一般質問報告2−スタジアム事業、収支厳しく財政負担の回避を
2019年 06月 19日
第2回は、「スタジアムを中心としたまちづくり事業について」の「(1)事業可能性調査報告書及び専門家会議について」まで、です。
1 いのちを守る、原子力損害賠償と子育て環境の整備について(第1回)
(1)福島第一原発事故による損害の賠償請求権の消滅時効の延長について(第1回)
(2)待機児童の解消に向けた保育士・幼稚園教諭等の人材確保策の強化について(第1回)
2 スタジアムを中心としたまちづくり事業について(第2回)
(1)事業可能性調査報告書及び専門家会議について(第2回)
3 いわき市の再生と地域課題の解決について(第3回)
(1)新たないわき市総合計画の策定と共創のまちづくりについて(第3回)
(2)(仮称)阿武隈南部風力発電事業と本市の風力発電施設ガイドライン等の整備について(第3回)
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大きな第二点は、スタジアムを中心としたまちづくり事業について、です。
本市は、調査委託業者に対し、事業可能性を評価し、まちづくりの観点からスタジアムビジネスの成立可否も含めた検討を依頼、この程「いわき市スタジアムを中心としたまちづくり事業可能性調査報告書」を公表しました。
1点目は、事業可能性調査報告書及び専門家会議について、です。
⑦まず、調査報告書の総括について、スタジアム整備の必要性、コンテンツ、スタジアム機能と立地特性、用地や交通インフラに関する留意点等の調査を取りまとめ、スタジアムの事業性について、「事業の採算性を確保する余地もある」が「施設単体で大きな収益を生むことは難しいと判断」、「厳しい収支状況が見込まれる」と評価しましたが、それでも事業を推進する考えなのか、お尋ねします。
—答弁(市長)
本調査につきましては、本市の地域特性やポテンシャル、スポーツビジネスを取り巻く環境などを踏まえつつ、まちづくりの観点から、スタジアム整備の基本コンセプトをはじめ、機能や規模、整備候補地や管理運営方法などについて、客観的・専門的な見地からの調査及び評価を行い、本市の地域特性に合ったスタジアムのあり方について、その実現可能性も含めて、基礎的調査を行ったものでありますが、本調査において整理された事項は、あくまでもケーススタディの範囲に留まるものと考えております。
今後は、いわきFCを運営する株式会社いわきスポーツクラブが主体となって、スタジアムビジネスの観点から、市場性や民間事業者等の参入意向等を把握するための調査など、多方面に渡り更に掘り下げた調査を実施するものと認識しており、市といたしましては、今回の事業可能性調査の結果を踏まえた、これら民間事業者による今後の調査の動向等を注視して参りたいと考えております。
⑧次に、調査報告書の今後の課題では、「本事業を具体的に進めるに当たっては、スタジアムの整備・運営に必要な資金をどのように調達していくかが課題」とされますが「厳しい収支状況が見込まれる」中で誰が調達できるのか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
いわきFCの将来的なJリーグ昇格を見据えたホームスタジアムの確保という観点や、株式会社いわきスポーツクラブ及びその親会社である株式会社ドームが、将来的に自らが運営を担うスタジアムの構想を有していることを踏まえ、スタジアムの整備や管理・運営に要する資金については、基本的にはこれらの民間事業者が主体となって検討していくべきものと認識しております。
⑨次に、「収益性」の高いスタジアムビジネスモデルの構築について、スタジアムの管理運営コストの回収のみならず、建設コストまでの回収が出来る「収益性」の高いスタジアムビジネスのモデルが、本市の立地特性の中で現実的に構築できるのか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
本調査におきましては、国内外のスタジアムの事例等を参考に、本市の地域特性に合ったスタジアムの類型として4つの「基本コンセプト」を整理し、それぞれのコンセプトに相応しいエリアを抽出して、スタジアム整備に係る費用や管理・運営に係る収支、まちづくりの観点からの課題等について、基礎的なケーススタディを行ったところであります。
