ひだんれん、甲状腺検査で福島県に要請

 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)は、2月14日、福島県知事宛の要請書及び質問書を県民健康調査課長に提出しました。
 要請項目は「福島県は県民健康調査甲状腺検査を子どもたちの健康を守る観点から、継続して下さい」「甲状腺検査の学校での健診を続けて下さい。その場合、学校での健診が生徒や教職員の負担にならないような方策を考えて下さい」「福島県は県立医大に対して、甲状腺がんに罹患者の手術後の所見など検討の材料になる資料を速やかに検討委員会に提出するように働きかけて下さい」など5項目です。(下記に要請書を掲載)
 ひだんれんの代表ら15名は、約1時間、県民健康調査や甲状腺検査のあり方などについて、県民健康調査課長らと話し合いました。1月26日の第9回甲状腺検査評価部会で、検査の見直しに向けて具体的な作業が始まり、今後、検査のデメリットをリスト化した上で、同意書の取り方などを見直し、検討委員会に提言するとのことで、「学校での甲状腺検診はこどもの人権問題」「過剰診断」など甲状腺検査の縮小論が強まっていることから、要請書の提出と話し合いを行ったものです。
  話し合いで、県民健康調査課は今まで通りのやり方で、4巡目の甲状腺検査を行うとの方針を示しました。ひだんれんの代表らは、検討委員会や評価部会に対しては、県民の側に立ち県民の健康を守るためにリーダーシップをほしいと、要請しました。

要請書及び質問書

福島県知事     内堀 雅雄 様
県民健康調査課課長 鈴木 陽一 様

2018年2月14日

貴職の日頃のご尽力に敬意を表します。
第28回県民健康調査検討委員会、第9回甲状腺評価部会などにおける甲状腺検査の在り方についての議論の中で、「過剰診断」、「学校健診は子どもの人権問題」、「デメリットをリスト化する」などの言葉が頻繁に出てくる現状を見聞きするにつけ、私たち福島県民は甲状腺検査が今後縮小されていくのではないかという不安を感じています。実際に当事者や保護者からそのような言葉が出て来ているのでしょうか。その実情を聴くための場を設けているのでしょうか。当事者不在の中、検討委員会や評価部会だけで今後の検査の在り方が議論されているのではないかという疑問を持たざるを得ません。
2017年にNPO法人3・11甲状腺がん子ども基金が行ったアンケート調査によると、甲状腺検査の対象年齢や頻度についての質問に対し、甲状腺がん患者本人及び保護者からの回答では、検査の継続を望む声は9割に達し、うち拡充を望む意見も3割を超えました。また、同じく2017年に産業医科大学が福島県小児科医会の協力で医療従事者と患児の保護者に対して行ったアンケート調査においても、甲状腺検査は「続けるべき・続けてほしい」が、医療従事者で64.7%、患児の保護者では75.4%と継続を望む声が多数を占める結果でした。
県民健康調査甲状腺検査の目的である「東京電力福島第一原発事故を踏まえ、子どもたちの健康を長期に見守るため」からみても、この検査は続けられるべきだと思います。原発事故当時、安定ヨウ素剤の配布が適切に行われなかったことなどにより、当時被曝した子どもたちは、今後発病の危険を抱えて生きていかざるを得ません。国会事故調報告書でも指摘されているように、福島県がその権限を持って配布を行っていれば、防げたことです。福島県は責任を持って、検査を縮小せずむしろ拡大する必要があると思います。

甲状腺検査の受診率の減少が問題になっている現在、学校での健診は受診率を保つためには必要だと思います。医療機関での健診に比べ保護者の負担も軽減されます。「学校での健診は半ば強制的」という言葉も評価部会で聞かれましたが、元々同意する者だけに行われるものであり強制ではないはずです。また、学校での健診は養護教諭などに負担をかけている現状を耳にしますが、この健診を他の健康診断同様に学校保健法に基づき、市町村レベルでの位置付けがなされれば応援の方策も具体的に考えられるのではないでしょうか。また、原子力発電を国策として進めてきた国には、検査に協力し、責任を果たすよう要請してはいかがでしょうか。

検対象者が20歳を超えると、5年に1回の節目検査となっていますが、これはなぜなのでしょうか。別途計上となっており、この間に保険診療でがんが発症した場合、現在問題となっている経過観察者同様に検査結果の数に反映されないという事態は起きないのでしょうか。19歳までと同様に2年おきにしてほしいという声は保護者から聞こえてきますし、検査のデザインを途中で変えることにより信頼性を損なうことはないのでしょうか。

「過剰診断」についてですが、2017年10月26日、甲状腺外科学会にて鈴木真一氏が145件の手術後所見を発表しましたが、1、2、3巡目ともにリンパ節転移や甲状腺組織外浸潤がそれぞれ75%以上、45%以上見られ、遠隔転移が確認された例も見られます。これは過剰診断を否定し、検査による早期発見の必要性を裏付けているように思います。県立医大は検討委員会に速やかに症例についてのデータを出すべきであり、検討委員会でその検証を行い、検査の在り方について反映すべきではないでしょうか。
つきましては、下記要請事項と質問事項に対し、ご返答いただきまようお願い申し上げます。


要請事項
1、福島県は県民健康調査甲状腺検査を子どもたちの健康を守る観点から、継続して下さい。
2、甲状腺検査の学校での健診を続けて下さい。その場合、学校での健診が生徒や教職員の負担にならないような方策を考えて下さい。
3、福島県は県立医大に対して、甲状腺がんに罹患者の手術後の所見など検討の材料になる資料を速やかに検討委員会に提出するように働きかけて下さい。
4、検査の間隔を短くして下さい。
 ・20歳以上の健診対象者が5年ごとの健診になっていますが、2年毎とし、甲状腺検査の結果に反映させ直ちに公表して下さい。
 ・希望者には一年ごとの検査を行って下さい。
5、市町村ごとの検査結果の公表を再開して下さい。

関連する質問事項
1、 福島県は学校健診のデメリットの具体的な声を把握していますか。把握していたら内容を教えて下さい。
2、 節目検査を5年毎とした医学的根拠は何ですか。
3、 節目検査の結果の計上はどのような形でするのですか。
4、 安定ヨウ素剤を配布せず、回収までしようとしたことに対して県はどのように考えていますか。


原発事故被害者団体連絡会(加盟22団体)共同代表 長谷川 健一 武藤 類子
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by kazu1206k | 2018-02-18 19:35 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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