福島原発刑事訴訟支援団ニュース『青空』第7号
2019年 06月 10日
冒頭の支援団長の挨拶をご紹介します。
なお、ニュース『青空』第7号は、支援団のHPで全文全ページ、ダウンロードできますので、ご参照ください。https://shien-dan.org/news-letter-no007/
9月19日に判決!全国で報告会を!
東京地裁に厳正判決求め50,984筆の署名提出!
佐藤 和良(福島原発刑事訴訟支援団団長)
東電福島第一原発事故で強制起訴された勝俣恒久元会長・武藤栄元副社長・武黒一郎元副社長ら旧経営陣3被告人の東電刑事裁判は、第一原発で最初の爆発が起きてから丸8年になる本年3月12日の第37回公判をもって、1年8ヶ月ぶりに結審しました。
2017年6月30日の第1回公判以来、争点の地震津波の予見可能性と結果回避可能性を巡り、証人尋問、被告人質問、被害者遺族の意見陳述があり、2018年12月26日の論告求刑では、検察官役の指定弁護士が業務上過失致死傷罪の法定刑として最大の禁錮5年を求刑、そして3月12日の被告人最終弁論を経て、永渕健一裁判長は、判決の言い渡しを9月19日と指定しました。
2012年6月の福島地検への集団告訴から始まった原発事故の責任を問う闘いは、いよいよひとつの結果が示されます。
私たちは、理不尽な被害を一方的に与えた東電福島第一原発事故という人災に対し、この国の司法が、きちんと責任を取らせる判断を求めます。
第37回公判での被告弁護人による被告人最終弁論は、欺瞞的で事実とはかけ離れたものでした。
曰く、国の地震本部の長期評価は具体的根拠の信頼性と成熟性がない、「計算結果の根拠は信頼できるものではなく、土木学会に再度検討を依頼して、その見解に従うことが適正な手順で、問題の先送りではない。事故を予測できる可能性はなく、事故を防ぐこともできなかった」「想定できない地震によって津波が襲来した。事故を防止できる可能性はなかった」と、改めて無罪を主張しました。
あまりの最終弁論に、検察官役の指定弁護士は、以下のように、異例の「弁護人の弁論に対する指定弁護士の見解」を公表しました。
『弁護人の主張は、要するに東側正面から本件津波が襲来することを予見できず、仮に東電設計の試算結果に基づいて津波対策を講じていたからといって、本件事故は、防ぐことはできなかったのだから、被告人らには、本件事故に関して何らの責任はないという点につきています。
しかし、被告人らは、東電設計の計算結果があるにもかかわらず、これに対して何らの措置も講じていません。土木学会に検討を委ねたといいながら、その後、何らの関心すら注いでいません。
何らかの措置を講じていればともかく、何もしないで、このような弁解をすること自体、原子力発電所といういったん事故が起きれば甚大な被害が発生する危険を内包する施設の運転・保全を行う電気事業者の最高経営層に属する者として、あるまじき態度と言うほかありません。弁護人は、「長年にわたって積み重ねられてきた判例学説によって画される犯罪の成立範囲の外延を踏まえ」ると、「業務上過失致死傷罪が成立しない」と主張していますが、本件のような原子力発電所事故に適用される「犯罪の成立範囲の外延」とは何かということが、まさしく問われているのです。』
4月21日、福島原発刑事訴訟支援団の「4.21厳正判決を求める福島県集会」が開かれました。集会では、4人の弁護士が「双葉病院の被害者について」「弁護側最終弁論への反論」「検察側指定弁護士の論告・求刑」「刑事裁判の意義」などを詳しく報告。被害者遺族の証言が読み上げられ、原発事故9年目の思いを郡山市や田村市、そして金沢市に避難した方の5人がリレートークしました。原発事故によって普通の暮らしが壊され、いかに放射線の被曝と向き合ってこざるをえなかったか、事故当時に妊婦だった方の生の声、切々とした訴えに、会場からは啜り泣きの声も聞かれました。
また、4月24日には、福島原発刑事訴訟支援団と福島原発告訴団の代表が東京地裁を訪れ、東京地裁刑事4部の永渕健一裁判長宛に「東京電力福島原発刑事訴訟 厳正な判決を求める署名」 5,160筆を提出しました。 2017年12月から始まった署名は、公判期日の度に計20回提出され、今回の提出で総計50,984筆となりました。
9月の判決に向けて、刑事裁判で明らかになった事実を伝える短編映画の企画も進んでいます。東京地裁に厳正な判決を求めて、6月から8月に福島県内はじめ全国各地で報告会を開催して多くの人々に訴え、世論を盛り上げましょう。9月上旬、厳正判決を求める福島から東京地裁までのリレーキャラバン大宣伝活動、9月8日には東京で厳正判決を求める大集会も予定しています。
無念の死を遂げた被害者と遺族にこたえ、真の被害者救済の道を開き、二度と悲劇を繰り返さないために。9月19日、東京地裁で有罪判決を勝ち取りましょう。