質疑の報告1−イオンとの防災協定、復興事業の状況、東大先端研との連携
2018年 06月 15日
質疑の詳細を2回に分けて、ご報告します。
ちなみに、議案等に対する質疑は、意見を述べることはできないルールです。
質疑項目は、以下の通りです。
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1 市長提案要旨説明について(第1回)
(1)市政を取り巻く諸問題についてのうち、本市の東日本大震災からの復旧・復興事業の状況について
(2)市政を取り巻く諸問題についてのうち、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センターと本市の連携及び協力に関する協定の締結について
2 議案第8号 平成30年度いわき市一般会計補正予算(第1号)について(第2回)
(1)歳出2款1項7目企画費の企画調整費のスポーツを軸とした地域創生推進事業費について
(2)歳出8款2項3目道路新設改良費の道路改良事業費の自転車道路網整備事業費について
(3)歳出8款5項9目都市再開発費の市街地再開発事業費の平並木通り地区市街地再開発事業費について
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35番、創世会の佐藤和良です。ただいまより、質疑を行います。
大きな第一点は、市長提案要旨説明について、であります。
一つは、市政を取り巻く諸問題についてのうち、本市の東日本大震災からの復旧・復興事業の状況について、です。
1点目、「イオンモールいわき小名浜」の地域防災拠点としての役割について、6月5日に総合防災訓練が実施されて、津波避難ビルとしての役割も可視化されつつありますが、本市とイオンモール株式会社との基本協定の「安全・安心なまちづくり」では、本市はイオンモールと防災協定を締結し、地域防災拠点としての役割を果たすとされておりますが、現状はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
イオンモール株式会社との防災協定につきましては、平成26年4月に本市とイオンモール株式会社との間で締結した「小名浜港背後地(都市センターゾーン)における開発事業の実施に関する基本協定書」に基づき策定された「小名浜港背後地(都市センターゾーン)開発事業計画」に規定する「安全・安心なまちづくり」の観点から、津波の発生に際し、地域住民等の生命を守ることを目的として、「イオンモールいわき小名浜」を津波避難ビルとして使用するため、明日6月15日のグランドオープンに合わせ、「津波発生時における緊急一時避難施設としての使用に関する協定」を締結する予定となっております。
2点目、イオンモールとの防災協定の概要は、どのようなものか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
本防災協定は、津波の発生に際し、住民、観光客等が高台までの避難に十分な時間が確保できない場合、緊急的に避難できる場所として使用することを目的に、締結するものでありますが、その概要につきましては、津波警報等の発表時、高さが約21mで面積が1万3,390㎡の屋上駐車場を避難場所として使用できること、また、市が小名浜港背後地津波復興拠点整備事業により整備した津波避難立体歩行者通路、いわゆるペデストリアンデッキに接続する店舗入り口につきましては、営業時間帯に関わらず常時開放することが可能となるようイオンモール株式会社側において措置を講ずること等としております。
3点目、「イオンモールいわき小名浜」による電波障害について、東京キー局のテレビ放送の電波障害には対策が困難とされ、丁寧な説明をするとされていますが、依然、苦情が寄せられており、今後どのように対応するのか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
電波障害につきましては、これまで「いわき市中高層建築物に係る電波障害等の防止に関する指導要綱」に基づき、イオンモール株式会社に対し、県内放送局については、アンテナ等の受信設備の調整を行うなど、電波障害の解消に向けた対策を講じるよう指導するとともに、東京キー局につきましては、放送法上、電波障害を解消するための共同受信施設の設置が困難である旨を丁寧に説明するよう、求めてきたところであります。
今後、イオンモール株式会社におきましては、電波障害が発生している住民の方々を対象として、放送法に抵触しない形で受信の改善に取り組んでいくと伺っておりますことから、市といたしましても、同社の対応を注視して参りたいと考えております。
4点目、震災復興土地区画整理事業に伴うアクセス道路の整備について、岩間地区における市道拡幅等のアクセス整備の見通しは、どうなっているか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
