本庁舎等耐震化改修事業費の補正など質疑
2019年 09月 22日
特に、市民の関心を集める事案は、当初約57億円の契約金が約66億円に増額され、工期も14ヶ月伸びる、本庁舎等耐震化改修事業費の2度目の補正予算。これは、地下掘削を進めた結果、免震装置施工上の安全対策や軟弱土の改良の対策工事が必要となったための補正との説明ですが、実際は地下掘削するまでもなく実施設計の契約をする以前に、杭打ち報告書の提示した平成28年9月の時点で、市、設計監理者及び請負業者の三者で事態を認識していたことが明らかになりました。既存杭高止まりの事実確認をしたにもかかわらず、掘削後に高止まりの事実を認識したかの如く、費用負担を請求する請負者の対応は、信義則及び善良な管理者の注意義務に反するのではないか、と質しました。
質疑の詳細を、ご報告します。
ちなみに、議案等に対する質疑は、意見を述べることはできないルールです。
質疑項目は、以下の通りです。
1 市長提案要旨説明について
(1)市政を取り巻く諸問題についてのうち、いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業について
2 議案第17号 令和元年度いわき市一般会計補正予算(第3号)について
(1)歳出2款1項1目総務費の総務管理費の一般管理費の本庁舎等耐震化改修事業費について
(2)歳出2款1項7目総務費の総務管理費の企画費の次世代交通システムによる交通イノベーション推進事業費について
(3)歳出3款2項1目民生費の児童福祉費の児童福祉総務費の児童扶養手当支給事務費について
-------------------------------------------------------
35番、創世会の佐藤和良です。ただいまより、質疑を行います。
大きな第一点は、市長提案要旨説明について、であります。
市政を取り巻く諸問題についてのうち、市政を取り巻く諸問題についてのうち、いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業について、です。
1点目、いわき駅並木通り地区市街地再開発組合における、施設建設物の実施設計や工事着手のスケジュールなど、今後の取り組みの見通しはどうか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
本年7月に設立された「いわき駅並木通り地区市街地再開発組合」におきましては、円滑な事業推進を図るため、事業ノウハウを有する民間事業者に業務を委託する特定業務代行方式を導入することとし、本年8月には、その優先交渉権者として株式会社熊谷組東北支店を選定したところであります。
現在は、特定業務代行に係る基本協定の締結に向けた協議を進めているところでありますが、基本協定締結後は、速やかに施設建築物等の実施設計に着手するとともに、地権者の意向を踏まえた権利変換計画や施工計画の策定などにより、詳細な事業スケジュールを定め、早期の工事着手を目指していくこととしております。
今後の見通しといたしましては、権利者や関係機関との協議・調整など不確定な要素はあるものの、事業計画で定める令和3年度末の事業完了を目標としているところであります。
大きな第二点は、議案第17号 令和元年度いわき市一般会計補正予算(第3号)について、であります。
一つは、歳出2款1項1目総務費の総務管理費の一般管理費の本庁舎等耐震化改修事業費について、です。
1点目、本事業に係る公募型プロポーザルから工事までの主な経過のうち、昭和46年の杭打ち報告書の資料貸し出しについて、本市と大成建設が平成28年11月8日の実施設計委託契約を締結する前に、昭和46年の杭打ち報告書が大成建設に提供されていたか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本事業に係る基本設計は、平成28年3月31日から10月14日までを契約期間としておりましたが、杭打ち報告書につきましては、平成28年9月に提供しております。
2点目、本市に対し大成建設が、昭和46年の杭打ち報告書の開示を実施設計委託契約の前に求めた理由は何か、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
市が示した要求水準書においては、耐震改修設計に関して、いわゆる耐震改修促進法に基づき、国から指定を受けた第三者機関の判定を受けることを求めております。
請負業者においては、免震装置の設置や既存躯体の補強に伴い既存建物の荷重が増えることに対して、市が示した設計図書により杭の支持力を確認し、耐震改修設計を行い判定を受けることが可能でありましたが、杭打ちデータを用いることにより、既存杭の耐力について、更に検証ができることから、市に対して、杭打ち報告書を求めたところであります。
3点目、本市と大成建設の「既存杭高止まり」の共通認識について、大成建設は、平成28年9月に、昭和46年の杭打ち報告書により現庁舎の竣工図の杭長と既存杭長との相違を確認し、「既存杭高止まり」を本市との共通認識としたか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
