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初期被曝、原発事故スクーリングで福島県に質問と要望

 7月2日午後、福島県庁へ伺いました。浪江町津島から兵庫県に避難している菅野みずえさんが、福島県に提出した質問−「2011年3月11日の原発事故後のスクリーニングについて」、福島県の回答を保健福祉部地域医療課から聞きました。
 菅野さんは、原発事故により同年3月15日、住まわれていた浪江から避難しました。避難の途中、郡山市で体表面汚染検査(スクリーニング)を受けています。その際、測定器の針が振り切れ、10万cpm以上でしたが、名前もきかれず、記録にも残されませんでした。無我夢中で意味もわからずに受けた検査でしたが、その後、いろいろなことがわかってきました。原発事故避難のこと、福島県の当時のマニュアルで定められていたスクリーニング手続きの意味、「ないこと」にされてしまった被ばくのことなど。
 菅野さんはその後、甲状腺がんを発症して手術を受けました。しかし、原因を究明しようにも、当時の被ばくの記録が残っていないのです。
当時の「福島県緊急被ばく医療活動マニュアル」によれば、避難時の検査で13,000cpm(甲状腺等価線量最大100mSv相当)以上の場合は、甲状腺被ばく測定や安定ヨウ素剤の服用指示など必要な措置を受け、記録も残されるはずでした。
 この日、菅野さんは、改めて、福島県が自ら作成したマニュアルに沿った対応が何故実施されなかったのか、甲状腺被ばく測定や安定ヨウ素剤配布が何故実施されなかったか、その理由を福島県が第三者委員会を設置して調査すること。県所有のスクリーニング記録を個人情報に配慮して公開すること。県民健康調査の甲状腺がんと被ばく評価について、甲状腺評価部会で再検討を行うことなどを、連名で内堀福島県知事に要望しました。
 下記に、福島県に提出した質問とそれに対す回答、あらたに提出した要望書を掲載します。

●福島県に事前に提出した質問、およびそれに対する7月2日の福島県地域医療課からの回答要旨

福島県原子力安全対策課 御中
福島県生活環境部 御中
福島県地域医療課 御中
福島県災害対策本部 御中

3・11後のスクリーニングについてのご質問

質問者の一人、菅野みずえは、浪江町津島地区に居住していました。2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く原発事故により3月15日、避難を強いられました。菅野みずえの避難時およびその後の状況を以下にまとめました。

2011年3月15日、郡山の体育館で、スクリーニングを受けました。
全身を測定器で測ったところ、針が振り切れました。測定していた人に「どこから来たのですか」ときかれ「浪江の津島です」と答えると、その人が「また津島だ」と他の人に言ったことを覚えています。
一番上にはおっていた上着を脱がせられ、厚手のビニール袋に入れてわたされました。なるべく早く手や髪を洗うように言われました。
それ以外は、名前もきかれなければ、測定結果の記録ももらえませんでした。
あとになって、報道でスクリーニングの基準が10万cpmに引き上げられたことをしりました。また、福島県のマニュアルに従えば、13000cpm以上であれば、一次除染後、再度の検査を受け、甲状腺検査や鼻腔スミアなども受けることになっていたこと、測定結果の記録ももらえたことを知りました。
私はその後、甲状腺がんを発症しました。被ばくが原因ではないかと疑いましたが、何の記録も残っておらず、医師にその状況を理解してもらうことが出来ませんでした。
甲状腺がんになったこともさることながら、もしあのとき、マニュアルどおりの手続きが行われれば、きちんと医療的処置も受けれたかもしれない、記録も残されたかもしれないと思うと、くやしくてなりません。
どういう事情で、スクリーニングの手続きが簡略にされたのか、知りたいと考えています。

私たちは情報開示請求により、「福島県緊急被ばく医療マニュアル(平成16年3月改定版)」を入手しました。マニュアルではスクリーニングレベル①(40ベクレル/cm2、13000cpm相当)を超える場合は、一次除染を行い二次スクリーニングに進み、鼻腔スミアや甲状腺検査を行うこと、さらにスクリーニングレベル②を超える場合は、内部被ばくを想定した応急治療を行うことが書かれていました。これを踏まえ、以下質問します。

