東電の不当なADR和解案諾否留保、日弁連が抗議

 日本弁護士連合会は、東京電力福島第一・第二原子力発電所事故の被害者の賠償請求について、東京電力が訴訟係属を理由として、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案の諾否を留保している問題で、「原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続における東京電力の不当な和解案諾否留保に抗議し、迅速な和解仲介手続の進行を求める会長声明」を3月2日公表しました。
 原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続の重要な前提として、国費による損害賠償資金が交付されていながら、和解案の諾否を留保するという、東京電力の悪辣な態度は、許されません。

原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続における東京電力の不当な和解案諾否留保に抗議し、迅速な和解仲介手続の進行を求める会長声明

2017年8月頃から、原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)での和解仲介手続において、申立人が東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)を被告として損害賠償訴訟(以下「別訴」という。)を提訴している場合において、東京電力が、その別訴が係属していることを主たる理由として、和解案の諾否を留保し、更には和解案提案前にそれを予告する事例が相次いでいる。  

そもそも、センターは、東京電力福島第一・第二原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)の被害者の賠償請求につき、訴訟での解決には時間を要することから、適切な時期に損害賠償を支払って被害者の生計や生活を維持するため、迅速かつ適正な解決をする機関として設立されたものである。  

訴訟が係属していることを理由に和解案の諾否を留保するということになれば、訴訟での解決を待たなければセンターにおける和解仲介手続が進められないということになり、迅速かつ適正な解決を目指すセンターの存在意義に関わることになる。そのことが、結果として別訴を提起している被害者にその取下げを強いることにつながり、裁判を受ける権利の保障の観点からも問題である。なお従前は、訴訟係属中の原告が申立人となっていても、別訴に先行するセンターでの和解による賠償金の支払いは、後行する別訴において、弁済が認定される等の調整がなされ、別訴の判決確定前にも東京電力との間で和解が成立してきている。

東京電力は、2011年11月4日に認定された特別事業計画及びその後の累次の総合特別事業計画において、センターが提示した和解案の尊重及び和解仲介手続の迅速化に取り組むことをうたってきており、和解案尊重を条件として、国費による損害賠償資金が交付されてきた。そして、それがセンターの和解仲介手続の重要な前提となってきたものである。

当連合会は、東京電力に対し、訴訟係属を理由とする東京電力の和解案諾否留保に抗議し、このような対応を直ちに改善し、迅速な和解仲介手続の進行に協力するよう求める。  

あわせて、原子力損害賠償紛争審査会及びセンターに対し、上記のような東京電力の対応を是認することなく、センターの存在意義を踏まえた然るべき対処をすることを求めるとともに、政府に対して、東京電力に対し適切な指導をするよう求める。

2018年(平成30年)3月2日
日本弁護士連合会      
 会長 中本 和洋 
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by kazu1206k | 2018-03-08 23:24 | 脱原発 | Comments(0)