竣工図と杭打ち報告書における既存杭の打設深度に相違があり、杭の高止まりの可能性があることについては、杭打ち報告書を提供した平成28年9月の時点で、市、設計監理者及び請負業者の三者で、認識しておりました。
4点目、本事業の施工上の課題等に係る協議経過について、工事監理者のJRE東日本建築設計に対し、14項目の設計変更内容への意見照会をしていますが、工事監理者のリスク分担への意見内容に本市として不十分と考えた点は何か、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
今般の補正予算に係る施工上の課題等14項目に係る工事監理者の意見のうち、1工区と2工区境の法面を保持するシートパイルの設置に関するリスク分担についての工事監理者の意見は、既存杭まわりから掘削面への水の噴き上げが原因であることから、「自然条件における湧水・地下水」の項目に該当し、発注者負担とするものでありましたが、市といたしましては、シートパイルの設置については、請負業者による工事施工における任意の仮設物であることから、免震装置の設置に係る設計変更の対象にならないものであり、リスク分担表の項目のうち「技術条件におけるその他「工法・施工手順に関する技術提案」」の項目に該当し、請負業者の負担ではないかとの見解を持っておりました。
このため、市と工事監理者において、技術提案にかかる施工手順 に関する仮設物の考え方などについて、改めて協議を行った結果、最終的に市の考え方に基づき、請負業者の負担とすることが妥当であるとの見解で一致したものであります。
5点目、工事監理者について、選定の基準等も含めて、JRE東日本建築設計が選定された経緯はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本庁舎耐震改修工事につきましては、工事の規模が大きく、多額の 費用を要するとともに、極めて高度な技術を必要とする基礎下免震工法による施工を居ながら工事により行う必要があることから、工事監理者につきましては、公募型プロポーザル要求水準書を踏まえた設計内容を十分熟知したうえで、利用者の安全に配慮した工事監理業務を遂行することが求められていたところであります。
このことから、高度な知識や技術を有しており、東京駅丸の内駅舎など大規模な耐震改修工事設計や工事監理の実績がありますとともに、今般の本市の基本構想の策定業務や基本設計及び実施設計の検証業務を委託していた株式会社JR東日本建築設計が最適であるとして、選定したものであります。
6点目、本工事請負費に係る課題項目4「残土の改良等」について、リスク分担は「自然条件」の「湧水・地下水」により発注者分担とされますが、請負者は昭和45年と平成26年の地質調査報告書を読み込み、実施設計時に地質調査、土質試験等を実施して軟弱土の状況は確認でき、リスク分担の条件である「発注者が提供する情報と異なる場合」に当たるのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
請負業者は、市が事前に提供した昭和45年及び平成27年に実施した際の地質調査報告書や、請負業者自らが平成28年8月に実施した調査の結果に基づき、水処理等必要とされる対策を盛り込んで、設計・施工を行うこととしておりましたが、掘削作業を開始したところ、想定以上に水分の含有量が多い地質であることが判明し、掘削土の改良等を行う必要が生じたところであります。
この事象につきましては、市と工事監理者において協議を行い、 市が請負業者へ提供した資料や設計段階で実施した調査から事前の予測は困難なものであり、リスク分担表の「自然条件における湧水・地下水」の「発注者が提供する情報と異なる場合」に該当することから、市が負担すべきものと判断したところであります。
7点目、本工事請負費に係る課題項目11「3-2工区既存杭高止まり」の負担について、約2億7,709万円を計上し、現庁舎の竣工図の杭長と既存杭長との相違があることが確認されたことによる免震装置施工上の安全確保のための対策工事とされますが、公募型プロポーザル要求水準書のリスク分担25項目に該当せず、本市に契約上負担義務があるのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本市は、請負業者選定のための公募型プロポーザルの実施に際し、竣工図を提示しておりますが、請負業者においては、当該竣工図を基に、免震装置の設置にかかる設計を実施しておりました。
しかしながら、基本設計が完了に近い段階で、竣工図と杭打ち報告書における既存杭の打設深度に相違があることが判明し、杭の状況が把握ができた時点で必要に応じて設計変更等の措置を講じることとしていたものであります。
建設工事におきましては、請負業者は、発注者が、設計図書により明示した条件や貸与した資料などに基づき、施工を行うこととなりますが、設計図書に明示された支持地盤と実際の施工による支持地盤が大きく異なる事実が判明するなど提示条件の変更に基づく設計変更については、いわき市工事請負契約約款第18条の規定に基づき、発注者が費用を負担するものであります。
このため、今般の設計変更に伴う費用につきましては、工事監理者の意見も踏まえ、市工事請負契約約款の規定に基づき、発注者である市が負担すべきものと判断したところであります。