1.2011年3月15日、郡山市総合体育館におけるスクリーニングを受けた人数、うち13,000~10万cpm、10万cpm以上であった人の人数をおしえてください。
また、福島県全体でのスクリーニング場所ごと日別のスクリーニングを受けた人数、13,000~10万cpm、10万cpm以上の人数を教えてください。
【回答要旨】2011年3月15日、記録に残っている範囲で、郡山市総合体育館でスクリーニングを受けた人数は200人。うち13,000~10万cpmの人は25人、10万cpm以上は0人。 ただ、スクリーニングには2チーム(災害医療センター、郡山保健所)が入っていたが、郡山市保健所からはデータがきていないので、わからない。

2.甲状腺検査、鼻腔スミア検査受けた人はいますか。
【回答要旨】情報がなくてわからない。

3.内部被ばくのおそれがあるとして、医療機関に搬送された人はいますか。
【回答要旨】情報がなくてわからない。

4.郡山市体育館における責任者の氏名と所属、人員体制について教えてください。
【回答要旨】情報がなくてわからない。

5.スクリーニングにあたって、「福島県緊急被ばく医療マニュアル」は参照されたのでしょうか。
【回答要旨】参照はしたが、想定を上回る災害であったため、実施できなかった。
6.スクリーニングレベル①超の人に対して、一次除染、再検査が行われなかった理由について教えてください。
【回答要旨】情報がなくてわからない。

7.鼻腔スミア、甲状腺検査が行われなかった理由を教えてください。
【回答要旨】情報がなくてわからない。

8.スクリーニングを受けた人に対して記録が渡されなかった理由を教えてください。
【回答要旨】情報がなくてわからない。

9.スクリーニング手続きを簡略化するという意思決定はどなたがおこなったのでしょうか。
【回答要旨】13,000cpmが10万cpmに引き上げられたことについては、広島大の谷川教授、福井大の寺沢教授、および放医研研究員の意見、さらには県立医科大の意見を踏まえて、福島県が決定した。 実際には地域医療課から各保健所に通知を出した。

10.この意思決定は、福島県では誰が協議に加わっていたのでしょうか。
【回答要旨】情報がなく、わからない。

菅野みずえ(浪江町から兵庫県に避難) 
武藤類子(三春町在住)        
満田夏花(国際環境NGO FoE Japan) 

●要 望 書 2019年7月2日

福島県知事 内堀雅雄 様

東京電力福島第一原発事故により、多くの人たちが避難を強いられました。
当時の「福島県緊急被ばく医療活動マニュアル」に従えば、避難時の検査で13,000cpm以上の人たちは、甲状腺検査を受け、安定ヨウ素剤を服用するはずでした。しかし、避難時の混乱の中で、このような対応は行われませんでした。多くの県民は自分たちがどのくらい被ばくしたのかも知らされず、安定ヨウ素剤も渡されず、甲状腺被ばくもはかられず、一部を除き記録も残されませんでした。 「想定以上の事態が生じた」と福島県は説明しています。しかし、これは言い訳にすぎません。もし、この教訓を真摯に受け止めるのであれば、当時の状況を自ら調査し、総括し、県民に説明すべできではないでしょうか。 県民健康調査において、事故当時18歳以下の人たちのうち200人以上が甲状腺がんまたは疑いと診断されています。甲状腺検査評価部会は、甲状腺がんが多く発生していることについては認めていますが、UNSCEAR(国連科学委員会)の甲状腺被ばく推定値を用いて、被ばくとの因果関係はない、という結論を出そうとしています。この分析の過程は公表されておらず、外部の専門家が検証できる状況になっていません。 また、実際の個々人の甲状腺被ばくの測定は行われなかった中、個人の行動によらず、自治体ごとの推定値にすぎず、UNSCEARの評価のみを用いることは事実をゆがめることになりかねません。 このような状況を踏まえ、私たちは以下を要望いたします。

一、原発事故のあと、福島県のマニュアルに沿った対応が行われなかったのはなぜなのか、とりわけ甲状腺被ばく測定が行われず、安定ヨウ素剤が配布されなかった理由を福島県として調査し、公開すること。調査に当たっては、第三者委員会を設けること。

一、現在、県が有しているスクリーニング記録を個人情報に配慮した形で公開すること。

一、県民健康調査における甲状腺がんと被ばくの評価に関しては、甲状腺評価部会で再検討を行うこと。外部の専門家や県民が検証できるように、評価で用いた数値やプロセスを公開すること。

以 上
菅野みずえ(浪江町から兵庫県に避難)
武藤類子(三春町在住)
満田夏花(国際環境NGO FoE Japan)

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by kazu1206k | 2019-07-02 23:17 | 脱原発 | Comments(0)