3月11日、福島原発震災から丸7年。
2018年 03月 11日
東日本大震災、福島原発震災、あの日から丸7年。
やはり、心穏やかではありません。思いがこみ上げてきます。
人々がのみ込まれた大津波、取り返しのつかない福島第一原子力発電所の事故。未だ政府の原子力緊急事態宣言も解除されていません。地震の揺れを感じるたびに記憶が戻っていきます。
改めて、東日本大震災、福島原発事故で犠牲となられた方々に哀悼の誠を捧げますとともに、被害を受けたすべてのみなさまに、心からお見舞いを申し上げます。
日本最大の公害事件、東電福島原発事故の刑事裁判、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3被告の第1回公判は昨年6月30日に開かれました。
東京地裁104号法廷で、東電旧経営陣の勝俣、武黒、武藤の3被告は、無念の最期を迎えた、被害者である双葉病院の患者の遺族の皆さんが見守る前で、「予見は不可能で刑事責任は適用されない」と事故の予見可能性、結果回避可能性を否定し、無罪を主張しました。
これに対し、検察官役の指定弁護士は「被告人らは、原子力発電所を設置する事業者である東京電力の最高経営層として、原子炉の安全性を損なうおそれがあると判断した上、防護措置その他の適切な措置を講じるなど、原子力発電所の安全を確保すべき義務と責任を負っていた。『適切な措置』を講じるか、それができなければ、速やかに原子力発電所の運転を停止すべきであった。それにもかかわらず、被告人らは、何らの具体的措置を講じることなく、漫然と原子力発電所の運転を継続した。被告人らが、費用と労力を惜しまず、課せられた義務と責任を適切に果たしていれば、本件のような深刻な事故は起きなかったのである」と冒頭陳述で指摘しました。
東電が大津波を予測し防潮堤など津波対策に取り掛かっていたこと、武藤被告らが経営判断でこれを中止した経緯などが、当時の会議記録メモや社内メール、東電設計の解析報告書などの証拠によって示され、事故の予見可能性と結果回避可能性、3被告の刑事責任を明確にしたのです。
本年2月28日、第4回公判が開かれ、東京地裁刑事第4部永渕健一裁判長あての『厳正な判決を求める署名』の第3回提出分2,026筆(合計は6,619筆)も提出されました。
第4回公判では、東京電力の100%子会社・東電設計の社員久保賀也氏が証言。同社は企画・調査から設計・監理まで行うコンサルティング会社。久保氏は、同社の土木本部構造耐震グループに所属、事故3年前に福島第一原発の津波想定を15.7mの津波高とまとめた津波計算などの技術責任者を務めていました。
第4回公判、検察官役の指定弁護士の石田省三郎弁護士による主尋問では
●「何の仕事をしていたか」の問いに「耐震バックチェックの一環で地震の随伴事象である津波の検討、1Fと2Fの津波評価の業務委託を東京電力から依頼された」。「平成19年(2007)11月に業務委託の打診があり、協議の都度文書で確認し、契約仕様書(発注書)をつくった」と証言。カウンターパートナーは、業務委託依頼された東京電力原子力設備部の金戸氏で、協議の場に必ずいたことを証言しました。
●久保氏は、管理職として3人で、15.7mの津波高シミュレーションを行い、平成20年(2008)3月、最大で15.7mを超える可能性がある速報値を金戸氏や高尾氏らに面会して手渡した。この際「東京電力には津波対策などの問題は残ると言われたが、結果は受領された」と証言。 また、同年4月、10m盤の上に10mの防潮堤を作る鉛直壁でどこまで津波高が来るかの試算依頼に対して、試算を金戸氏らに手渡したことを証言しました。
●平成14年(2002年)の文部科学省地震調査研究推進本部による地震活動の長期評価についても、平成19年(2007)11月時点で、「長期評価、新しい知見として取入れることが決まった訳ですね」との問いに、「そうです」と証言しました。
●15.7mの津波高シミュレーション後に、東京電力から東電設計に対し「なんとか津波高を解析で小さくならないか」「解析上の摩擦係数の見直しできないか」と依頼があり、証人は「数値は土木学会の手法に則っているので、変更はできない」と断ったこと。解析条件を変えて試算したが、数値は15mを超え変わらなかったこと、などを証言しました。
東日本大震災、福島原発震災から丸7年がすぎ、福島原発事故の被害者、震災被災者は、原発再稼動と東京オリンピックの後景に追いやられ、復興の加速化=帰還政策の促進、長期低線量被曝の受忍を強いられています。
刑事裁判の証人尋問では、証人の方々から、重要な証言が出ています。今後も、様々な事実が明らかにされると思われます。
私たちは、引続き福島から公判の傍聴にかけつけ、院内集会を行います。被害者参加人の代理人として法廷に出席する告訴団の弁護団からの報告も行います。公判内容を国内外に発信していきます。
真の被害者救済の道を開くため、事故原因の究明、旧経営陣3被告の有罪を求め、東京地裁が、厳正な判決を下すよう求めていきます。どうぞ、東京電力福島原発刑事訴訟「厳正な判決を求める署名」を一人でも多くの方に広めてください。裁判を傍聴してください。
一緒に手をつないで一歩一歩前へ進みましょう。よろしくお願い申し上げます。
◉『東京電力福島原発刑事訴訟 厳正な判決を求める署名』
*判決の日まで、提出し続けますので、随時郵送をお願いいたします。(署名用紙は、コピーしてお使い下さい。)下記からダウンロードしてお使いください。郵送もできます。
☆『東京電力福島原発刑事訴訟 厳正な判決を求める署名』http://xfs.jp/VaIvwK (署名用紙を郵送することもできます)
☆ネット署名は、http://chn.ge/2AlRC4Q からできます。
◉第5回以降、6月までの公判期日は、以下の通りです。(全て10:00〜17:00)
4月10日(火)、11日(水)、17日(火)、24日(火)、27日(金)、
5月8日(火)、9日(水)、29日(火)、30日(水)、6月1日(金)、12日(火)、13日(水)、15日(金)
*院内集会は4月17日、5月9日、6月1日、15日を予定しています。
*院内集会の無い日も、裁判終了後の報告会と記者会見は毎回行います。