8点目、費用負担への大成建設の対応について、実施設計委託契約以前に、現庁舎の竣工図の杭長と杭打ち報告書の杭長が相違し、既存杭高止まりの事実確認をしたにもかかわらず、掘削後に高止まりの事実を認識したかの如く、費用負担を請求する請負者の対応は、信義則及び善良な管理者の注意義務に反するのではないか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
先ほどご答弁申し上げましたとおり、竣工図と杭打ち報告書における既存杭の打設深度に相違があり、杭の高止まりの可能性があることについては、杭打ち報告書を提供した平成28年9月の時点で、市、設計監理者及び請負業者の三者で、共通認識を持っておりました。
本件の対応としては、杭の状況について把握ができた時点で、必要に応じて設計変更などの対策を講じることとしていたものであることから、市としては、請負業者の責めに帰するものではないと考えております。
9点目、本市による現庁舎の竣工図と杭打ち報告書の受領について、昭和46年の久米設計による現庁舎の竣工図の杭長と間組の杭打ち報告書の杭長が相違しているにもかかわらず、本市が両図書を受け取っていますが、本市は、久米設計と間組に対し釈明と訂正などを求め確認行為を行なったのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本庁舎は、昭和48年3月に竣工しておりますが、竣工図と杭打ち報告書の相違につきましては、庁舎を支える杭は支持地盤にまで到達しており、建物の健全性は建設以来確保されて来ていること、また、建設以来、46年以上が経過していることなどから、当時の請負業者や設計業者に対する確認等については、行っていないところであります。
10点目、本工事請負費に係る課題項目12「工期延伸に伴う経費の増」について、約3,373万円を計上していますが、3-2工区既存杭高止まりの対策工事に伴う約4ヶ月の工期延伸の経費であり、実施設計委託契約以前に既存杭高止まりの事実確認をしていながら、掘削後に高止まりの事実を認識したかの如く、費用負担を請求する大成建設の対応は、信義則及び善良な管理者の注意義務に反するのではないか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
お質しの工期延伸に伴う経費につきましては、市が負担することと なる杭の高止まりへの対応に伴い生じる費用であることから、工事監理者の意見も踏まえ、発注者である市が負担すべきものと判断したところであり、杭の高止まりに係る安全対策と同様、請負業者の責めに帰するものではないと認識しております。
11点目、本市の地元企業の下請業者への採用について、大成建設はプロポーザル時の技術提案書に「地元企業の積極的活用」をうたい地元専門業者を優先的に発注する等と記載していますが、大成建設は、本市の地元企業を何社採用しているのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本庁舎耐震改修工事に係る下請業者のうち、市内企業数につきましては、本年8月8日時点で、全下請業者397社のうち、86社となっております。
12点目、地元企業の下請業者への採用割合について、該当する地元企業全体の中での割合はいくらか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本庁舎耐震改修工事に係る下請業者のうち市内企業の割合につきま しては、約21.6%であります。
13点目、「地域貢献」について、大成建設の「地元企業の積極的活用」状況をみて、地域貢献度は従前の公共施設工事と比較してどうか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
地域への貢献につきまして、受注企業の規模、工事内容や発注金額など同種の市発注工事がないことから、比較することは困難でありますが、プロポーザル時の技術提案書において、特殊技術を必要としない工種については、地元企業を優先的に採用することや、免震化等の特殊技術を要する作業に地元企業を参画させることにより、地元企業の技術向上に寄与することとし、下請業者について、約21.6%が市内企業となっていること、また、下請業者に対する定期的な安全教育や資格講習などに取り組んでいるところであり、一定程度、地域貢献に寄与しているものと考えております。
14点目、本工事請負費に係る課題項目13「労働者確保に要する間接経費」について、約8,658万円を計上し、作業員を遠隔地から確保するために必要な経費への対応としていますが、大成建設はプロポーザル時の技術提案書に「地元企業の積極的活用」をうたい地元専門業者を優先的に発注する等と記載しており、作業員を遠隔地から確保する経費の請求は、技術提案書の趣旨ならびに信義則に反するのではないか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本庁舎耐震改修工事におきましては、建物の地下を掘削し、基礎下に免震装置を設置するといった高度な技術を要する工法を採用していることから、市内ではそのノウハウを有していない特殊な技術を有する企業による施工が必要となる工種については、技術者や作業員の確保に要する経費について、当初の契約において見込んでいるところであります。
