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一般質問報告1ー原子力損害の賠償請求権の延長、保育士等の人材確保策

 いわき市議会6月定例会、6月18日に行った一般質問の詳細を、3回にわけてご報告します。
第1回は、「原子力損害賠償と子育て環境の整備について」の「(1)福島第一原発事故による損害の賠償請求権の消滅時効の延長について」「(2)待機児童の解消に向けた保育士・幼稚園教諭等の人材確保策の強化について」まで、です。

 1 いのちを守る、原子力損害賠償と子育て環境の整備について(第1回)
 (1)福島第一原発事故による損害の賠償請求権の消滅時効の延長について(第1回)
 (2)待機児童の解消に向けた保育士・幼稚園教諭等の人材確保策の強化について(第1回)

 
 2 スタジアムを中心としたまちづくり事業について(第2回)
(1)事業可能性調査報告書及び専門家会議について(第2回)

3 いわき市の再生と地域課題の解決について(第3回)
 (1)新たないわき市総合計画の策定と共創のまちづくりについて(第3回)
 (2)(仮称)阿武隈南部風力発電事業と本市の風力発電施設ガイドライン等の整備について(第3回)

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35番、創世会の佐藤和良です。
通告順に従い一般質問を行います。

大きな第一点、いのちを守る、原子力損害賠償と子育て環境の整備について、です。

1点目は、福島第一原発事故による損害の賠償請求権の消滅時効の延長について、です。


①まず、東京電力の損害賠償に関する本市の認識です。原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東京電力が拒否し、手続きを打ち切られた住民は1万7千人、他に全国では1万2千人以上が訴訟を起こしています。本市の被害をはじめ民間事業者や市民の被害に対する東京電力の損害賠償の実情をみて、本市は、東京電力が被害に対する必要十分な賠償を実現していると認識しているか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
 福島第一原子力発電所事故に関する損害賠償につきましては、当該損害賠償に係る和解仲介手続きを実施する原子力損害賠償紛争解決センターに対して、平成30年に全国で1,121件の申立てがあり、また、東京電力が和解案の受諾を拒否したことによる打切りは49件にのぼり、訴訟に移行したケースも発生しているところであります。
 一方、市内におきましても、平成30年に当該センターに対して115件の申立てが行われているほか、本市が自治体として被った損害に係る賠償につきましても、現時点におきましては、受領済み額が約19.5%となっていることなどから、市といたしましては、こうした様々な状況を鑑みれば、現段階での東京電力における賠償に対する取組みは、十分とは言い難い状況にあるのではないかと考えております。

②次に、損害賠償に対する東京電力の不当な対応について、東京電力は賠償資金を原子力損害賠償・廃炉等支援機構から援助されるにあたり、自ら「和解案の尊重」を含めた「3つの誓い」を掲げており、本市は、改めて、東京電力に対し、今一度自らが掲げた誓いに則った誠実な賠償を履行するよう求めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
 市といたしましては、これまでも市独自に東京電力に対し、被害者である全ての市民や事業者に対して、迅速かつ適正な賠償を実施するよう機会を捉えて、適宜、申し入れを行ってきたほか、福島県知事を会長とし、本市をはじめとした県内自治体や各種関係団体で構成する「福島県原子力損害対策協議会」におきましても、東京電力に対し、自らが掲げる「最後の1人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」、いわゆる「3つの誓い」を、社員一人一人に厳守させるよう強く求めてきたところであります。
 今後におきましても、引き続き、東京電力に対し、原子力災害の原因者としての責任を最後まで果たすよう、強く求めて参りたいと考えております。

③次に損害賠償請求権の消滅時効の延長について、「原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書」は、何らかの事情で賠償請求権の行使が困難で、原発事故直後に発生した損害の賠償請求権を行使できていない被害者が相当数存在する可能性を指摘しています。消滅時効終期の再延長の要否について判断するために、本市は、国に対し、原発事故による損害を受けた被害者の賠償請求権行使の実態の調査並びに消滅時効の再延長の検討を求めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
 原子力損害賠償請求権の消滅時効期間につきましては、通称、原賠時効特例法によりまして、原子力災害に伴う損害を知った時点から10年間と定められており、法制度上は、消滅時効期間経過後に東京電力が消滅時効の援用、つまり消滅時効の成立を主張した場合には、損害賠償請求権が消滅することとなっております。
 こうしたことから、市といたしましては、これまでも、福島県原子力損害対策協議会により、「消滅時効を援用しないよう」、国及び東京電力に対して、強く求めてきたところであり、このことを受け、東京電力では「時効完成後においても、被害者の個別の事情を踏まえ、消滅時効に関して柔軟に対応する」との方針を策定し、公表したところであります。
 市といたしましては、今後も引き続き、国及び東京電力の対応を注視しながら、原子力損害に係る賠償請求の実態を踏まえた上で被害者の個々の状況に応じた適切な賠償が実施されるよう、県及び各種関係団体と連携し、様々な機会を捉え、国及び東京電力に対して、強く求めて参りたいと考えております。

