一般質問報告2−トリチウム等汚染水、子ども・被災者支援法予算
2018年 09月 12日
第2回は、「2 いのちを守る、原子力災害対策の充実について」の「(1)復興予算の不用残と原発事故子ども・被災者支援法関連予算の確保について」から「(2)水産業などに打撃を与えるトリチウム等汚染水の海洋放出中止について」まで、です。
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1 いのちを守る、地域防災の強化について(第1回)
(1)市有施設など市内のブロック塀等の安全確保について(第1回)
(2)避難行動要支援者への対応と避難所の職員配置の見直しについて(第1回)
(3)防災メールの充実について(第1回)
(4)藤原川水系矢田川の堆砂等除去と防災行動計画(タイムライン)について(第1回)
2 いのちを守る、原子力災害対策の充実について(第2回)
(1)復興予算の不用残と原発事故子ども・被災者支援法関連予算の確保について (第2回)
(2)水産業などに打撃を与えるトリチウム等汚染水の海洋放出中止について(第2回)
3 いわき市の再生と地域課題の解決について (第3回)
(1)小中学校の普通教室のエアコン設置と校務支援システムの導入について (第3回)
(2)(仮称)遠野風力発電事業に伴うクマタカの保護とゾーニングについて (第3回)
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大きな第二点は、いのちを守る、原子力災害対策の充実について、です。
1点目は、復興予算の不用残と原発事故子ども・被災者支援法関連予算の確保について、です。
「原発事故子ども・被災者支援法」は、支援対象地域である本市を含む県内33市町村からの「移動先における住宅の確保」、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」、「医療の提供」「費用負担の減免」等の施策を講ずる事を定めています。
しかし、国や県の住宅支援制度が限定的で、福島県による民間賃貸住宅への家賃支援も2019年3月には打ち切られます。一方で、全国保養実態調査報告書では、234以上の団体で推定15,000人の子どもたちが保養に参加、保養ニーズが増えるなど政府の帰還政策の矛盾が現れています。さらに、リアルタイム線量測定システムも多くの自治体等が継続配置を求めています。こうした現状で、国は2017年度復興予算3兆3千億円の内、3865億円を使い道のない「不用額」として不評をかっております。
⑨そこで、復興予算の不用残について、本市はどのように認識しているか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
佐藤議員がただいまお話になりました通り、去る7月末に復興庁が発表した「平成29年度東日本大震災復興関連予算の執行状況」によりますと、国全体での当該年度の歳出予算現額の総額は約3兆3千億円で、これに対し、不用額は3,865億円であり、歳出予算現額に占める割合は11.7%となっております。
不用額の主な内容といたしましては、「原子力災害からの復興・再生」関連が1,625億円、「住宅再建・復興まちづくり」関連が762億円などであり、これらは、それぞれの事業計画の見直しや進捗状況に応じて生じたものと捉えております。
部長仰る様に基本的な箇所付けがされているから、そこで「不用残」が出たということでありますけれでも、冒頭申し上げました様に、この原発事故子ども・被災者支援法関連予算では、非常に箇所付けが圧縮されている、あるいは箇所付けがないということがありまして、そういう点で、法の具体的な具現化ということが少し疎かになってきている、基本方針が作られているわけですけれども、その中でも、非常に縮小されてきているということがあるものですから、
⑩原発事故子ども・被災者支援法関連予算の確保について、公営住宅や民間賃貸住宅の家賃支援などの継続的な住宅支援、さらに「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」の改善と事業費の増額、リアルタイム線量測定システムの配置の継続など、本市としても、国並びに福島県に対して、原発事故子ども・被災者支援法関連予算の確保に向けた要望活動を強めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(市長)
原子力災害からの復興・再生は、国を挙げて、長期的に取り組んでいかなければならない重要な課題と認識しており、生活支援や教育、医療、福祉などの面から被災者に対する支援をしっかりと継続していくためには、国・県に十分な財源を確保していただくことが極めて重要であると考えております。
このため、「原発事故子ども・被災者支援法」関連をはじめ、原子力災害からの復興・再生に関わる十分な予算措置について、国会議員及び県議会議員との意見交換会や、復興に関連する省庁の大臣や福島県知事等が参加する「原子力災害からの福島復興再生協議会」などの場、さらには「いわき市と双葉郡8町村の合同要望」や市長会等を通した要望など、あらゆる機会を捉え、国・県に対する働きかけを継続して行って参りたいと考えております。
例示しました、リアルタイム線量測定システムも来年度、2019年度までは概算予算要求されておりますけれども、20年度以降概算予算に入ってくるのかどうかということは、規制庁も言ってないんです。ですから、そういうことも含めて個別の事業について、きちんと基礎自治体の方から物を言っていくということは非常に大事だと思いますので、引き続き要望活動をよろしくお願いしたいと思います。
2点目は、水産業などに打撃を与えるトリチウム等汚染水の海洋放出中止について、です。
福島第一原発事故の汚染水=貯蔵液体放射性廃棄物を、希釈して海に流せば最も短期間・低コストで処分できるとして、経済産業省の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会が、8月30日31日に富岡町などで「説明・公聴会」を開催しましたが、意見表明した44名中、海洋放出に賛成はわずか2名でした。また、朝日新聞社等による福島県民世論調査でも「薄めて海に流すこと」について反対67%、賛成19%でした。