今回参考としたスタジアムの事例以外にも、特に欧米においては、建設費用を抑える整備手法や、収益性を高めるための様々な取組みが新たに創出されており、今後、この様な取組み等が本市の地域特性に適合可能かなどについても調査・研究を進めるとともに、民間事業者による市場性調査等も実施しながら、スタジアムビジネスの成立の確度を高めるための詳細な検討が進められていくものと認識しております。
⑨−2 今回の調査の中で言われた欧米のビジネスモデルというか、可能性のあるとされるそれについて、調査項目に入ってこなかったのか、ケーススタディの中でその辺についてはどういう話になっていたのか、あるいはやっていないのか、これからのか、その辺はいかがですか。
—答弁(総合政策部長)
今回の収益モデルにつきましては、基本的にはJ2リーグの国内のそういった一般的な平均事例をベースに捉えて、やはりしっかりとした堅実な見通しをつけていく、ということを前提にスタートしてございます。その上で、収益モデルをより稼げるスタジアムにしていくための、複合的な機能につきましては、国内の事例・欧米の事例も調査しましたけれども、やはりここから先はしっかりとした民間ベースの取り組みをしていく中で、企業情報、企業経営情報ということもあるので、なかなかセンシティブな情報でもありますので、そこまでの深堀、リサーチというものは、今回の調査では限界があったということでございます。
⑩次に、いわき市スタジアムを中心としたまちづくり専門家会議について、「スタジアムを中心としたまちづくり部会」及び「スタジアム部会」の協議の結論は、「施設単体で大きな収益を生むことは難しい」との調査報告同様、「厳しい収支状況が見込まれる」ものの、事業を進めよ、という結論なのか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
「いわき市スタジアムを中心としたまちづくり専門家会議」は、今回の調査の実施に際し、スタジアムの果たすべき役割や、担うべき機能、スタジアムの運営や利活用、立地場所の検討など、整備に係る基本的事項について、専門的知見を有する有識者の意見を伺うために設置したものであり、当会議で出された意見等につきましては、本調査結果に反映してきたところであります。
⑪次に、本市の財政支出による市民生活等への影響について、2月定例会で「スタジアム整備は、いわきFCを運営する株式会社いわきスポーツクラブ及び親会社の株式会社ドームなど民間事業者等が主体となって行われるべき」との答弁でしたが、調査報告は、大規模スタジアム整備は、一大プロジェクトで、周辺の社会インフラの整備等、市民生活等へ大きな影響を及ぼすとされ、本市の財政支出が想定されているのではないか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
スタジアムという大規模施設の整備に当たりましては、まちづくりの観点から、土地利用や社会基盤等との関わりなど、少なからず行政として関与しなければならないことも想定されますが、本調査は、類型化した候補エリア内で、一定の条件の下で行ったケーススタディでありますことから、引き続き、本市の関わりのあり方については、調査・研究して参りたいと考えております。
⑫次に今後の対応について、スタジアムの事業性では「厳しい収支状況が見込まれる」中で事業実施の追求は、地方自治法第2条14項の「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」との基本原則から逸脱することにならないか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
今後につきましては、民間事業者が主体となって、スタジアムビジネスの構築を検討しながら、整備の可能性を追求していくことになるものと認識しております。
一方、本調査結果では、まちづくりの観点から、スタジアムの整備及び管理・運営に伴う地域への「経済波及効果」のほか、市民の地域への愛着の向上や、健康増進、スポーツチームの発信力や訴求力を活かした社会貢献など、地域密着型プロスポーツがもたらす「社会的な効果」も見込まれるところであり、市といたしましては、Jリーグ昇格を目指す「いわきFC」の動向や、市民の皆様の機運の高まりにも留意しながら、引き続き、関係事業者・団体等の取組みに対する連携・協力に意を用いて参りたいと考えております。
改めて、自治体経営の基本原則に則って、過大な財政負担を回避するということを要望しまして、次に移ります。