今、危機管理感がもうしましたように、原賠時効特例法で10年間時効延長になっているというわけですけれど、原賠時効特例法の国会審議の過程では、衆議院文部科学委員会において、全会派一致で「政府は…当該原子力損害の状況及び当該原子力損害の賠償の請求その他の賠償の実施の状況について定期的に確認し、その結果等を総合的に勘案して、必要があると認めるときは、当該原子力損害の賠償請求権に係る事項に関する法制上の措置を含め、所要の措置を講ずること」という決議を国会審議の段階で出しております。その意味で一方の東電のこの間の不誠実な対応を見ると、未だに賠償を受けられない方が数万の単位で存在するという実態があるわけですので、いわき市としては、内閣及び国会に対して、この決議に従って、賠償実施状況の詳細な確認や時効期間の再延長も含めた法的措置等についての検討を行うよう、要請をしていくべきではないかというふうに思いますが、市長の御所見はいかがですか。
—答弁(市長)
 本市の復興・再生のためには、原子力災害に伴う損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であると考えております。
 今ほど議員ご指摘のとおり、原賠時効特例法の国会審議の決議にもありますように、原子力損害に係る賠償請求の実態を踏まえた上で、被害者個々の状況に応じ、迅速かつ適切な賠償が実施されるよう、国及び東京電力に対して、引き続き強く、求めて参りたいと考えております。

ありがとうございます。本市の取組みの継続を要望して、次に移ります。

2点目は、待機児童の解消に向けた保育士・幼稚園教諭等の人材確保策の強化について、です。

保育士・幼稚園教諭等の人材確保策について、本市と同じ中核市や県内他市を調査したところ、各自治体の本気度が伝わってきました。

④まず、「いわき手当」等の創設について、です。3年連続待機児童ゼロの松戸市では、市内で働く保育士に施設の給料とは別に、「松戸手当」として、勤続年数に応じて月額45,000円から72,000円を支給しています。この自治体からの手当支給制度は、宇都宮市では勤続年数に応じて月額1,000円から25,000円、川口市で月額2,000円から28,000円、船橋市で保育士が月額42,330円・期末手当75,060円、幼稚園教諭が月額16,290円・期末手当75,060円など、中核市58市中16市で整備され、県内でも、喜多方市が月額5,000円の手当を支給しています。この際、待機児童をなくし保育の質を向上させるために、市内で働く保育士等に、本市からの手当支給制度を検討すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(子ども未来部長)
 待機児童の解消に向けた保育士等の人材確保策の強化につきましては、市といたしまして、これまで、国の施策に呼応した保育士等の処遇改善に着実に取り組むほか、潜在保育士の復職に向けた研修会の開催、さらには、県社会福祉協議会による保育士修学資金貸付制度等の周知や就職フェアへの参加など、様々な取り組みを行っているところであります。
 お質しの本市独自の手当支給制度につきましては、保育人材の処遇改善に直接繋がる施策であると考えておりますが、制度導入にあたりましては、多額の財政負担を伴うこと等の課題がありますことから、今後、他市の実施状況等を調査・研究して参りたいと考えております。

今、部長がおっしゃいましたように財源が伴う、当然でありますから、やはり、先進地、中核58市で16市でもう実施している。県内でも実施しているわけですから、十分検討調査して、本市でもなんとかその方向で手立てを見つけていくという検討を事務方として詰めていただきたいと要請したいと思います。

⑤次に、家賃補助制度です。保育士の離職や市外流出を防ぎ、働きやすい環境を整備する目的で、保育所等の経営者に、保育士の宿舎借り上げ費用を補助する保育士宿舎借り上げ支援事業が各地の自治体で実施されています。中核市では枚方市・八尾市・寝屋川市・尼崎市が10年目まで月額上限82,000円を補助するなど58市中22市で実施され、県内でも、福島市、相馬市が月額82,000円に4分の3を乗じた金額の補助を13市中4市で実施しています。この際、本市も国の保育対策総合支援事業費補助金等の財源を活用して保育士等の人材確保に向けた家賃補助制度を整備すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(子ども未来部長)
 家賃補助制度につきましては、保育士等の働きやすい環境をつくり、人材の確保・定着等に資する有効な施策の一つであると考えておりますことから、今後、他市の実施状況等を調査・研究するとともに、市内の保育事業者等とも意見交換を行いながら、検討して参りたいと考えております。

 これは、経営者の方もやっていただくと大変ありがといという声を耳にしております。是非とも、そうした事業者の方も含めて議論していただいて、是非実現にこぎつけていただきたいと思います。

⑥次に、国の平成31年度予算における保育士等の給与1%処遇改善策について、市内の保育士等に1%、月3,000円相当の賃金改善が行き渡るように本市としてどのように対応するのか、お尋ねします。
—答弁(子ども未来部長)
 国による今年度の保育士等の処遇改善につきましては、本年5月30日に、私立保育所、幼稚園など、対象となる事業所に対し、説明会を開催し、制度の周知と理解を図るとともに、給付費の適切な給与への反映を要請したところであります。
 各事業所における賃金の改善状況につきましては、処遇改善に係る計画の審査や実績の精査の過程において、確認しているところでありますが、今後におきましては、賃金改善がさらに徹底されるよう、確認の手法等について工夫を重ねて参りたいと考えております。

改めて、本市の保育士等の人材確保策の強化を要望して、次に移ります。

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by kazu1206k | 2019-06-18 22:55 | 議会 | Comments(0)