⑪まず、国・原子力規制委員会等のミスリードについて、です。トリチウム以外の放射性核種を除去したと説明してきましたが、トリチウム以外でも基準値を超えた半減期1570万年のヨウ素129とストロンチウム90、さらにルテニウム106など複数の核種の残存が判明し、恣意的意図的な議論で、国民世論をミスリードするものでした。本市は、こうした国・原子力規制委員会や小委員会が、情報を囲い込み、世論をミスリードしてきたことに抗議すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
多核種除去設備で処理した汚染水、いわゆるALPS処理水に、法令で定める排水中の濃度限度を超えたトリチウム以外の放射性物質が含まれていることにつきましては、当該設備が平成26年度に稼働した当初から国及び東京電力がホームページで公表していたところではありますが、東京電力はこれまで「トリチウム以外は除去できている」と発言し、国においても、ALPS処理水の取扱いに係る検討をトリチウムのみに特化するなど、正確かつ丁寧な情報発信に欠けていたものと考えております。
これまでも、市といたしましては、再三にわたり国及び東京電力に対し、関係者や住民の皆様に対して正しい情報を分かりやすく丁寧に説明し、理解を得ることについて求めてきたところでありますが、改めて、様々な機会を捉えて強く求めて参りたいと考えております。
⑫次に、トリチウム等汚染水=貯蔵液体放射性廃棄物の情報公開や総量規制について、です。事故後の港湾内外への核種毎の放射能の総放出量や貯蔵タンク内の核種毎の放射能総量などの情報も非公開です。海洋放出に関する環境アセスや総量規制も実施されず、海洋放出では、総量1,000兆ベクレルのトリチウムはじめ複数核種が全量投棄されます。市民の生命・財産を守るため、信頼できる情報の公開と総量規制等の公正な議論を行うように、国・原子力規制委員会、小委員会等関係機関に求めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
ALPS処理水につきましては、東京電力では「タンクごとの放射性物質の濃度等、その状況を把握していない」とのことであり、市といたしましては、今後、ALPS処理水の取扱いの検討を進めるにあたっては、タンク内ALPS処理水の正確な状況を把握し、その状況を踏まえ、慎重に議論を行うよう、国及び東京電力に対して求めて参りたいと考えております。
⑬次に、トリチウム等汚染水=貯蔵液体放射性廃棄物の陸上保管の要望について、です。予防原則に立って、タンク保管や固化保管等安全な陸上保管を進めることが現実的であり、本市としても漁業・水産業、市民生活を守る立場から、国や関係機関に対し、県漁連が求めるトリチウム等汚染水=貯蔵液体放射性廃棄物の陸上保管を要望すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
先に開催された「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会」では、海洋放出に対し多数の反対意見が寄せられたほか、タンクなど陸上での長期保管を求める声等が相次ぎ、小委員会の山本一良委員長からは、「反対意見を重く受け止め、今後は頂いた意見を踏まえた検討を続ける」という発言があり、タンク保管を選択肢に加えた検討という考えが示されております。
そのことから、市といたしましては、国及び東京電力に対し、ALPS処理水の取扱いに関して、市民の安全・安心はもとより、風評等の社会的影響も十分考慮し、慎重に議論を行うよう求めて参りたいと考えております。
⑬−2 危機管理監、今の質問は、漁連が求めている陸上保管を、市も求めるべきではないかという質問なんですが、私も、8月30日の富岡町で意見表明させていただきましたけど、県漁連の野崎会長が、本当にここで汚染水を流されれば、漁業は壊滅するということまではっきり仰ってるんですね。
漁連としては、地下水バイパスとサブドレンの時に、苦渋の選択をして放出を認めた経緯がある。その時にトリチウム等の汚染水は流さないということで、経済産業省側も約束したではないかということなんですね。
ですから、今回、トリチウムの汚染水を海洋放出する選択はあり得ないと、これは、漁業・水産業ももちろんですけども、関連の観光、我々もずっと「常磐もの」と一生懸命宣伝してきたことが、水泡に帰してしまうわけで、これは絶対に認められないのだということを、改めて「陸上保管すべし」と。
これはできないわけではなく、あの場でも提案されましたけど、石油備蓄基地でとられているような10万トンのタンクにリプレイスして作るだけで間に合ってしまう話なんです。それは、今もフランジ型のボルトで締めて漏れたと問題になったやつを「溶接型」のタンクにリプレイスしているんです。ですから、そのことは、今の用地内でできるわけで、用地がないからダメだという説明自体、やはりミスリードしているというふうに思うのです。
ですから、そういう意味でが、この県漁連、漁業者、水産業含めまして、市民が願っている「陸上保管」ということを改めて、要望すべきではないかという質問なんです。市長、いかがですか。
—答弁(市長)
ただいま、危機管理監から答弁申しあげましたとおり、多核種除去設備等の取り扱いに
関する小委員会におきましては、今後公聴会で多数寄せられました海洋放出反対という意見を重く受け止め、タンク保管を新たに選択肢に加えて検討を行うとのことでありますので、市といたしましては、国及び東京電力に対し、ALPS処理水の取扱いに関しまして、市民の安全・安心はもとより、風評等の社会的影響も十分考慮し、慎重に議論を行うよう求めて参りたいと考えております。
やっぱりここは、野崎会長以下、県漁連が一生懸命頑張っておりますので、是非とも漁業者を守るということは、我々市民生活を守るということですので、オールいわきで頑張ってやっていければと思いますので、宜しくお願いしたいともいます。
壊滅的な打撃を与える海洋放出に毅然とした対応を改めて要望しまして、次の質問に移ります。
(第3回に続く)