常務会で津波対策了承!東電刑事裁判、大詰めに

 9月5日午前10時、台風一過の東京地裁で福島原発事故で強制起訴された東京電力3被告の刑事裁判の第24回公判が開かれました。
 第24回公判では、驚くべき新事実が明らかになりました。なんと、「地震本部による長期評価を社内でどう決めたか」について、平成20年(2008年)当時、原子力設備管理部のナンバー2で地震津波対策の事実上のトップ、新潟県中越沖地震対策センター長であった山下和彦氏が検察に供述していたのだ。
 それは、「部内でバックチェックに長期評価の取り入れを決定。武黒・武藤に伝えられ、平成20年2月26日に勝俣・清水に中越沖地震対応打合せ、御前会議で報告した。勝俣からも清水からも反対はなく、耐震バックチェックについての原子力設備管理部の方針は了承された」「平成20年3月11日の第2453常務会」で吉田昌郎氏が報告して承認されていたのだ。とうとう、3被告の関与が決定的になった。動かぬ証拠=供述調書を裁判所が採用したのだ。その証拠採用された供述調書を指定弁護士の渋村弁護士が2時間にわたって朗読したのです。
 山下和彦氏は「ポンプ水密化などであれば、平成21年6月のバックチェック完了に間に合うと思っていた。長期評価を取り入れ、酒井GMから津波高15.7mの対策と聞き、10mだと思っていたので驚いた」「平成20年6月10日に武藤本部長に報告したが、少し驚き、数値を少し下げられないかと聞いた。宿題を出され、この日は決定しなかった」「7月31日宿題を報告。数値を下げるのを房総沖の波源モデルにし、沖合防潮堤の工事期間は4年。平成21年6月までバックチェックを完成させないと原子炉停止の可能性があり、停止リスクあり、数百億円の支出決められない」「武藤本部長は権威ある第三者に決めてもらおうと、土木学会に波源モデル決めてもらう」「東電方針を保安院や安全委員会が了解するとは限らないので、有力な学者に決めてもらうことになった」など、「卓袱台返し」の実態を証言しています。
  また、第24回公判では、弁護側証人の東電社員の西村功氏が証言。原子力設備管理部の建築グループで、原子力の耐震設計業務を担当し地震動の評価をしていた。被告人の無罪主張に沿って、「基準地震動」「長期評価」「東通原発の設置許可申請」「バックチェックの中間報告」など証言したものの、指定弁護士の石田弁護士による質問、東通原発の設置許可申請書に地震本部の長期評価が記載されていることについて、「私では分かりかねる」とし、さらに、津波評価が「TP7.4m」から「TP11.2m」に補正されたことについても「承知していない。お答えできない」と詰まり、地震本部を取り入れて数値を補正したことについて知らないのか、との問いに「知らない」と連発、事実を覆い隠そうとして馬脚を現しました。
 さらに、第24回公判の開始に先立って、福島原発刑事訴訟支援団は、福島原発告訴団、弁護団、さらに呼びかけ人と賛同人の連名で、「検察官役の指定弁護士らが求めた東京電力福島原発事故刑事訴訟の現場検証等に関する要請書」(下記に掲載)を、東京地裁刑事第4部の永渕憲一裁判長に提出し、指定弁護士の意見に全面的に賛同し、あらためて、福島第一原子カ発電所、双葉病院、ドーヴィル双葉、救助避難経路において検証するよう求めました。
 東電刑事裁判、いよいよ、大詰めに入ってきました。今月も5日、7日、18日、19日、21日の怒涛の公判期日です。10月には、被告人の本人尋問が見えてきました。なんとしても、無念の死を迎えた44名の人々はじめ、事故被害者、被災者の苦境をのり超えていくために、東京地裁が現場検証を行い、厳正な判決を下すよう、みんなで手を取り、前へ歩みを進めましょう。


