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過労死根絶で要請、東電交渉

 11月6日午後、脱原発福島ネットワークなど福島県内の10市民団体は、再開第44回東電交渉を、いわき市平の平送電所で行いました。
 冒頭、東京電力福島第一原子力発電所の事故収束作業で構内自動車整備をしていた作業員が2017年10月26日に亡くなった件で、いわき労働基準監督署が10月17日に労災認定していたことが報道されましたが、東京電力は作業員の死亡を発表した際、作業との因果関係はないと明言していたことを踏まえ、「福島第一原発事故収束作業等に係る労働者の過労死根絶を求める要請書」(下記参照)を提出しました。
 要請書では、「福島第一原発では、毎日5000人もの労働者が作業に従事し、被ばくが増え続けています。わたしたちは、これまでも作業の安全確保、被曝低減、健康管理・生活保障、雇用条件の是正を求めてきたところですが、あらためて、原発事故の収束・廃炉等に携わっている労働者の過労死の根絶に向けて、下記の通り申し入れ、速やかな回答を求めます。」として、「1、過労死認定された作業員の死亡時の状況を明らかにし、遺族に対し誠意ある対応をすること。2、労働現場の総点検を実施して結果を公表し、作業環境の改善、作業員の安全確保を進めること。3、過労死の根絶に向け、協力企業と一体となって法令を遵守し、長時間労働を規制すること。」の3点への回答を求めました。
 また、今回の東電交渉は、前々回継続している「トリチウム汚染水の海洋放出をやめ、安全な保管を求める要請書」についての再々質問に対する、東電の回答とて質疑。さらに、「東海第二原発の再稼働のための日本原電への資金援助に反対し、福島第一原発事故被害者への完全な損害賠償を求める要請書」への再々々質問への回答、「陸側遮水壁」の電気代と維持管理費などについて、1・2号機排気筒の解体計画工事と飛散防止対策、などについても質疑しました。

福島第一原発事故収束作業等に係る労働者の過労死根絶を求める要請書

東京電力ホールデングス(株)代表執行役社長 小早川 智明 様      2018年11月6日

 東京電力福島第一原子力発電所の事故収束作業で構内自動車整備をしていた作業員が2017年10月26日に亡くなった件で、いわき労働基準監督署が10月17日に労災認定していたことが報道されました。貴社は作業員の死亡を発表した際、作業との因果関係はないと明言していました。福島第一原発の作業で過労死が認められたのは、事故直後の2011年5月に過酷労働で亡くなった静岡県の作業員のケースがあります。
 亡くなった作業員は、亡くなる5年前の2012年3月にいわき市内の自動車整備・レンタル企業に入社以来、福島第一原発構内で車両整備にあたってきました。死亡当日、昼休み後、午後の作業に行く時に倒れ、午後2時半過ぎに広野町の高野病院で死亡を確認、死因は致死性不整脈と診断されましたが、構内で倒れたときの詳しい状況は、わかっていません。
 亡くなった作業員は、2017年4月以降、月曜から金曜、朝4時半に出勤し一般道で福島第一原発に移動、事務所に戻るのが夕方5時から6時という生活が続きました。遺族らは、亡くなる直前の3か月間の平均残業時間は約105時間。亡くなる半年前からの1か月あたりの残業時間は最大で130時間超、平均で110時間に達していたとして18年3月にいわき労基署に労災申請していました。
 厚労省は、労災認定基準について「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」としていることから、いわき労基署が認定基準を満たしていると判断したものです。
 貴社は、2014年6月に、構内に車両整備場を設置。亡くなった作業員は、車両整備場の設置と同時に派遣され、元請けは当初は東電リース、2016年から宇徳になっています。2015年5月、貴社は、2015年度、車両整備場で整備士5人/日の体制で実施可能台数計488台を整備する計画でしたが、普通車:541台、大型車:250台計791台の全ての構内専用車両を整備するには、プラス3~5人/日が必要とし「今後、構内で車両整備する整備士の確保が課題となってくる」としていました。
 その後、4名体制(工場長+整備士3名)となり、整備士の数は減ってしまい、作業はさらに厳しくなる一方で、貴社は、2017年1月に構内専用の全車両を、それまでの12か月点検に加えて24か月点検を実施し、2018年9月までに小型620台、大型189台の計809台全車両の点検を完了するという目標を発表。2017年5月には、車両整備場の稼働日数が1日増えて週5日になり、整備士の数が減ったまま、作業量を増やしてきたのが実態です。
福島第一原発の車両整備は、車両の放射能汚染が激しいため、作業は全面マスク、防護服の上にカバーオールを着て行い、通常の整備作業をはるかに超える大きな負担になっていました。こうした厳しい作業環境が体調にどのような影響を及ぼしたのか、長時間労働が身体に大きなストレスを与えたことが推察されます。
 福島第一原発では、毎日5000人もの労働者が作業に従事し、被ばくが増え続けています。わたしたちは、これまでも作業の安全確保、被曝低減、健康管理・生活保障、雇用条件の是正を求めてきたところですが、あらためて、原発事故の収束・廃炉等に携わっている労働者の過労死の根絶に向けて、下記の通り申し入れ、速やかな回答を求めます。
              記
1、過労死認定された作業員の死亡時の状況を明らかにし、遺族に対し誠意ある対応をすること。
2、労働現場の総点検を実施して結果を公表し、作業環境の改善、作業員の安全確保を進めること。
3、過労死の根絶に向け、協力企業と一体となって法令を遵守し、長時間労働を規制すること。

                          以上

命を守る三春の会   風下の会福島   脱原発の日実行委員会福島  脱原発福島ネットワーク
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by kazu1206k | 2018-11-06 22:21 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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