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禁錮5年の求刑、情報収集義務怠った責任極めて重い

 12月26日、とうとう、東電福島原発事故で強制起訴された元東電幹部3被告に、業務上過失致死傷罪の法定刑として最大の禁錮5年が求刑されました。
 2011年3月11日の事故以来7年9ヶ月、福島県民そして全国から1万4千余の人々が告訴して、2度の不起訴、市民による検査審査会の強制起訴と、粘り強く、あきらめず事故の真相と責任を追及してきた結果です。
 26日の第35回公判では、検察官役の指定弁護士による最終意見である論告が、午前10時から午後5時過ぎまで行われました。
 論告の冒頭、石田省三郎指定弁護士は、はじめにとして、被告人質問での3被告の謝罪について「とても虚しい気持ちで眺めていたのは、我々だけではないと思います」と切り出し、「自らの事故の責任を否定し、他者にその責任を転嫁しようとする供述ばかりで」、「原子力発電所の運転・安全保全業務をその重要な責務とする原子力事業者の最高経営層に属するものの態度としては、到底考えられないもの」と強く批判しました。
 そして、原子力発電所は、「極めて重大な潜在的危険性を内包し、一度事故が起きれば取り返しのつかない結果を引き起こし、永遠に故郷を奪い、多くの人々を生命の危険に曝し、おびただしい損害を与える」ことから、「万が一にも、このような重大事故を引き起こすことがあってはならない」とし、「被告人らに『できないことをやるべきだった』と言っているのではなく『できることがあったのに、それをしなかった』」「被告人らには、当然でき、なすべきことであったのに、何もしなかったのではないか、何もしないで、漫然と福島第一原子力発電所の運転を継続することにより、本件事故を引き起こし、多くの人々を死に至らしめ、負傷させ、そして、これに関係する人々にも塗炭の苦しみを強いることになったのではないか」と指摘しました。
 検察審査会の皆さんの判断について、「極めて常識的で正鵠を得たもの」、「当初の不起訴の判断は全くの誤りであった」と評価。
 「東京電力から押収された多くの資料、会議録、メールなどを時系列的におっていくと、被告人らが、巨大津波の襲来を予見できる様々な機会を持ちながら、これをないがしろにし、もっともらしい理由をつけて、防護措置をとることを引き伸ばし、怠っていたことが、浮かび上がってきました」としました。
 そして、被告人らの過失責任を問うための一つのキーワードが、「情報収集義務」としました。
 それは、原子力発電所に存在する潜在的、抽象的危険性に関する危惧ではなく、「一定の重要かつ具体的な情報に接し、あるいは接する機会があったことを契機として、東京電力の最高経営層に課せられる具体的義務があり、これを怠ったとして、その刑事責任の存在を指摘」したものです。その「具体的情報の典型が、『O.P.+15.707m』という情報であり、『中越沖地震対応打ち合わせ』つまり『御前会議』の席上に提供された様々な客観的情報」であるとしました。その上で、「これらの情報を契機として、被告人らが他者に物事を委ねることなく、自らその権限と責任において、積極的に情報を取得し、これらの情報に基づいて的確かつ具体的な対策を提起し、これを実行に移してさえいれば、本件のような世界に例をみない悲惨な重大事故を防ぐことができたのです」と結論づけました。
 論告では、この情報収集義務」の契機となる具体的な諸事情に焦点を当て、法廷での取り調べた証拠によって、被告人らの刑事上の過失責任が証明されたことが、以下の点で詳細に論証されたのです。
 第1 本件事故の経過と原因
 第2 被害の状況
第3 被告人らの立場と「情報収集義務」契機となる事実
第4 地震対策センター土木調査グループの活動
第5 長期評価の信頼性
第6 結果回避義務の内容と結果回避の可能性
第7 被告人らの「情報収集義務の懈怠と過失責任
第8 情状
 最後の情状で、被告人ら3人の犯情について、結果の大きさ、被告人の地位・立場・権限の大きさ、注意義務懈怠の大きさの3つの要素がいずれも極めて大きく、業務上過失致死傷罪の中でも、極めて重いとしました。
 その上で、過去の裁判例も3つの要素がいずれも大きなものは厳しい量刑がされているとして、45名死亡22名負傷の川治プリンスホテル事件が禁固2年6月の実刑、32名死亡24名負傷のホテル・ニュージャパン事件が禁固3年の実刑だったことを挙げ、被告人らは「やるべきことはやってきた、だから全く責任を負うものではないといって、なんらの反省の態度も示していません」「被告人らに有利に斟酌する事情は何ひとつないのです」「また、被告人ら3名の責任の大きさに差をつける事情もありません」として、業務上過失致死傷罪の禁固刑としては法定刑の上限となる5年を求めたのでした。

 27日は、被害者遺族の代理人として、福島原発告訴団以来、頑張ってきた海渡雄一弁護士、甫守一樹弁護士、大河陽子弁護士が意見陳述し、来年3月12・13日の最終弁論を経て結審です。
 わたしたちは、東京地裁が厳正な判決を行うことを求めて、署名活動を行なっています。ぜひ、ご協力をお願い致します。
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/syomei-A4.pdf

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by kazu1206k | 2018-12-28 23:38 | 脱原発 | Comments(0)