重要設備機器の人為ミス、汚染水など東電交渉
2018年 02月 16日
この日は、12月22日に提出した「福島第一原発での放射性物質監視不能に伴う運転上の制限逸脱及び使用済み核燃料プール冷却ポンプの停止に関する要請書」への回答と質疑などが行われました。
「福島第一原発での放射性物質監視不能に伴う運転上の制限逸脱及び使用済み核燃料プール冷却ポンプの停止に関する要請書」は、昨年11月に事故の収束作業中の東京電力福島第1原発で、放射性物質を監視する、原子炉格納容器ガス管理設備の放射線検出器や、使用済み燃料を冷却する、使用済み燃料プールの循環冷却ポンプが停止するトラブルが続いていたことから、これらトラブルについて、人為ミスとされる類似トラブルが頻発し、保安管理上問題化しているため、人為ミス対策の見直しを求め、下記の3項目を申し入れていたものです。
●申し入れ3項目
1、原子炉格納容器ガス管理設備や使用済み燃料プール循環冷却ポンプなど重要設備機器類の人為ミス防止対策を明らかにすること。
2、福島第一原発事故収束作業の全体における人為ミス対策を見直すこと。
3、福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの進捗状況について、説明すること。
●東電の回答
1、2、について
別紙「平成29年度第6会廃炉安全確保県民会議 資料4」を参照願います。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/251243.pdf#search=%272%E5%8F%B7%E6%A9%9F%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%82%89%E6%A0%BC%E7%B4%8D%E5%AE%B9%E5%99%A8%E3%82%AC%E3%82%B9%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%A8%AD%E5%82%99%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%BB%A2%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%88%B6%E9%99%90%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E9%80%B8%E8%84%B1%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%27
3、について
別紙「廃炉・汚染水対策の概要」を参照願います。
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2018/02/2-00-01.pdf
原子炉格納容器ガス管理設備や使用済み燃料プール循環冷却ポンプなど重要設備機器類の人為ミス防止対策では、これまでも、現場の社員や作業員の体が機器のスイッチ等に接触することなどの人為ミスが発生して、各機器の機能喪失にいたってきた事例が発生してきました。その度毎に、設備面の対策としてその機器への物理的防護対策を施したり、管理面で安全上のリスク抽出を行ったりしてきたものの、全設備の各機器に対する機能喪失リスク評価はしてきませんでした。
今回の2号機原子炉格納容器ガス管理設備の運転上の制限からの逸脱についても、推定原因=当該弁が「全開」となったことが原因で流量低下するも、当該弁が「全開」に至る事実確認できていません。このため、原因の深堀りと対策=設備面としては、全設備の各機器に対する機能喪失リスク評価を行い、2019年3月までに物理的防護と注意喚起表示を実施するとしています。管理面では、リスクマップの作成、工程リスク会議の新設、協力企業との作業着手前チェックシートの見直し、作業用タグの運用管理の不備の是正などを3月までに実施すると話しています。
これに関連して、各作業現場の現在の放射線量の数値を示すよう求めました。
福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの進捗状況では、1・2号機排気筒の解体工事について、18年度下期から19年度下期の工期とし、解体後の部材の線量に合わせて固体庫の地下に保管することなどの他、汚染水対策について、2月5日の廃炉安全確保県民会議での増田氏の「トリチウム水について、あまり科学的に問題ないという、みなさんのコンセンサスがある」との趣旨の発言に関して、問題ないという科学的根拠とみなさんのコンセンサスがあるという根拠を示すよう求めました。
他に、労務単価の引き下げ問題でやりとりがおこなわれ、労働環境が改善されたから設計上の労務を適正化するとの東電方針に対し、現状での引き下げは、1日5.000人とされる現場の作業員のモチベーションを下げることになり、登録人員の離反を招くとして反対しました。