「3・11と東京五輪―アンダーコントロール?復興?」
2018年 03月 31日
2012年6月に福島第一原発事故の責任を問う刑事告発を行なった福島原発告訴団は、2013年9月3日、福島第一原発事故の汚染水海洋放出事件で福島県警に刑事告発を行なっていました。2013年9月8日、安倍首相は、福島第一原発事故の汚染水は、「アンダーコントロール」と偽って、「2020年東京オリンピック」を招致しました。そして、9日、あろうことか、刑事告発が、福島地検から東京地検に移送され、東京地検は、福島第一原発事故の刑事告発を全員不起訴としました。
歓迎一色の風潮の中、国のいう『復興五輪』とは何か?
2011年3月11日の福島原発震災から丸7年。終らない福島第一原発事故。福島第一原発事故により出された政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されず、1~4号機の放射性物質放出量は、東京電力の評価値で毎時9万bq(16年4月~17年3月の平均値)、100万トンも貯蔵タンクに汚染水が溜まり、凍土遮水壁の欺瞞性が明らかになる中、汚染水の海洋放出が叫ばれています。
国は、原子力推進政策の結果としての過酷事故の責任を顧みることなく、原発事故被害者を放射能汚染による長期の低線量被曝に曝してきました。SPEEDIの情報隠しによる初期被曝、炉心溶融マニュアル=事故情報の隠蔽統制、そして、国際原子力マフィア、原子力ムラによる「放射能安全キャンペーン」=低線量被曝の強要、年間被曝線量20mSv以下の帰還=原発事故被害者への被曝の忍従の押し付けと、国による経済復興優先、人権無視の棄民政策が続いています。
東京五輪は、国による経済復興優先、人権無視の棄民政策の一大イベントとして、安倍首相による「汚染水はアンダーコントロール」「0.3k㎡をブロックしている」という、国際的な虚偽発言によって招致され、「復興五輪」という名の国家による悪辣な福島第一原発事故の隠蔽策です。
被災地では、 「復興の加速化」という強引な帰還政策と経済優先の復興施策が進行し、2017年3月で住宅無償提供と帰還困難区域を除く避難区域指定が解除され、原子力ムラを支える除染マネー、廃棄物の焼却炉、中間貯蔵施設の建設、そして2020年東京五輪までにJR常磐線開通、福島原発事故は終ったことにされようとしています。
「原発事故子ども・被災者支援法」では、避難する者も、帰還する者も、留まる者も被災者それぞれ自らの意思で選択でき、いずれを選択しても政府が適切に支援するはずでした。しかし、今進行している政府による「復興の加速化」政策は、次々と避難区域を解除して、帰還政策を強行することでした。区域外避難者の住宅無償提供の打ち切りなど被災者切り捨ての施策が続き、人びとの命と暮らしを再生する「人間の復興」にほど遠い現実です。福島第一原発事故を隠蔽する、「福島の被災地の復興のためのオリンピック」。