一方、今回の補正予算案に計上しております労働者確保に要する間接経費につきましては、当初、市内企業へ発注する予定であった工種について、平成29年6月の契約以降、市内の企業や労働者確保の動向変化により、作業員等を確保することが困難となり、工事の進捗を図るために市外から確保する必要が生じていることから、福島県の「東日本大震災の復旧・復興事業等における積算方法等に関する試行要領」に基づき、所要の経費を見込んだものであります。
15点目、補正額を含めた事業費の財源内訳について、充当率100%で元利償還金の7割が交付税措置される「緊急防災・減災事業債」を活用するとされますが、今般の補正額を含めた総事業費の財源別の内訳はそれぞれいくらになるのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
本庁舎等耐震化改修事業に係る総事業費の財源別の内訳につきましては、今期定例会に提出いたしております補正予算案を加えた、全体事業費66億5,509万4,000円に対し、一般事業債が21億3,850万円、緊急防災・減災事業債が37億7,680万円、一般財源が7億3,979万4,000円となっております。
このうち、緊急防災・減災事業債につきましては、元利償還金の 7割が地方交付税措置されることから、市の実質的な負担額は、全体事業費66億5,509万4,000円のうち、40億1,133万4,000円となる見込みであります。
二つは、歳出2款1項7目総務費の総務管理費の企画費の次世代交通システムによる交通イノベーション推進事業費について、です。
1点目、ICTクラウドシステムを活用したグリーンスローモビリティ実証運行の実施内容はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
本事業につきましては、いわゆるMaaS(マース)などの次世代交通システムの導入に向けた検証を目的として、今年度は小名浜地区、来年度は平地区及びいわきニュータウン地区の市内3地区において、ICTクラウドシステムを搭載したバスタイプのグリーンスローモビリティ1台を活用し、実証運行を行うものであります。
また、今回、補正予算案を提案しております小名浜地区における実証事業につきましては、議決を頂いた後、本年11月以降に約120日間、平日につきましては、小名浜港周辺市街地エリアにおいて、地域内に20箇所程度の乗降ポイントを設定した「デマンド型」での運行を、また、土日祝日につきましては、小名浜アクアマリンパーク周辺を周遊する「定時定路線型」での運行を、いずれも有償で行う予定であります。
2点目、補正額の積算根拠は、どうか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
今回、採択を受けた環境省の実証事業の経費に関して、タブレット端末やアプリケーション実装など、IoT関連に要する費用や、周知・広告費用、実証事業の効果測定に係る調査費用、さらには、車両調達費用などについては環境省が、運転手の人件費などについては、採択地域が負担することとされております。
このことから、今年度の小名浜地区における実証事業に要する経費のうち、運行に係る人件費として1日当たり17,500円、実証日数120日分の計210万円を補正予算案として計上したものであります。
三つは、歳出3款2項1目民生費の児童福祉費の児童福祉総務費の児童扶養手当支給事務費について、です。
1点目、消費税値上げに対し、子どもの貧困に対応するための臨時・特別措置として、未婚のひとり親に給付金を支給するとされますが、対象者や給付額など概要はどうか、お尋ねします。
—答弁(こどもみらい部長)
未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金につきましては、本年10月から消費税率が引き上げとなる環境の中、ひとり親家庭への経済的支援の充実を図るため、税制上の寡婦(夫)控除が適用されない未婚のひとり親に対し、臨時・特別の措置として、給付金を支給するものであります。
給付金の支給対象者は、本年11月分の児童扶養手当の支給を受ける父又は母のうち、これまでに法律婚をしたことがない方で、かつ、事実婚をしていない方、又は事実婚の相手方の生死が明らかでない方であり、支給額につきましては、本年11月分の児童扶養手当に上乗せする形で、一律1万7,500円を支給するものであります。
2点目、市民への広報はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(こどもみらい部長)
市民の皆様への広報につきましては、本年7月に、児童扶養手当受給資格を有するすべての方に対し、給付金制度の案内チラシを送付するとともに、広報紙や市公式ホームページへの掲載を行ったところであります。
また、児童扶養手当の受付窓口となる地区保健福祉センターや支所において、チラシの配布を行うほか、新たな対象者へも対応できるよう、児童扶養手当の新規申請受付時において説明を行うなど、対象者に情報が行き渡るよう、周知に努めているところであります。