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東電刑事裁判第21回公判、危険は予測されていた

7月24日、東京地裁で、福島原発事故で強制起訴された東京電力3被告の刑事裁判の第21回公判が開かれました。
証人として証言台に立ったのは、東電設計の安中正氏です。京都大学で地球物理学を専攻し、四国電力で伊方原発の地震活動などを調査。東電設計土木本部に属してから、地震動や津波の工学的解析の専門家として、土木学会の津波評価部会の幹事を1999年の第1期から第4期まで長年務め、土木学会での学者による審議の資料を中心的に作成していました。全電力会社による電力共通研究でも、東電設計など3社JVの責任者として全体を取りまとめていました。いわば、電力業界の津波対策の実務責任者です。東電設計は、東京電力の100%子会社で、地震本部の長期評価に基づき福島第1原発への津波評価を行った結果、15.7mの津波高をシュミレーションしていました。
2003年からは、原発の敷地高を超える津波が、どのくらいの確率で襲来するか計算する「確率論的津波ハザード解析」に取り組み、東電からのオーダーに対しても全体を指導、2004年12月に「津波ハザード解析委託報告書」を作成しています。この時、三陸沖から房総沖までの日本海溝沿いの津波地震も1万分の1の確率で9mの津波高と計算されていました。この値は、当時の津波想定5.7mを超え、非常用ポンプが水没する津波高さであり、この時点で、既に事故の危険が予測されていたことは明らかになりました。
さらに、土木学会は、2009年3月に報告書をまとめました。東電設計は2010年5月、「貞観津波ハザード計算用解析」をまとめ、東電の高尾氏ら報告されましたが、1万年に1回の津波高が11.5mになっため、高尾氏は「50年発生確率の結果は、1オーダー程度低くならないかという印象」と、第1原発にとって低くなるモデルにできないかと、話したといいます。
また、地震本部の長期評価に対する、土木学会の専門家への重み付けアンケートについて。2004年度と2008年度に実施されていますが、その際、安中氏のアンケートへの回答が変化していることについて尋ねられ、過去に起きたことがある場所だけで津波地震が起きるという考え方に重きをおいていたのが、「どこでも津波地震が起きる」という長期評価の考え方重視に変化した理由は、「スマトラ島沖津波、貞観地震が報告されるようになり、400年では少ないないのではと思ったので」と証言しました。
 
by kazu1206k | 2018-07-24 23:31 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k