復興創生対策特別委員会の中間報告
2018年 09月 27日
復興創生対策特別委員会は、東日本大震災に係る復興と創生に関する事項を調査し提言する特別委員会で任期は4年間。被災市民への支援はじめ、双葉郡からの避難者への対応や福島第一原発事故への対応等について、調査し提言するものです。
昨年は、東京電力福島第一・第二原子力発電所の現状について、東京電力ホールディングス株式会社から説明を受けて現地調査を行い、いわき市議会として、東京電力に対し、東京電力福島第二原子力発電所の早急な廃炉方針を決定や東京電力福島第一・第二原子力発電所の有事における正確な情報提供、放射性物質の飛散防止対策の徹底、トリチウム汚染水の海洋放出は行わないことなどを申し入れています。
今回の報告は、任期半ばの中間報告です。以下に紹介します。
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復興創生対策特別委員会の中間報告を申し上げます。
当特別委員会は、本市の真の復興に向けて取り組むべき課題が残されている中、本市の創生を見据えつつ、これらの課題について、さまざまな角度から調査し提言するため、平成28年12月に設置され、これまで、東京電力福島第一・第二原子力発電所や市内の津波被災地域の現状について、調査を行ってきましたので、その概要を御報告申し上げます。
初めに、東京電力福島第一・第二原子力発電所に関しては、東京電力ホールディングス株式会社福島復興本社に対し委員会への出席を求め、第一原発の廃炉作業中に生じた冷却系設備のトラブルなど、市民に不安を与える事象の原因と今後の対応や、事故収束に向けた取り組み、さらには、第二原発の廃炉問題について、説明を受けるとともに、第一・第二原発の現地調査を実施してきたところであります。
これらの調査結果を踏まえ、昨年8月には、市民の安全・安心な暮らしを回復するため、第一原発の着実な事故収束・廃炉と第二原発の廃炉方針の決定を強く求めるため、いわき市議会として申し入れを行いました。
次に、東日本大震災からの復興・創生に関しては、復興が進捗するにつれ、津波被災地域において生じている新たな課題を調査するため、昨年の12月、豊間、薄磯、岩間、小浜、久之浜・大久地区の復興に携わる方々に委員会に出席いただき、現在抱える諸課題について、意見交換を行うとともに、本年1月以降、各地区を個別に回り、詳細な現状を把握するため、現地調査も含めた意見交換会を実施してきたところであります。
これらの調査から見えてきた課題や要望については、各地域に共通するものや特有のものなどがあり、大きく7つの項目に整理しましたので申し上げます。
1点目は、災害公営住宅についてです。
共益費の確保やコミュニティー維持の観点から、空き室対策や現在入居されている方々の生活再建への支援などの充実を求めるものであります。
2点目は、健康と医療についてです。
震災から7年以上が経過し、生活環境の変化に伴い、心身の健康に不安などを感じている被災者へのケアや交通弱者に係る診療所への送迎に対する支援の充実を求めるものであります。
3点目は、道路整備と周辺地域へのアクセス性の向上についてです。
今後の災害発生時の備えや、津波被災地域と周辺地域との交流を深めるため、避難道路や周辺地域へのアクセス道路、また公共交通機関などの充実を求めるものであります。
4点目は、コミュニティー再生と定住促進についてです。
地域に子育て世代などの若い人々を呼び込み、コミュニティーを再生・維持していくため、商業施設を初めとするIT企業や医療機関などの誘致に対する支援、地域の担い手の育成に対する支援の充実を求めるものであります。
5点目は、震災メモリアルについてです。
震災の記憶を人々の心から風化させないため、また、地域活性化に資する施設として有効活用するため、震災メモリアルパークなどの震災関連施設の充実を求めるものであります。
6点目は、地域活性化についてです。
地元産業の活性化は、将来に向けたコミュニティーの維持にも大きな役割を果たすため、被災地域の産業を代表する水産業の復活に向けた支援の充実を求めるものであります。
7点目は、防災緑地の管理についてです。
各地区には、防災緑地が整備されつつあり、サイクリングロードなどの利活用が進められている中で、被災地域の高齢化や担い手不足による維持管理の課題、駐車場やトイレなどの周辺施設整備への支援を求めるものであります。
このほか、東京電力に対する廃炉作業に伴う諸課題への対応や、各地区の防災力向上への対応を求める意見などもありました。
以上、当特別委員会の調査結果を申し上げましたが、震災から7年余りが経過する中で、執行部におかれましては、今後においても、時の経過とともに変化する諸課題を的確に捉え、被災された方々に寄り添った施策に取り組まれるよう要望するとともに、当特別委員会としては、震災からの復興、その先の創生を見据え、引き続き、調査を行っていくことを申し上げ、復興創生対策特別委員会の中間報告を終わります。