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「事故がなければ、患者は死なずに済んだ」、東電刑事裁判

 東電刑事裁判、いよいよ、大詰めに入ってきました。福島原発事故で強制起訴された東京電力3被告の刑事裁判は、9月18日19日の第26回・27回公判で、被告ら東電が、津波を予測しながら対策を怠ったために引き起こした事故が、どんな形で患者さんを死に追いやったか、福島第一原発から4.5キロ地点の大熊町の双葉病院の事故当時の副看護部長や医師、さらに、ドーヴィル双葉の男性ケアマネージャーなどが、当時の生々しい被害の状況を詳しく証言しました。
 寝たきりの患者さんの避難がとても難しい状況下で、放射能で汚染され、通信手段も確保できない中で、患者の搬送や受け入れの救護体制をつくれず、患者さんが衰弱して亡くなっていく様子が浮かび上がり、「バスの扉を開けた瞬間に異臭がして衝撃を受けた。座ったまま亡くなっている人もいた」と副看護部長が証言。法廷は、驚きと悔しさ、悲しみに包まれました。
  双葉病院に勤務していた医師は、「避難が無ければ、すぐ亡くなる人はいなかった」と証言し、「自力で痰を出せない人は、長時間の移動で水分の補給が十分でない中で、たんの粘着度が増してくるので、痰の吸引のようなケアを受けられないと呼吸不全を引き起こす。寝たきりの人も100人ぐらいいたが、病院では2時間ごとに体位交換をする。そんなケアができないと静脈血栓ができて、肺梗塞を起こして致命的な状況になる」と、長時間の移動が死を引き起こした原因を説明しました。
 3月14日に、ドーヴィル双葉から98人の入所者をバスに載せて送り出したケアマネージャーは、「避難する時には、普段の状況でバスに乗っていかれたので、死亡することは予想できませんでした。移動すれば解放され、正直助かったと思いました。その後、次々亡くなる人が出てショックでした。原発事故が無ければ、そのまま施設で生活出来ていたと思います」と証言しました。
 双葉病院の患者さん32人、ドーヴィル双葉の入所者さん12人の命が奪われました。
 第27回公判では、検察官役の指定弁護士が「とうちゃんは、2010年5月にドーヴィル双葉に入所。2週間に1回、土曜日に会っていた。顔を合わせるとにっこりしていた。3月17日に電話で遺体の確認をしてくださいと言われ、現実のように思えませんでした。『放射能がついているかも知れないので、棺は開けないで下さい』と県職員に言われた。東電や国の中で責任がある人がいれば、その人は責任を取ってほしい」と、夫を亡くした女性の供述を読み上げました。
 おびただしい無念の死に、裁判所は、責任の所在を明らかにする義務があります。
by kazu1206k | 2018-09-22 23:52 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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