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不均等な復興、原発過労死ー脱原発福島ネット学習会開く

 7月14日午後、脱原発福島ネットワーク公開学習会がいわきゆったり館で開かれました。
 「不均等な復興〜原発事故被害の実態と賠償請求権の時効延長〜」をテーマに除本理史(大阪市立大学教授)さんが講演。「原発過労死裁判」原告の故猪狩忠昭さんのご遺族が、亡くなられた経過や勤務の実態、会社と東電など被告側の対応、原発労働者への呼びかけ、裁判の現状等、涙の報告をされました。
 除本さんは、原発事故被害者の現状、不均等な復興など復興政策の問題点、被害実態からずれ、格差がある賠償の問題点、さらに刑事訴訟と集団訴訟の意義、そして時効延長問題について、話されました。
 原発事故被害者の現状では、区域外避難者の経済的困難について、民間賃貸住宅の家賃補助の打ち切りによる生活困窮、復興住宅での孤独死の急増など、制度や施策の網の目からこぼれ落ちる人々の実態を明らかにしました。
 復興政策の問題点では、避難指示解除後も放射能汚染の継続と医療・介護・子育てなどの生活条件の未回復という状況で、除染・復旧事業中心の復興政策が、地域の変容、地域再生へネガティブな影響を及ぼし、地域・業種・個人に不均等に現れていることを指摘。原発災害は、復興政策によって作り出された分断と放射能汚染の特性による分岐という特殊性を持っており、復興政策のアンバランスを克服するためには、逆転した施策をやめ、被災者それぞれの事情に応じたきめ細やかな支援施策の必要性を指摘しました。
 賠償の問題点では、①直接請求、②ADR、③訴訟等の請求3ルートの仕組みを解説。原陪審の指針と東電の賠償基準という直接請求方式は、加害者主導で被害当事者の参加が脆弱であり、被害実態とずれが生じていること。「ふるさとの喪失」被害などは賠償からもれ、区域間の格差や拙速な賠償打ち切りとなっており、地域社会総体の被害回復の必要性を指摘しました。
 刑事訴訟と集団訴訟の意義では、無過失責任の制度である原賠法により、東京電力の責任の検証が不十分であった現状、さらに国の責任が加害責任を前提としない、社会的責任に基づく復興政策=公共事業主導の不均等な復興となっており、刑事訴訟と集団訴訟による、国と東電の責任解明が福島復興政策の見直しの第一歩となること。事故に至る事実関係と責任の究明は、それ自体、被害者にとって、精神的な救済につながる、重要な意味を持っていると指摘しました。
 時効延長問題では、日弁連+JECによる原発賠償シンポジウム「原発ADRの現状、中間指針の改定、時効延長の必要性について」が7月27日に開催予定であり、集団訴訟で面的な賠償上積み進め、ADR和解案拒否・打ち切り問題で中間指針改定の必要性と時効期間の再延長について、議論を進めることを指摘しました。
 最後に「震災9年目の現在、被害の過小評価と『風化』をくいとめるためにも、今回の事故を「福島の問題」に封じ込めず、多くの市民が『私たちの問題』とあらためて捉えなおす必要がある。国内各地の放射能汚染、原子力事故、公害被害地域など、他地域の経験にも学んで、将来に向けた普遍的教訓を導き出していくことが強く求められる」とまとめました。

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by kazu1206k | 2019-07-15 23:45 | 脱原発 | Comments(0)