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福島第一原発過労死裁判、遺族の訴え

 2017年10月に、福島第一原発構内で働いていた自動車整備士・猪狩忠昭さんが長時間労働で過労死した事件で、ご遺族は雇用元・元請け・東京電力の三社を相手取って、安全配慮義務違反等の損害賠償請求訴訟を、2019年2月13日、福島地方裁判所いわき支部に提起しました。
 3月25日午後、同支部で第1回口頭弁論が開かれ、ご遺族が原告として意見陳述を行いました。
 ご了解を得て、原告の意見陳述をご紹介します。
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福島地方裁判所いわき支部
民事部御中
2019年3月25日
                  原告
陳述書

昨年10月16日、夫の命日10日前に、労災認定の連絡を受けました。
夫が亡くなってからの一年間、沢山の方々のご協力により、数々の聞き取りと調査などの結果、長時間労働が認められました。
しかし、私共の調査聞き取りから、亡くなった当日の状況に、隠蔽の疑惑があります。
当時、宇徳の関係者及び同僚整備士より、当日の時系列での状況を聞いていた内容と、医師らのカルテの内容の相違や、警察の事情聴取に、現場にいて関わった人全員がなぜ受けなかったのかなど、まだまだ多くの不信があります。
夫の死亡原因が長時間労働だけではない事を明らかににする為、
人命よりも利益を優先する企業に対して、真実の追求と夫の名誉の為、今回提訴に至りました。
死亡当日の事実、隠蔽を裁判を通して明らかにして下さい。
当日夫に携わった方全員の証言を求めます。
また、労災認定を受けても尚、企業側は当初からの「認識が違う、コメントする立場にない」などと、一貫して不誠実な対応を変えません。非人道的な発言、対応を許せません。

夫の遺品の携帯に残された写真から、私達家族が知り得なかった、日々の作業の大変さや、証拠と成りうる資料などが、沢山ありました。
しかし、あらゆる証拠を携帯に残して亡くなった夫は、本当は家族に話したかった事や、不測の事態を覚悟していたのではないか?何かあれば頼むぞ、と言っている様に感じてなりません。
夫が亡くなってから、整備士、作業員同士の絆や、他社からの引き抜きの話を断っていたなどを耳にし、夫は原発事故収束作業に携わる事に誇りを持って、惜しげも無く技術を提供し働いていた事が想像出来ました。
今現在も4000人以上の作業員の方が、被ばくと言うリスクを背負って作業に従事しております。命を削って働いています。彼らがいなければ、収束はあり得ません。
原発作業員の労働環境、賃金の改善、危険手当の完全支給、救急医療措置、放射線被ばく管理、安全確保、健康管理、生活保障、雇用条件の是正
これまで尊い命を落とされた方々の再調査を要求します。

東京電力の記者会見での「作業との因果関係はない、労災といったものではない」との断言に対しての撤回と謝罪、
死亡時の説明、救命措置の落ち度、事実内容の露呈を要求します。
何をしても夫はこの世に戻っては来ませんが、
夫の代わりに、真実を追求し無念を晴らす事が、何よりの供養になると思います。

うつくしま福島を原発事故で汚染し、故郷をなくした人々や、収束作業に携わる方々に
誠意と敬意を持って対応して下さい。
二度と過労死、事故死を起こさせないで下さい。
原発事故と言う前例のない東電が起こした事故により、働き命を亡くした方への責任の所在をはっきりさせ、尊い命の重さに対する誠意ある対応を望みます。

最後になりますが、裁判を始めるに当たり、意見陳述の場を与えて下さった裁判所に対して
感謝申し上げます。

以上
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 いわき労働基準監督署は、昨年10月17日に本件について労災認定しましたが、東京電力は猪狩さんの死亡を発表した際、作業との因果関係はないと明言。福島第一原発の作業で過労死が認められたのは、事故直後の2011年5月に過酷労働で亡くなった静岡県の作業員のケース以来です。
 猪狩さんは、亡くなる5年前の2012年3月にいわき市内の自動車整備・レンタル企業に入社した時から、車両整備にあたってきました。亡くなった当日、昼休みの後、午後の作業に行く時に倒れ、午後2時半過ぎに広野町の高野病院で死亡を確認、死因は致死性不整脈と診断されましたが、構内で倒れたときの詳しい状況は、わかっていません。
 猪狩さんは、2017年4月以降、月曜から金曜、朝4時半に出勤し一般道を自動車で福島第一原発に移動、事務所に戻るのが夕方5時から6時という生活が続きました。遺族らは、亡くなる直前の3か月間の平均残業時間は約105時間。亡くなる半年前からの1か月あたりの残業時間は最大で130時間超、平均で110時間に達していたとして18年3月にいわき労基署に労災申請していました。
 東京電力は、2014年6月に、構内に車両整備場を設置。猪狩さんは、車両整備場の設置と同時に派遣され、元請けは当初は東電リース、2016年から宇徳になっています。2015年5月、東京電力は、2015年度車両整備場で整備士5人/日の体制で実施可能台数合計488台を整備する計画でしたが、「全ての構内専用車両(普通車:541台,大型車:250台合計791台)を整備するには、プラス3~5人/日が必要」とし「今後、構内で車両整備する整備士の確保が課題となってくる」としていました。
 その後、4名体制(工場長+整備士3名)となり、整備士の数は減ってしまい、作業はさらに厳しくなる一方で、2017年1月に東京電力は、構内専用の全車両を、それまでの12か月点検に加えて24か月点検を実施し、2018年9月までに小型620台、大型189台の計809台全車両の点検を完了するという目標を発表。2017年5月には、車両整備場の稼働日数が1日増えて週5日になり、整備士の数が減ったまま、作業量を増やしてきたのが実態です。
 福島第一原発の車両整備は、車両の放射能汚染が激しいため、作業は全面マスク、防護服の上にカバーオールを着て行い、通常の整備作業をはるかに超える大きな負担になっていました。こうした厳しい作業環境が体調にどのような影響を及ぼしたのか、長時間労働が身体に大きなストレスを与えたことが推察されます。

 東京電力は、過労死遺族に対し誠意ある対応を求める市民団体との交渉で「作業員と直接雇用関係はない」と、頑なに発注者責任から逃げています。 原発作業員の労働環境、処遇改善の働きかけについて、いわゆる危険手当の完全支給、賃金の改善はじめ救急医療、放射線被ばく管理など、労働環境改善に向けた働きかけを強める必要があります。多くのいわき市民が福島第一原発の構内作業に従事しています。私たちは、東京電力に対し労働環境の改善を強く求めていきます。

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by kazu1206k | 2019-03-26 23:23 | 雇用 | Comments(0)

佐藤かずよし


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