「事故がなければ、患者は死なずに済んだ」、東電刑事裁判
2018年 09月 22日
寝たきりの患者さんの避難がとても難しい状況下で、放射能で汚染され、通信手段も確保できない中で、患者の搬送や受け入れの救護体制をつくれず、患者さんが衰弱して亡くなっていく様子が浮かび上がり、「バスの扉を開けた瞬間に異臭がして衝撃を受けた。座ったまま亡くなっている人もいた」と副看護部長が証言。法廷は、驚きと悔しさ、悲しみに包まれました。
双葉病院に勤務していた医師は、「避難が無ければ、すぐ亡くなる人はいなかった」と証言し、「自力で痰を出せない人は、長時間の移動で水分の補給が十分でない中で、たんの粘着度が増してくるので、痰の吸引のようなケアを受けられないと呼吸不全を引き起こす。寝たきりの人も100人ぐらいいたが、病院では2時間ごとに体位交換をする。そんなケアができないと静脈血栓ができて、肺梗塞を起こして致命的な状況になる」と、長時間の移動が死を引き起こした原因を説明しました。
3月14日に、ドーヴィル双葉から98人の入所者をバスに載せて送り出したケアマネージャーは、「避難する時には、普段の状況でバスに乗っていかれたので、死亡することは予想できませんでした。移動すれば解放され、正直助かったと思いました。その後、次々亡くなる人が出てショックでした。原発事故が無ければ、そのまま施設で生活出来ていたと思います」と証言しました。
双葉病院の患者さん32人、ドーヴィル双葉の入所者さん12人の命が奪われました。
第27回公判では、検察官役の指定弁護士が「とうちゃんは、2010年5月にドーヴィル双葉に入所。2週間に1回、土曜日に会っていた。顔を合わせるとにっこりしていた。3月17日に電話で遺体の確認をしてくださいと言われ、現実のように思えませんでした。『放射能がついているかも知れないので、棺は開けないで下さい』と県職員に言われた。東電や国の中で責任がある人がいれば、その人は責任を取ってほしい」と、夫を亡くした女性の供述を読み上げました。
おびただしい無念の死に、裁判所は、責任の所在を明らかにする義務があります。