岩間震災復興土地区画整理事業により高台移転した小原地区へのアクセス道路、市道塚原・東ノ作線につきましては、沿岸部の岩下地区から小原地区までの約600mの区間について、平成27年度から整備に着手し、現在、今年度末の完了を目標に整備を進めているところであります。
また、小原地区から北側へのアクセスにつきましては、現道幅員が狭隘で、車両のすれ違いに支障をきたしている状況であることから、地元の皆様のご意見を伺いながら、整備のあり方について検討して参りたいと考えております。
5点目、震災復興土地区画整理事業の区域内5地区の市有地の販売状況について、コミュニティの再生のために、事業区域内市有地の販売を実施していますが、現時点の販売等の状況は地区毎にどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
市有地の販売等の状況につきましては、販売を行っていない小浜地区を除き、本年6月11日現在で、久之浜地区は、販売区画8区画のうち6区画が契約済又は契約予定となっており、薄磯地区は、同様に27区画のうち11区画、豊間地区は、33区画のうち13区画、岩間地区は、8区画のうち5区画、合計で、76区画のうち35区画が契約済又は契約予定であり、その契約率は、46%であります。
6点目、震災復興土地区画整理事業に伴う各住民組織からの要望について、各住民組織からの要望はどのようなものが寄せられているか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
支所等に配置している津波被災地支援員等に対し、各地区の復興対策協議会等の皆様から寄せられました要望のうち、主なものを申し上げますと、共通する事項といたしましては、防災緑地の維持管理の手法に関することや、避難道路等の整備促進に関することなどとなっております。
また、地区ごとの主な個別事項といたしましては、久之浜・大久地区からは交通手段の確保に関すること、豊間地区からは商業施設や病院等の誘致に関すること、薄磯地区からは震災メモリアル中核拠点施設の活用方法に関することなどが寄せられているところであります。
7点目、震災復興土地区画整理事業に伴う各住民組織からの要望への対応について、どのように進めるのか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
各協議会等の皆様からいただきました要望をみますと、交通手段や買い物、医療など、日々の暮らしに密接に関わる事項が寄せられており、被災した沿岸地域で新たな生活を始めていくためには、まだまだ課題が残されているものと受け止めております。
これらの要望につきましては、一日も早く、適切な対応が図られるよう、市の関係部署に働きかけるとともに、関連する国・県等の行政機関や民間事業者に対しましても、しっかりと要望してまいりたいと考えております。
また、震災メモリアル中核拠点施設の活用方法につきまして、立地地区であります薄磯地区から様々な要望をいただいております。
これまでも、地区の皆様との意見交換を重ねながら施設の設計業務を進めてまいりましたが、具体的な活用方法につきましても、引き続き、地区の皆様の声に耳を傾けながら、共に創り上げてまいりたいと考えております。
8点目、震災復興・側溝堆積物撤去事業に伴う撤去堆積物について、運搬・処分業務についての見通しはどうなっているのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
撤去堆積物の運搬・処分業務の見通しにつきましては、本年5月末までに側溝堆積物の撤去業務が完了し、現在、撤去した側溝堆積物の運搬・処分業務を引き続き実施しているところであり、7月末には完了する見込みとなっております。
二つは、市政を取り巻く諸問題についてのうち、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センターと本市の連携及び協力に関する協定の締結について、です。
1点目、同センターと本市の連携について、これまで具体的にどのような連携をしてきたのか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
本市におきましては、持続可能な新たな基幹産業の創出を目指し、国等の福島イノベーション・コースト構想や福島新エネ社会構想などの進展を踏まえ、再生可能エネルギー産業の振興を図ることとしております。
