「実践からはじめるFM」倉敷市での行政視察
2018年 02月 10日
今回の調査事項は、倉敷市のファシリティマネジメント(FM)。FMは、「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」と定義されます。
いわき市の公共施設等は、昭和41年合併前後から高度経済成長期に整備されたものも多く、人口減少と少子高齢社会の進行による財政規模の縮小が想定される中で、老朽化、更新時期の到来により維持管理・更新経費が増大することが予想されます。
この課題の解決に向け、いわき市では、多様な公共施設等を総合的把握して、財政負担の軽減・平準化を図り市民サービスの最適化、公共施設等の質・量の適正化を目指して「いわき市公共施設等総合管理計画」(平成29年度~42年度)を策定しました。これから個別計画の策定も予定されている中で、どうように実践的に進行管理を進めるか、倉敷市のファシリティマネジメント(FM)から学ぶことにしたものです。
倉敷市では、「実践からはじめるFM~くらしき流、継続する新たな挑戦」と題して、倉敷市企画財政部公有財産活用室の担当者から説明をして頂きました。以下は、その概要です。
まず、施設の老朽化、総人口の減少という、各自治体共通のファシリティマネジメントの背景を踏まえ、倉敷市のFM。
ー導入前の課題としては、施設管理全体のマネジメントはどうなっていたか?コスト削減、縦割りを超えた管理が問題であったこと。
ー組織の変遷としては、認定ファシリティマネジャー(民間企業経験者)の採用による取り組みの開始。平成19年度に総務部行政経営課、そして平成21年度に企画財政部財産活用課、平成23年度に長期修繕計画室が設置されて、建物点検からスタート、技術屋の視点でFMの推進を始める。平成27年度に公有財産活用室と変遷してきたこと。
ー修繕と改修について、修繕は、公有財産活用室で対応。改修は、営繕担当部門で対応している。
・建物設備点検
ー建物設備点検報告書、作成と活用。
ー職員自ら建物点検して分かること。驚くべき施設の現況。
ーカメラ付タブレットの活用、点検ソフトを業者と作成して現場活用。
ードローンの活用。屋根など施設。住宅密集地は飛行許可必要。40万円の費用。
・長期修繕計画
ー将来費用負担の試算、棟ごとのライフサイクルコストの把握を行なう。
ー当初、日立建設設計のソフト使用。その後、独自開発をした。
ー長期修繕計画枠(維持補修経費)設定〜現在3億円。
対象800件に対して、判定基準をつくり、結果100〜130件の修繕を実施。財政部は査定しない、公有財産活用室予算の3億円で実施している。
ー修繕優先度の判定。判定式。
・維持管理経費の削減
ー手法〜契約の見直し、ESCO事業、新電力(PPS)の導入の実施。
ーESCO事業、民間資金による施設整備更新と維持管理の提案を募集した。
・意識改革
ー職員の研修や情報提供、先進自治体などから講師を呼んで実施している。
ー建物の維持管理の手引き説明会、各種マニュアルの作成。
ー実施研修〜塗装、雨漏り、網戸張り替えの実施作業。
ー職員への情報発信、5分間のweb研修、FM通信。
ー市議会議員研修
ー市民出前講座、広報誌にマンガでFM白書を掲載、動画、ラジオでも。
・公会計
ー公会計対応固定資産台帳、公有財産管理システム導入:パスコ
・倉敷市公共施設白書
ー本編、老朽化率63.03%、老朽化と劣化の違いを明確化。
ー施設別編、主要515施設の施設カルテから分かること。
平成26年度から公共施設整備基金積立金創設、現在28億円の積立額。
・倉敷市公共施設等総合管理計画
・広域公共FM〜官官連携
ー岡山県FM連絡会議
ー岡山県FM研究会
ー高梁川流域連携中枢都市圏〜高梁川流域自治体連携公共FM事業
・市有施設の集約
ー建物付土地売却、きっかけは建物点検〜施設廃止〜売却。この5年が勝負。
ー機能集約事例(複合化)、複合化はトレンドでもある。
