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燃料取り出し、防潮堤、労働環境・過労死で東電交渉

 5月10日、脱原発福島ネットワークなど福島県内の10市民団体による、東電交渉(再開第47回)が、いわき市平の平送電所で開かれました。
 今回は、「福島第一原発事故の収束、労働環境の改善、同第二原発の廃炉、日本原電への資金援助中止、事故被害者への賠償を求める要請書」(3月18日提出)と福島第一原発事故収束作業等に係る労働者の過労死の事実関係などについて、東電側の回答と質疑が約2時間を超えて行われました。
 時間の関係で3月要請書の5項目のうち、「第二原発の廃炉」「日本原電への資金援助中止、事故被害者への賠償」についての2項目、さらに労働アンケート調査やトリチウム等汚染水などほかの回答と質疑は、次回に持ち越しました。

 要請項目と回答、質疑のやり取りの概要は、以下の通りです。

⑴福島第一原発事故の収束、労働環境の改善、同第二原発の廃炉、日本原電への資金援助中止、事故被害者への賠償を求める要請書への回答と質疑

1、福島第一原発における中長期ロードマップ、核燃料取り出し、防潮堤建設等を確実に進めること。
ー東電回答
福島第一原子力発電所の廃炉にあたっては、中長期ロードマップ等を踏まえ、国内外の英知や、地元をはじめ多くの関係者のご協力を得つつ、当社が主体となり、使用済み燃料プールからの燃料取り出しや防潮堤建設等も含め確実に進めてまいります。
●核燃料取り出し
ー市民:3号機はじめ核燃料の取り出しについて、現状と見通しは?
ー東電:3号機の未使用7体は、4月25日に共用プールに輸送完了。7月以降566体を2年間かけて取り出し。1号機は2021年にカバー取り外し23年度取り出し開始25年度完了。2号機は23年度取り出し開始24年度完了。
ー市民:1号機と2号機の工期の差は何か?
ー東電:今はわからない。次回、回答する。
●防潮堤建設
ー市民:防潮堤建設については、どうか?
ー東電:防潮堤は、1号機から4号機の海側につくる。現在4号機前にアウターライズ地震に対応するものがある。8.5m盤に1m嵩上げし、1.5mのL字型の防潮壁を整備して、11m高にする。現在、準備作業中だ。
ー市民:千島海溝沿いの地震津波の想定高に対応できるのか?
ー東電:千島海溝沿いの地震津波の想定高は10.1mなので、対応できる。防潮堤の他に、建屋滞留水対策としての蓋かけや、スラッジの高所移動を計画している。
ー市民:福島第二原発への対応は?
ー東電:福島第二原発の浸水想定はない。
ー市民:地震本部が2月に公表した日本海溝沿い福島県沖地震(M7地震が30年間で50%の確率)への対応はどうか?
ー東電:現在、検討中だ。
ー市民:防潮堤建設の事業費はいくらか?
ー東電:言えない。
ー市民:東電には国税が投入されているのであり、国民への情報公開は当然のこと。次回、回答されたい。
●溶融燃料デブリ取り出し
ー市民:2号機の燃料デブリ調査の現状から、デブリ取り出しの原子炉格納容器の横からアクセスする方針は、チャンネルボックスや制御棒などの溶融で困難ではないか?
ー東電:方針は決定していない。検討中だ。

2、トリチウム等のタンク貯蔵汚染水の海洋放出はやめ、陸上保管による恒久的対策を確立すること。
ー東電回答
多核種除去設備等で処理した水の扱いについては、国の「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」において、風評被害など社会的な観点等も含めて総合的な検討がなされており、その議論を踏まえ、国から大きな方向性が示されると認識しております。東電HDは示された方向性を踏まえ適切に対応いたします。
ー市民:小委員会の議論の進捗状況をどう把握しているのか?
ー東電:経済産業省のHP上の情報で理解している。
ー市民:「国から大きな方向性が示される」時期はいつごろと判断しているのか?
ー東電:わからない。
ー市民:大熊町は、「国と東電が決める」と議会答弁しているが、東電が決めるのではないのか?
ー東電:国から大きな方向性が示されるのを踏まえ適切に対応する。

3、危険手当の完全支給、賃金、救急医療、被ばく管理など作業員の労働環境と処遇の改善を行うこと。
ー東電回答
これまでも作業員の労働環境と処遇の改善に取り組んでまいりましたが、引き続き改善に努めてまいります。
ー市民:福島労働局は、廃炉作業と除染作業の事業者の労働基準関係法令違反の違反率が増えて(廃炉作業315件で前年比14.7ポイント増・除染作業299件で17.2ポイント増)、監督指導した案件が増えていると公表したが、こうした現状では、東電として一歩踏み込んだ対応が必要ではないか?
ー東電:個別企業への対応はできない。元請企業や協力企業を対象とする法令遵守講習会や作業員の皆様のアンケートなどを実施して、引き続き改善に努める。
ー市民:それでは従来通りであり、改善のために、発注者として責任を持って、それぞれの法令違反事例の検証を行い、具体的な改善策を、次回、回答していただきたい。
ー市民:特定技能の在留資格を持つ外国人労働者の受け入れは本当か?
ー東電:可能性はあるとの説明を各協力企業にしている。積極的受け入れを言っていない。

以下の回答と質疑は、は次回。
4、福島第二原発の廃炉を正式に決定し、その工程を明らかにすること。
5、日本原子力発電東海第二原発への資金援助をやめ、事故被害者の賠償請求に完全に応じること。

⑵福島第一原発事故収束作業等に係る労働者の過労死の事実関係などについて
ー市民:過労死についての調査班チームはあったのか?
ー東電:直接の雇用関係にないので、調査する立場にない。
ー市民:ERの対応状況は?猪狩さんにどう対応したのか?
ー東電:13時10分にERに入室、医師により点滴とアドレナリン注射。39分退室。最初、ドクターはドクターヘリを呼ぼうとしたが、高野病院に救急搬送した。
ー市民:整備工場の登録人数10人で1班何人体制のローテーションか?
ー東電:宇徳との整備工場の運営時間の契約で。
ー市民:法令遵守講習会の参加企業と参加者数は?
ー東電:個別契約なので公表できない。
ー市民:宇徳のヒヤリングは行ったのか?
ー東電:ヒヤリング等の調査は実施していない。
ー市民:宇徳からの報告書を受領する前に打ち合わせはあったのか?
ー東電:わからない。
ー市民:次回、回答されたい。
ー市民:過労死当時の増田廃炉カンパニー最高責任者の直接謝罪は?
ー東電:ご意見は上と共有したい。
ー市民:ERの運用マニュアルの提示は?
ー東電:緊急時連絡体制のガイドラインなど社内資料で提示できない。
ー市民:提示について、持ち帰り検討いただきたい。

⑶その他
・東電として、廃炉の定義、取り出した燃料の搬出先、帰還に伴うリスクの説明をしていただきたい。










by kazu1206k | 2019-05-10 23:29 | 脱原発 | Comments(0)