納容器ガス管理設備の放射線検出器や、使用済み燃料を冷却する、使用済み燃料プールの循環冷却ポンプが停止するトラブルが続いていたことから、これらトラブルについて、人為ミスとされる類似トラブルが頻発し、保安管理上問題化しているため、人為ミス対策の見直しを求めたものです。
「川村会長のトリチウム水海洋放出発言の撤回とトリチウム水の安全な保管を求める要請書」についての再々回答と質疑では、漁業者はじめ福島県民、関係者の合意なしに、トリチウム水の海洋放出はあり得ず、陸上タンク保管などを重ねて求めていることに対して、東電側は「処理水の扱いに関する方針決定については、国の小委員会の検討状況を踏まえて、国や地元関係者と検討を進めていきます」との回答。地元関係者としては、「汚染水なら漁業者、敷地内タンク貯蔵なら地元自治体などになる」としています。
さらに、規制委員会の更田委員長が地元自治体関係者に対し、海洋放出発言を繰り返していることに関連して、東電側は「国の小委員会は資源エネルギー庁の管轄。規制委員長がそういったからといって、東電がそうするわけではない」と答えています。
また、トリチウム汚染水海洋放出の放出トリチウム総量の表示については、「総排出量の管理はしていない。1回1回の管理で運用目標の数値を厳守して排出している。総量規制は考えていない」とこれまでの対応を繰り返しました。
東電側は、敷地内タンク貯蔵について、トリチウム処理水は発生し続けるが、2021年1月分までは確保、22年度まではリプレースなどでタンク貯蔵できるとし、雨水対策については42基のサブドレンのくみ上げ量のアップ工事を進めており、径の拡大や震災前使用の復活を行うとともに、一時貯蔵タンクも7基から11基、容量800㎥から1500㎥に増強する、としています。
この他、多核種除去設備アルプスの高濃度汚泥、HICの保管容量等の概要、サイト内避難訓練、東電社員の白血病労災認定に伴う被曝労災認定問題などのやりとりも行われました。
福島第一原発での放射性物質監視不能に伴う運転上の制限逸脱
及び使用済み核燃料プール冷却ポンプの停止に関する要請書
東京電力ホールデングス(株)代表執行役社長 小早川 智明 様
2017年12月22日
事故の収束作業中の東京電力福島第1原発で、放射性物質を監視する、原子炉格納容器ガス管理設備の放射線検出器や、使用済み燃料を冷却する、使用済み燃料プールの循環冷却ポンプが停止するトラブルが続いています。
11月20日、2号機原子炉格納容器ガス管理設備A系を保守作業のため停止したところ、B系の異常を示す警報が発生、短半減期核種の放射能濃度が監視できない状態となりました。
これにより、貴社は「特定原子力施設の保安第1編第24条『未臨界監視』にて定める原子炉格納容器ガス管理設備の放射線検出器において2号機の運転上の制限『1チャンネルが動作可能であること』を満足できていないと判断」しました。
貴社は、臨界時に放出されるキセノンの濃度計測をする装置の出口弁が閉じられていたため、ガスを監視できなくなったことが原因とし、当時の現場作業員から聞き取り調査を行った結果、誰かが誤って弁を閉めた人為ミスの可能性を示しています。
「未臨界監視」に関する運転上の制限逸脱は、原子炉格納容器内の溶融燃料が臨界に至っていないか、未臨界状態を監視できない事態に陥ったということであり、保安管理上、由々しき問題です。
また、11月27日には、運転中の3号機使用済燃料プール循環冷却一次系ポンプ(B)が停止しました。ポンプ(B)の停止に伴い冷却停止状態となりましたが、現場確認では、異常がないとされ2時間後に再起動し冷却を再開しました。プール水温は0.1度上昇しています。
貴社は、ポンプ(B)停止の原因は、ポンプ系統入口隔離弁の位置検出スイッチに、作業に伴う何らかの接触があり、「閉」信号が発信されポンプが自動停止したものと推定しています。
これらの、原子炉格納容器ガス管理設備の放射線検出器や使用済み燃料プールの循環冷却ポンプなど重要設備機器類の弁やスイッチが、いずれも人為的ミスで停止するトラブルは、過去にも類似トラブルが頻発しており、保安管理上問題です。
この際、わたしたちは、福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの確実な進捗、特定原子力施設の保安の確保に向けて、下記の通り申し入れ、速やかな回答を求めます。
記
1、原子炉格納容器ガス管理設備や使用済み燃料プール循環冷却ポンプなど重要設備機器類の人為ミス防止対策を明らかにすること。
2、福島第一原発事故収束作業の全体における人為ミス対策を見直すこと。
3、福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの進捗状況について、説明すること。
以上
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