新たな「外国人材の受入れ」制度創設で日弁連が声明

日本弁護士連合会は、5月15日、「新たな『外国人材の受入れ』制度の創設に関する会長声明」を公表しました。
これは、政府が外国人労働者の受入れ拡大に向け技能実習制度を維持したまま、技能実習修了者や実習修了者と同水準の技能を身につけた外国人について、「最長5年間の在留を許可し、国内で就労できるようにする新たな在留資格を創設する方向で検討を始めた」と報じられたことから、「人手不足解消の手段として技能実習制度を存続させたまま、その修了者に更に5年程度の就労を認めることができるという制度設計には、反対する」とした上で、「新たな外国人労働者受入れ制度の創設に当たっては、外国人労働者の人権保障に十分に配慮した制度設計を行うべきであり、当連合会が、技能実習生制度下における人権侵害の原因として指摘してきた問題点などを踏まえ、以下の点が考慮されるべきである」と、「職場移転の自由」や「多民族・多文化の共生する社会の構築に向けた法制度の整備」など5項目の提言をしています。

新たな「外国人材の受入れ」制度の創設に関する会長声明

本年2月20日、安倍総理は経済財政諮問会議において、中小・小規模事業者を中心に深刻な人手不足が生じていることを指摘し、在留期間の上限を設定すること、家族の帯同を基本的に認めないとの前提条件の下、専門的・技術的な外国人受入れの制度の在り方について早急に検討を進める必要があるとし、「専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォース」(以下「タスクフォース」という。)を設置した。

これを受けて政府は、外国人労働者の受入れ拡大に向け技能実習制度を維持した上で、技能実習修了者や実習修了者と同水準の技能を身につけている外国人について、最長5年間の在留を許可し、国内で就労できるようにする新たな在留資格を創設する方向で検討を始めたと報じられている。

当連合会はかねてより、外国人技能実習制度について、開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進するという制度理念とは乖離して、人手不足を解消する手段として用いられており、人権侵害が生じやすい構造的問題を有することから、同制度の廃止を求め、非熟練労働者の受入れが必要であれば、その是非、範囲などを、国会などの場で十分に検討して新たな制度を創設するよう提言してきた。

現在、タスクフォースで受入れの対象として検討されている職種は、農業、漁業、水産加工業、建設業、造船業、製造業、介護など、技能実習の対象職種と同様の非熟練労働を対象とするものが多く含まれている。これらの職種について、人手不足を解消するための新たな「外国人材の受入れ」制度の設計は、かねて当連合会が提言してきたとおり、端的に、技能実習制度を廃止し、これに代わることとなる受入れ制度を検討するべきである。当連合会は、人手不足解消の手段として技能実習制度を存続させたまま、その修了者に更に5年程度の就労を認めることができるという制度設計には、反対する。

また、新たな外国人労働者受入れ制度の創設に当たっては、外国人労働者の人権保障に十分に配慮した制度設計を行うべきであり、当連合会が、技能実習生制度下における人権侵害の原因として指摘してきた問題点などを踏まえ、以下の点が考慮されるべきである。

第1に、職場移転の自由を名実ともに認めるべきである。

第2に、送出し国のブローカー等の中間団体が制度に関与し、保証金の徴収等を通じて人権侵害を行うことを防止する策を講じるべきである。

第3に、技能実習制度の下で5年、更に新たな制度の下で5年、通算10年の単身での生活を強いることがあり得ることは、家族の維持、形成という観点から大きな問題があり、このような長期間の就労を可能にするのであれば、家族帯同を許可することも検討するべきである。

第4に、このような長期の在留が想定されることにも鑑みて、別途の在留資格への資格変更を認める範囲等についても議論するべきである。

第5に、新たな受入れ制度によって、更に多くの外国人が日本で生活することとなる。今こそ、国は、多民族・多文化の共生する社会の構築に向けた法制度の整備を行うべきである。

新たな制度の設計に当たっては、関係省庁のみではなく、在留外国人の支援に取り組むNGO等の団体、労働組合、弁護士会等、幅広い立場の意見を聴取し、本声明で述べた諸点を含めて十分な議論、検討がなされるべきである。



2018年(平成30年)5月15日
日本弁護士連合会      
会長 菊地 裕太郎   
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by kazu1206k | 2018-05-16 23:27 | Comments(0)

佐藤かずよし


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