原発事故被害者の救済を求める全国運動、総会と第4期キックオフ集会
2018年 06月 28日
福島原発事故から7年がたちましたが、復興の影で帰還の強行、モニタリングポストの撤去、避難者の孤立化、子どもたちの甲状腺がんの多発など、原発事故被害者・被災者の切り捨てが深刻化しています。
2013年8月より始まった全国運動は、被害当事者・支援団体はじめ生活協同組合、貧困・平和・人権など多様なセクターの運動と連携、請願署名や政府交渉、集会開催などを進めてきました。第3期までの運動を継続し、全国のみなさまと力を合わせ、窮状に苦しむ被害者にとって急務である様々な問題に取り組むため、総会とキックオフ集会を開催したものです。
午後1時からの総会では、⑴第3期活動報告、⑵第3期収支報告、⑶第4期活動方針案、⑷第4期予算案などが報告、提案され、参加した構成団体の審議の結果、承認・決定されました。以下は、報告と方針の概要です。
●活動報告、第3期までの振り返り
・2013年8月26日にキックオフし第1期は、①子ども・被災者支援法の幅広い適用と具体的な施策の実施、②賠償の時効問題の抜本的な解決のための特別立法――の2点を求めて、請願署名や全国集会、各地での周知活動を行ってきた。第1期の署名は合計197,617筆集まり、国会に提出した。
・第2期の活動は、2014年10月から開始し、喫緊の課題である以下の4点を焦点とし、請願署名および政府への働きかけを行った。請願署名は131,005筆集まり、2015年5月27日、国会に提出したが、審議未了となった。
原子力災害に伴う避難者の住宅問題の解決のための立法措置
健診の支援・医療費減免措置
子どもたちの保養プログラムを実施する国家体制の構築
原発ADRの和解案の完全実施
・第3期は、2016年2月24日にキックオフ集会を開催。第3期の方針を以下のように決定した。
三期の「原発事故被害者の救済を求める全国運動」を2016年2月から開始する。
参議院議員選挙において各候補者に問題点を訴え、公約などに反映していくことをめざす。
貧困・平和・人権など多様なセクターの運動と連携し、運動のスケールアップを行う。
世論の盛り上げと国会への請願を行うため、「100万人請願署名」を行う。
被害者にとって急務である以下の具体的な事項を求めていく。
1)原発事故避難者の住宅支援の打ち切り撤回を
2)原発事故被害者の意思を無視した避難指示区域の早期解除方針の撤回を。被害者への賠償の2018年3月打ち切り撤回を
3)福島県内外における健診の充実・拡大と医療費の減免を
この3項目を内容とした国会の請願署名に取り組み、解説したA4・4ページのリーフレットを作成し、呼びかけ人や関連団体を通じて広く配布。署名は2016年4月~9月まで取り組み、193,197筆を集め、10月26日、国会議員に提出した。請願署名は第192回国会で復興特別委員会に付託されたが審議未了となった。
●活動の成果と課題
・第1期目標にかかげた二つの事項、①子ども・被災者支援法の幅広い適用と具体的な施策の実施、②賠償の時効問題の抜本的な解決のための特別立法のうち、②については今回の原発事故の被害に限り、時効を3年から10年に延ばす特例法が2013年12月4日、国会で成立した。
医療費に関しては、福島県が2015年6月、甲状腺がんとされた子どもたちについては19歳以上に関しても医療費の全額助成を行うことを行うなど、きわめて限定的ながら若干の進展があったが、福島県県民健康調査を受診した患者のみしか利用できないなど課題が残った。。
しかし、その他の請願項目であった、原発事故子ども・被災者支援法は被災者の意見をきくことなく骨抜きにされた。
・第3期の請願の主要な項目であった自主的避難者向けの住宅無償提供の延長に関しては、2017年3月で打ち切られ、避難指示区域は帰還困難区域を除いて2017年3月までに解除された。これらに関する請願は実らなかった。一方で、多くの自治体が住宅提供延長を求める意見書を採択。メディアが報道し、世論も高まった。自治体の中に独自の避難者支援の取り組みを行う動きがでて一定の効果があった。しかし、本来、原発事故被害者への賠償および生活再建のための保障を行うべき国の政策を変えることはできなかった。
●第4期の活動方針
第3期までの運動を継続し、窮状に苦しむ、被害者にとって急務である以下の具体的な事項を求めていきます。
1) 原発事故避難者の住宅支援の打ち切りによる生活困難の現状に鑑み、居住の保障、家賃など経済的支援、生活再建支援を求める。
2) 原発事故被害者の意思を無視した避難指示区域の解除方針の撤回を求める。被害者への賠償の打ち切り撤回を求める。
3) 福島県内外における健診、保養の拡充と医療費の減免を求める。
4) 将来における原子力災害被害者の救済を目的とした新規立法を求める。
【行動方針】
1)原発事故被害当事者・避難者、支援者、保養・甲状腺検診や支援団体、関連市民団体などと連携して具体的な政策提言を継続する。
2)現在の課題を広く共有し、問題の社会的可視化をおこなう。
3)「子ども・被災者支援法」の理念の実現、将来にわたる原子力災害被害者の救済を求める新規立法に関して請願署名に取り組む。
午後3時からの集会では、以下の報告がありました。
《福島の現状》
・継続する事故の被害
…武藤類子さん/原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)
・モニタリングポストの撤去に反対しよう
…片岡輝美さん/モニタリングポストの継続配置を求める市民の会
《避難者は今》
・県外避難者への支援の現状と課題~心のケア活動からみえてきたこと~
…田村啓子さん/新潟県精神保健福祉協会ふくしま支援者サポート事業事務局
・国連人権理事会の勧告と日本政府の対応
…鈴木かずえさん/グリーンピース・ジャパン
…森松明希子さん/郡山市から大阪府に避難
・今、求められていること
…瀬戸大作さん/避難の協同センター
《健康は?》
・子どもたちの甲状腺がんの状態は?
…崎山比早子さん/甲状腺がん子ども基金代表理事
また、集会には、福島県選出の金子恵美衆議院議員や岩渕友参議院議員はじめ、奥野総一郎衆議院議員、阿部知子衆議院議員、大河原雅子衆議院議員、黒岩宇洋衆議院議員、川田龍平参議院議員、福島瑞穂参議院議員などが参加、ご挨拶頂きました。