江名中学校の卒業式
2018年 03月 13日
式が行われた会場の体育館は、7年前の東日本大震災、発災翌日の3月12日に、沿岸部の津波被災地を現場調査した際に、私が最初に訪れた場所の一つです。
当時、避難所となった体育館には多くの住民の方々が避難しておられました。運営に当たっておられた当時の校長先生や避難している住民のみなさんから、電気が通じていない中で、ストーブで暖をとりながら、3月11日の夜を明かしたことをお聞きし、平地区のいわき市消防本部におかれていた災害対策本部に駆けつけ、本部に掛け合った記憶がよみがえります。
その震災で被害を受けた武道館もようやく改築されて利用されていました。江名港や中之作港が北洋や南洋に向かう船団の母港として最盛期を迎えていた頃、住民の寄付で造られた愛着のある武道館でした。
江名中学校も、少子化の波を受けて、在校生も昭和30年代頃の700人台から大きく割り込んで、本年度は162名。そして53名の卒業生。今年の卒業生は、2011年には小学2年生でした。彼たち彼女たちは、人生の多感な時期に、家族も地域も震災による津波被害と原発事故による放射能汚染に対峙して、学習や部活そして交遊と9年間の義務教育を受け、卒業の日を迎えたのです。そして、江名中学校は、平成29年度、県教育委員会の放射線・防災教育推進事業の実践協力校に指定され、津波防災と原子力防災を学習の柱に据えてきたそうです。
式では、校長先生から卒業生のひとりひとりに卒業証書が手渡され、式辞や祝辞などに続いて、在校生の送辞、卒業生の答辞。そして、卒業生が「仰げば尊し」、在校生が「蛍の光」を歌い上げ、最後に卒業生が「旅立ちの日に」を合唱しました。久しぶりに聞く「仰げば尊し」「蛍の光」には、思わず涙腺が緩みました。
私も、義務教育9年間を終了した卒業生の皆さんに、祝福と激励をこめて、失敗をおそれず、あきらめずに、いろいろなことに挑戦してください。そして、「いのち」を大切にする人間になっていただきたいと、餞けの言葉を贈りました。
