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4.21「厳正判決を求める福島県集会」について会見

 4月3日午前、福島原発刑事訴訟支援団は、福島県庁県政記者クラブで、21日の「厳正判決を求める福島県集会」について、会見を行いました。
 
 2017年6月の初公判から始まった東電刑事裁判は、3月12日の第37回公判期日をもって結審しました。法廷で永渕健一裁判長が、判決の言い渡しを9月19日に行うと述べました。
 2012年6月の告訴から始まった原発事故の責任を問うたたかいに、いよいよひとつの結果が示されます。この理不尽な被害を一方的に与えた人災に対し、この国の司法が、社会が、きちんと責任を取らせる判断をすることを求めます。
 原発事故発生から9年目の春を迎え、 「4.21厳正判決を求める福島県集会」では、弁護団から、裁判についての報告、被告人側主張への反論などの報告をいただき、裁判で認定された直接の被害者や、それ以外でも多大な被害を受けてきた福島県民をはじめとする被害者たちの声を聴きます。

 ■厳正判決を求める福島県集会
日時 2019年4月21日(日曜日)14:00~16:30
会場 郡山市労働福祉会館 3階大ホール(郡山市虎丸町7-7)
内容(変更になる場合があります)
   弁護士の報告(福島原発告訴団弁護団・東電刑事訴訟被害者代理人)
    ・大河陽子弁護士(双葉病院患者の被害について)
    ・海渡雄一弁護士(東電の津波対応について)
    ・甫守一樹弁護士(指定弁護士の論告について)
    ・河合弘之弁護士(総括)

   被害者遺族の意見陳述と調書の読み上げ
    ・原子炉注水作業中の水素爆発でけがをした作業員の供述調書
    ・双葉病院患者遺族の意見陳述など
 
   原発事故9年目の思い リレートーク
    ・郡山在住女性
    ・三春町在住女性
    ・県外避難の女性  
    ・県内避難の男性など



■判決言渡し期日
2019年9月19日(木曜日)
東京地方裁判所104号法廷 13:15開廷


●弁護人の弁論に対する指定弁護士の見解
2019年3月12日
 弁護人の主張は、要するに東側正面から本件津波が襲来することを予見できず、仮に東電設計の試算結果に基づいて津波対策を講じていたからといって、本件事故は、防ぐことはできなかったのだから、被告人らには、本件事故に関して何らの責任はないという点につきています。
 しかし、被告人らは、東電設計の計算結果があるにもかかわらず、これに対して何らの措置も講じていません。土木学会に検討を委ねたといいながら、その後、何らの関心すら注いでいません。何らかの措置を講じていればともかく、何もしないで、このような弁解をすること自体、原子力発電所といういったん事故が起きれば甚大な被害が発生する危険を内包する施設の運転・保全を行う電気事業者の最高経営層に属する者として、あるまじき態度と言うほかありません。
 弁護人は、「長年にわたって積み重ねられてきた判例学説によって画される犯罪の成立範囲の外延を踏まえ」ると、「業務上過失致死傷罪が成立しない」と主張していますが、本件のような原子力発電所事故に適用される「犯罪の成立範囲の外延」とは何かということが、まさしく問われているのです。


●被害者代理人 海渡雄一弁護士による弁護人共通主張への反論(要約)
(全文は支援団HPをご参照ください https://shien-dan.org/20190312-kaido/)
・ 弁護人側は、もし事故前に防潮堤を建設するならば、福島第一原発東側全面ではなく、シミュレーションで水位の高かった東側3か所のみに作ったであろうから本件津波は防げなかったと主張するが、それを裏付ける物証は無い。証人となった東電子会社社員は、そのような防潮堤は工学的にあまり考えられないと証言した。
 また、会議の議事録や津波評価の計算報告書にも、敷地全面に10mの防潮堤が必要な旨の記載がある。
・ 弁護人側は、地震本部の長期評価は津波対策を動機づけるだけの信頼性、成熟性がないと主張するが、公判で証人となった地震学者らは、被告人側証人も含め、長期評価の知見を否定する証言はされなかった。
・ 弁護人側は、公判で証拠採用された、東電元フェロー・山下和彦氏の検察官面前調書を「信用できない」と批判している。この山下調書には、被告人らが出席した「御前会議」で長期評価を取り入れて津波対策をすることが了承されたことなどが述べられているが、これを裏付けるものとして、担当者らのメールや会議録などが証拠として多数採用されている。弁護人側は自らの主張に都合の悪いそれらの証拠を無視している。
結論
  弁護人側の主張は、自分に都合の悪い証拠は無視して都合の良い証拠と証言だけを抜き出して論じたものだといえる。そして、その内容はこれまでの公判をみてきた者には到底納得できない荒唐無稽なものである。原発という潜在的に極めて大きな危険を内包する技術を運用していた会社の経営者としての責務を自覚せず、安全を第一とする規範に基づいて行動しなかった被告人らの責任は極めて重い。


●福島原発刑事訴訟 告訴から裁判までの経過

2011年
  3月11日 東北地方太平洋沖地震発生、福島第一原発事故発生。
2012年
  3月16日 福島原発告訴団結成。
  6月11日 福島県民1324名が、法人としての東京電力と東京電力役員、政府関係者、学者ら33名を公害罪や業務上過失致死傷罪で、福島地検に告訴・告発する。
 11月15日 全国の13262名が福島地検に第二次の告訴・告発をする。その後も告訴・告発人を追加、総計14716名の告訴・告発となる。
2013年
  9月 9日 福島地検が事件を東京地検に移送、移送の約1時間後、東京地検が被疑者全員を不起訴処分とする。
 10月16日 団長・副団長3名が、不起訴処分について東京検察審査会に申し立て、東京第五検察審査会が審査開始する。
 11月22日 告訴・告発人のうち5737名が東京検察審査会に第二次の申し立て。
2014年
  7月31日 東京第五検察審査会が、勝俣恒久元会長、武黒一郎・武藤栄元副社長に起訴相当、小森明生元副社長に不起訴不当の議決をしたと発表(議決は7月23日付)。
東京地検が再捜査を開始。
2015年
  1月22日 東京地検が、勝俣恒久元会長ら4名に再度の不起訴処分。
        東京第五検察審査会が2度目の審査に入る。
  7月31日 東京第五検察審査会が、勝俣恒久元会長、武黒一郎・武藤栄元副社長らを起訴議決としたことを発表(議決は7月17日付)、強制起訴となることが決定する。
  8月21日 東京地裁が、検察官役の弁護士として、石田省三郎弁護士・神山啓史弁護士・山内久光弁護士を指定する。
  9月15日 東京地裁が、検察官役の弁護士として、久保内浩嗣弁護士・渋村晴子弁護士を追加で指定する。
2016年
  1月30日 福島原発刑事訴訟支援団発足。
  2月29日 指定弁護士が起訴状を提出し、業務上過失致死傷罪で公判請求する(強制起訴)。
2017年
  6月30日 第1回公判期日(初公判)。
2018年
 12月26日 第35回公判期日で指定弁護士が、勝俣恒久元会長ら3名に禁錮5年を求刑。
2019年
  3月12日 第37回公判期日にて結審
  9月19日 判決言渡し

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by kazu1206k | 2019-04-03 23:26 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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