映画「道草」
2019年 05月 26日
重度の知的障害者が、ヘルパーと共に地域で自立した生活を送る日常を描いたドキュメンタリー映画です。いわき市内では、現在、まちポレいわきで5月30日まで上映中です。
「知的障害者のひとり暮らし」、本当にどうなんだろう、可能なのだろうか。その問いに、一つの形を示し、人が生きることの根源的なあり方を考えさせてくれました。
映画は、『知的障害がある人の暮らしの場は少しずつ広がっていますが「重度」とされる人の多くは未だ入所施設や病院、親元で暮しているのが実情です。そんな中、2014年に重度訪問介護制度の対象が拡大され、重度の知的・精神障害者もヘルパー(介護者)付きでひとり暮らしが出来る可能性は大きく広がりました。この街で、誰もがともにあるために。あたらしい暮らしをはじめている人がいます。』と。
2016年の津久井やまゆり園で起きた障害者の大量殺傷事件。障害者を地域から隔離収容する日本の社会のゆがんだ姿が衝撃的に露出しました。そんな現実から、障がい者も一緒に生きられる日本の社会にしていくために、みんなに見ていただきたい映画の一つです。
施設関係の知人も「堅苦しくなく、どこかユーモラスなところもあり、いろいろなことを考えさせられる、奥の深い映画でした。」と推薦してくれました。
●まちポレいわき:5月17日(金)〜30日(木)の公開。
17日~23日は12:20~上映、24日は9:45~上映、25日~30日は10:15~上映です。
※ 27日(月)の上映後、宍戸監督による舞台挨拶があります。
●ストーリー
暮らしの場所を限られてきた人たちがいる。
自閉症と重度の知的障害があり、自傷・他害といった行動障害がある人。
世間との間に線を引かれ、囲いの内へと隔てられた。そんな世界の閉塞を、軽やかなステップが突き破る。
東京の街角で、介護者付きのひとり暮らしを送る人たち。
タンポポの綿毛をとばし ブランコに揺られ、季節を闊歩する。介護者とのせめぎ合いはユーモラスで、時にシリアスだ。
叫び、振り下ろされる拳に伝え難い思いがにじむ。関わることはしんどい。けど、関わらなくなることで私たちは縮む。
だから人はまた、人に近づいていく。
知的障害がある人の暮らしの場は少しずつ広がっていますが「重度」とされる人の多くは
未だ入所施設や病院、親元で暮しているのが実情です。そんな中、2014年に重度訪問介護制度の
対象が拡大され、重度の知的・精神障害者もヘルパー(介護者)付きでひとり暮らしが出来る可能性は
大きく広がりました。この街で、誰もがともにあるために。あたらしい暮らしをはじめている人がいます。
●出演団体
・NPO法人 自立生活センターグッドライフ
1994年に東久留米市に住む重度障害当事者を中心に、「全ての人が地域で当たり前の生活を!」という目的で活動を開始。身体障害者だけでなく知的障害者、重複障害者への支援を行い、特に長時間の介護が必要な知的障害者の自立生活支援を20年以上前に先駆的に開始した。その後知的障害者(重度者を含む)のグループホームを開設し、親元や都内・都外の入所施設から自立への第1歩として利用者を受け入れ、終の住家としてではなく、自立生活へ向けた支援を積極的に展開している。
・NPO法人 自立生活企画
1992年に重度身体障害者の24時間介護制度の実現を求め田無市に設立。田無市をはじめとして保谷(2001年に田無と合併して西東京市) ・東久留米・東村山・小平・清瀬市など周辺市町村においても次々と24時間介護保障を実現。近年は、児童や重度知的障害者の自立支援を積極的に行っている。障害者に「自己選択」「自己決定」「自己責任」を求める「突き放す自立支援」ではなく、時には厳しく、時には甘く、時にはあいまいに寄添いながら、介護者と障害者が互いに責任を取り合う関係性の構築を目指して自立支援を行っている。
・練馬区介護人派遣センター
どんなに重度の障害を持っていても、一人の社会人、一人のおとなとして、自分の望む地域で、自立しあたりまえの生活をしていけるように…そんな想いがあつまって、障害者と介護者が一緒に作りあげてきた団体です。
●監督・撮影・編集
宍戸大裕 ししど・だいすけ
映像作家。学生時代、東京の自然豊かな山、高尾山へのトンネル開発とそれに反対する地元の人びとを描いたドキュメンタリー映画『高尾山 二十四年目の記憶』(2008年)を製作。東日本大震災で被災した動物たちと人びとの姿を描いた「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」(2013年劇場公開)、人工呼吸器を使いながら地域で生活する人を描いた「風は生きよという」(2016年劇場公開)、知的障害がある人の入所施設での人生を描いた「百葉の栞さやま園の日日」(2016年製作)がある。
過去作品: 犬と猫と人間と
映画「道草」公式サイトはこちら
https://michikusa-movie.com/