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「原発震災と奪われた人権」ひだんれんシンポジウム

 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)は、「原発震災から7年が経とうとしています。原発事故後の放射線被曝を軽視した帰還政策の中では、避難者も、福島に生きる人も、同じように著しい人権侵害を受けています。私たちは何ら分断されるものではなく、同じ被害者です。私たち被害者は、どのようにして奪われた人権を取り戻したらよいのでしょうか。このシンポジウムを通じて、共に考え、共にこの状況を変えていきましょう。」というよびかけで、「いのち・暮らし・人権を考えるシンポジウム」を、1月21日午後、郡山市の市民交流プラザで開催しました。
 テーマは、「原発震災と奪われた人権」。基調講演を今井 照さん(公益財団法人 地方自治総合研究所主任研究員)が行い、崎山比早子さん(特定非営利活動法人 3・11甲状腺がん子ども基金代表理事)、中里見博さん(大阪電気通信大学工学部人間科学研究センター教授)、千葉由美さん(いわきの初期被曝を追及するママの会代表)が、パネルディスカッションを行いました。

 今井照さんは、「『政治・行政』の考え方と市民自治」と題して講演。
 自民党長期政権下での官僚主導の行政運営、小泉内閣に至る自民党内閣による「改革」などを経て、地域の政治・行政組織としての自治体の現状は、「地方分権」の名のもとに集権化・一元化が進み国による自治体統制が、強化されている実態を示しました。その上で、市民が使いこなす「そもそも自治体とは何か」として、土地の区分としての自治体(住所)、地域社会として自治体(人と人との関係)、 地域の政治・行政組織としての自治体(ガバメント)と定義、「生きる場としての地域・自治体」の再建をめざすとして、多様性を保障する自治体〜個別具体的な地域における市民自治の論理、政治・行政共同体としての自治体〜「地域自治組織」に押し込められることなく、縮小社会の到来のなかで、政治の当事者となる市民が政治争点の日常化、全般化を進めていくべきと述べました。

 憲法学者の中里見博さんは、人権の視点から、「現実をどのようにとらえるか」として、最近刊行された「しあわせになるための『福島差別』論」について、「被曝の健康リスクは大したことはない、という結論が前提にある」と指摘。「差別と分断を乗り越えるためにと言いながら、立場が一方に偏っていて本の作り手が分断されたままで、どうやって読者に分断を乗り越えることが期待できるのか」と疑問を投げかけました。また、科学の優越性が前提となっているが、低線量被曝の健康リスクなど社会的、政策的レベルでのリスク評価は「<科学的に不確実である>ことに関して、リスク評価は市民社会=主権者が行うべきだ」とし、「健康リスクにかかわる平穏生活権」(平穏のうちに生活する権利)が提唱されていることを説明しました。

 医療の立場から崎山比早子さんは、被曝の健康リスクについて、「放射線ほど身体に与える影響がわかっているものはないのに、何故専門家の意見が分かれているか。専門家が市民にデータを公表していないから」と喝破。また、福島県による県民健康調査の甲状腺検査に対する過剰診断論についても、福島県県立医大の「鈴木眞一教授は過剰診断ではない、と否定している」と説明しました。

 市民の立場から千葉由美さんは、初期被曝をしてしまった子どもたちを守りたいと、追加被曝を防ぐ体制づくりをめざして、TEAMママベク子どもの環境守り隊をつくり、学校周辺の土壌など子どもの環境の放射能測定を継続してきたこと、子どもたちの被曝防護策を求めるため、行政との長期的な協議を行ってきたことなどを報告しました。

 パネルディスカッションでは、「被害者としての責任を果たす」がキーワードの一つとして語られました。原発事故の収束も見通せない中、放射線被曝を軽視した帰還政策が強行されるなかで進む人権侵害に対して、被害の原点に立ち戻りながら、厳しい現状に甘んじることなく、分断を超えていくこと。被害者がつながることで、子どもたちや未来世代のために、奪われた人権を取り戻して行くことを確認しあいました。
 共に考え、共に状況を変えていくために、今後のシンポジウムの継続開催の声もきかれました。

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by kazu1206k | 2018-01-22 23:34 | 脱原発 | Comments(0)