そのような中、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター、いわゆる、「東大先端研」とのこれまでの連携につきましては、新たな基幹産業として期待される再生可能エネルギー分野のうち、今後、県内に多くの風力発電施設の整備が予定され、本市のものづくり産業の技術を生かせる分野として注目されている風力産業をテーマとした人材育成講座の講師として招へいしたほか、同産業を本市の基幹産業の一つとするために、専門的な知見から、各種助言等をいただいてきたところであります。
2点目、これまでの連携及び協力においては、どのような成果があったのか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
人材育成事業等を通して、本市の風力関連産業振興に向けた取組みへの理解が深められ、市内企業の参入意欲が高まったほか、市の今後の施策に係る企画立案にあたり、東大先端研の専門的な知見に基づいた取組みの方向性や手順の整理が図られ、風力関連産業を本市の新たな基幹産業とするための施策展開につながったところであります。
3点目、本市が新たに風力関連産業推進事業を実施するにあたり、同センターと本市の方向性が一致した点は、どのようなものか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
本市におきましては、復興を加速させるため、風力産業を柱として地域の技術力・人材力を高め、関連産業の振興を図ることとしております。
一方で、東大先端研においては、国内風力産業の競争力強化や人材育成を促進し、我が国における新たな産業として定着させるための研究を行うとともに、関連産業振興を目指すいわき市との連携のもと、浜通りの復興・地域振興等を目指すこととしており、双方の方向性が一致したものと認識しております。
4点目、本協定の内容は、どのようなものか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
本協定は、東大先端研の持つ専門的な知見やネットワークと、本市の幅広いものづくり力を融合させ、環境・エネルギー分野、特に風力関連をテーマとした学術振興と産業発展を通して、いわき地域はもとより、福島県浜通り地域における活力ある個性豊かな地域形成に寄与することを目的としております。
本協定に基づく取組みの方向性といたしましては、産学官連携による共同研究や人材育成、地域企業への助言・指導、地域の理解促進など、4項目を中心に取り組んでいくこととしております。
5点目、「特に、風力発電をテーマとした学術振興と産業振興を通して、福島県浜通り地域における活力ある個性豊かな地域形成に寄与すること目的に、産学官連携による研究開発や人材育成、地域企業への助言・指導、地域の理解促進などに取り組む」とされますが、具体的には、それぞれどのようなことを想定しているのか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
本協定で想定している具体的な取組みといたしましては、1点目の共同研究におきましては、東大先端研と市内企業が共同で、国・県等の公募事業を活用して、本市をフィールドに研究開発を実施すること、2点目の人材育成におきましては、東大先端研と福島工業高等専門学校等が連携し、環境・エネルギー分野の即戦力となる人材育成を実施すること、3点目の助言・指導におきましては、東大先端研の知見により、関連事業者や新規参入事業者の課題解決に向けた助言・指導をいただくこと、4点目の地域の理解促進におきましては、東大先端研から講師を招いた事業者向けセミナーや、児童・学生・保護者を対象とした関連施設の見学会などを想定しております。
6点目、協定に基づき同センターに市職員1名を派遣していますが、どのような業務を行っているのか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
東大先端研に派遣している職員の業務につきましては、本市と東大先端研の連携事業の推進に係る業務のほか、再生可能エネルギー分野における、東大先端研と国内事業者による技術開発等プロジェクトへの参画など、産学官連携を促進する業務を行っております。
市といたしましては、今回の職員派遣を通じて、東大先端研をはじめとする研究者との人的ネットワーク構築や、産学官連携のノウハウの蓄積を図り、本市の産業振興につなげて参りたいと考えております。
7点目、本市として、同センターの研究施設等を誘致する考えはあるのか、お尋ねします。
—答弁(産業振興部長)
東大先端研の研究施設等の誘致につきましては、本協定に基づく連携事業を推進していく中で、必要性や効果等について、見極めて参りたいと考えております。
一方で、東大先端研の研究施設に限らず、本市の風力関連産業の推進のために必要な、人材育成や技術力向上のための研究施設や拠点等の可能性につきましても、併せて調査して参りたいと考えております。
(第2回に続く)