検察官役の指定弁護士らが求めた東京電力福島原発事故刑事訴訟の現場検証等に関する要請書

事件番号 平成28年刑(わ)374号
平成30年(2018年)9月5日
東京地方裁判所 刑事第4部 御中
裁判長 永渕健一 殿


福島原発刑事訴訟支援団
福島原発告訴団
福島原発告訴団弁護団


 貴職の日頃の活動に敬意を表します。
 私たちは、東京電力福島第一原発事故により強制起訴された、勝俣元会長ら東京電力旧経営陣3被告人の業務上過失致死傷事件で、被告人らを告訴・告発した福島県民などからなる団体です。事故から7年半の間、東京電力福島第一原発事故の真相と刑事責任の所在が一日も早く明らかになることを願って参りました。
 7月25日の第22回公判期日で、検察官役指定弁護士の久保内浩嗣弁護士が、検証請求に関する意見陳述を口頭で行いました。福島原発刑事訴訟支援団と福島原発告訴団も7月11日付で東京電力福島原発事故刑事訴訟の現場検証に関する要請書を提出しているところです。
 指定弁護士は平成29年3月10日付け検証請求書で、福島第一原子力発電所、双葉病院、ドーヴィル双葉、救助避難経路において検証するよう求め、また、同年9月19日に補充意見書、平成30年7月20日に補充意見書(2)を提出されています。
福島第一原発の現地を訪れれば、敷地の周りが切り立った崖地であることが分かり、高さ30mの敷地を20m掘り下げたために津波に対して脆弱になったことが分かります。
 指定弁護士は意見陳述において、「この争点を判断するには」、「事故発生の経過を、具体的、現実的に理解することが不可欠です」、「そのためには、同発電所を直接に見分し」、「裁判官の五官によって検証する必要があります」と述べています。そして最後に「現場に臨めば、本件原子力発電所がいかに海面に接した場所に設置されているか、津波の襲来に対する十分な対策が必要であったか、が一見してわかります。本件について正しい判決をするためには、本件原子力発電所の検証が必要不可欠です。」と結んでいます。
 私たちも、指定弁護士の意見について、全面的に賛同します。その現場を見た上でなければ、厳正なる判決は下せないものと考えます。
 そして、被害の実態を詳細に把握するためにも、本件事故被害者が傷害を負った現場や、尊い命が奪われた44名が治療・看護を受けていた現場などについても、是非、現場検証などの手段で、見分していただくことを要請します。よろしくご検討をお願いします。
以上


福島原発刑事訴訟支援団 呼びかけ人
 石丸小四郎(福島原発刑事訴訟支援団 副団長)
 海渡雄一(弁護士)
 鎌田慧(ルポライター)
 河合弘之(弁護士)
 神田香織(講談師)
 佐藤和良(福島原発刑事訴訟支援団 団長)
 添田孝史(科学ジャーナリスト)
 満田夏花(認定特定非営利活動法人 FoEJapan 理事)
 水戸喜代子(子ども脱被ばく裁判の会 共同代表)
 武藤類子(福島原発告訴団 団長)

福島原発刑事訴訟支援団 賛同人
 明石昇二郎(ルポライター)
 秋山豊寛(ジャーナリスト)
 安積遊歩(人権活動家)
 石田紀郎(特定非営利活動法人 市民環境研究所 代表理事)
 李政美(歌手)
 今中哲二(京都大学 複合原子力科学研究所 研究員)
 小森陽一(国文学者)
 崎山比早子(医学博士/特定非営利活動法人 3・11甲状腺がん子ども基金 代表理事)
 島田恵(映画監督/写真家)
 高木久仁子(認定特定非営利活動法人 高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
 高橋哲哉(東京大学大学院 教授)
 中島哲演(福井から原発を止める裁判の会 代表)
 中村隆市(株式会社ウインドファーム 代表)
 ノーマ・フィールド(シカゴ大学 名誉教授)
 藤崎光子(JR福知山線脱線事故遺族)
 湯浅一郎(特定非営利活動法人 ピースデポ 共同代表)
 横湯園子(教育臨床心理学者)
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by kazu1206k | 2018-09-05 23:34 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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