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人権のための行動宣言2019ー日弁連

 日本弁護士連合会は、このほど2014年の行動宣言を見直して、「人権のための行動宣言2019」を策定しました。同会は、行動宣言を道しるべとして、人権擁護・伸張のために尽力するとしています。さらに、人権の擁護をめざす人々の活動のよりどころとして、その実現のための取り組みを呼びかけています。
 同会は、2009年に、「人権のための行動宣言2009」をまとめ、人権擁護大会において、「『人権のための行動宣言2009』のもと人権擁護活動を一層推し進める宣言」を採択、2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故により、重大かつ深刻な人権侵害が生まれ、立憲主義、恒久平和主義が否定されかねない状況も生じたため、5年経過後見直しを行い、「人権のための行動宣言2014」を策定。この5年を経て、改めて行動宣言を見直したものです。
 「私たちのめざすもの」36項目のうち、「12 原発と人権」を紹介します。

12 原発と人権
1 国及び東京電力に福島第一原子力発電所事故による被害の完全かつ早急な救済を行うよう求めるとともに,私たちも全力を挙げて被害救済に取り組みます。
2 被ばくによる健康管理,健康被害の未然防止のための対策・法整備を求めます。
3 原子力発電及び核燃料サイクルからの撤退を求めます。


1 被害の完全救済
 福島第一原子力発電所事故(本件事故)は,福島県をはじめとする広範な地域に深刻な放射能汚染をもたらし,現在も,その状況は継続しており,汚染水の流出, 放射性物質に汚染された廃棄物の処理など,様々な環境問題を引き起こし続けています。本件事故から既に8年を経たにもかかわらず,いまだに数万人もの人々 が避難生活を続けています。金銭的被害はもとより,多くの人々の生存権,幸福 追求権,教育を受ける権利,勤労の権利,居住の権利など,様々な基本的人権が侵害されています。
 国及び東京電力ホールディングス株式会社(東京電力)は,本件事故の加害者であることを認識し,被害者に完全かつ早急な救済をしなければなりませんが, 近年,東京電力が原子力損害賠償紛争解決センター(原紛センター)の和解案を受諾せず,被害回復を困難にしている事例が相次いでいます。
これらの救済のためには,1被害者が従来営んできた生活を完全に償うことを基本とし,既に顕在化している被害について完全かつ早急に救済すること,2東京電力は,原紛センターの裁定に従うこと,国は原紛センターの裁定に東京電力への法的拘束力を持たせるための立法措置をとること,3本件事故による被害は多岐にわたる,深刻かつ継続的なものであること等を重視し,継続的な被害調査を行い,それを踏まえた損害賠償の指針の見直しを行うこと,4東京電力から被害者に支払われる損害賠償金をすべて非課税とするべく特別の立法措置を講じること,5避難を選択する権利を実現し,またコミュニティを再建すること,等のため,諸制度の確立が必要です。
 私たちは,国及び東京電力に被害の完全かつ早急な救済を行うよう求めるとと もに,全力を挙げて被害救済に取り組みます。

2 被ばくによる健康管理,健康被害の未然防止
 本件事故による放射能汚染による健康被害も重大な問題です。被ばくした人の健康被害について将来にわたり十分な対策を講じる必要があります。また,健康被害を未然に防止するため放射能汚染から健康を守るための法整備は急務です。
1低線量被ばくが人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを踏まえ,空間線量が年間1ミリシーベルトを超えることが推定される全地域及び福島県の全域を「支援対象地域」,年間5ミリシーベルトを超えることが推定される全地域を「特別支援対象地域」として,避難の権利を実質的に保障するため必要な支援を行うこと,2内部被ばく検査を含む多角的な検査を無償で受ける機会を被害者に保障し,検査結果を被害者にすべて直接開示すること,3 被ばく者健康手帳を被害者に交付し,生涯にわたる健康管理を可能にすること, 4事故収束作業や除染作業等に従事する労働者の健康管理を徹底すること,5食品の安全基準については,内部被ばくの危険性を直視し,少なくとも外部被ばく・ 内部被ばくを合計した年間実効線量が1ミリシーベルトを超えないよう見直すとともに,その後も予防原則の観点から最新の科学的知見を踏まえて可能な限り低減すること,6これまでの公害対策と放射性物質による汚染対策等の総合した視点に立ち,従来居住していた地域において本件事故以前の環境基準を確保し,新たな汚染の拡大を防止するため,大気や土壌,海・川などの放射能汚染の実態を継続的・包括的に調査・公表し,これに対処する全面的法整備を行うことが必要です。

3 原子力発電及び核燃料サイクルからの撤退
 現在でも,本件事故の発生原因や具体的経緯すら明らかになっておらず,原子力発電所(原発)の安全対策が確立される見通しはありません。原発は,たとえ事故を起こさなくても,放射性廃棄物の処理・処分という解決困難で深刻な問題をともないますが,とりわけ日本は世界で最も地震・津波等が集中して発生する国であり,原発がある限り,重大事故の危険は常につきまといます。二度とこのような事故を起こさないため,原子力発電及び核燃料サイクルから撤退すべきです。
 1原発の新増設(計画中・建設中のものをすべて含む)を止め,再処理工場,高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止すること,2高レベル放射性廃棄物については住民合意を尊重し,安全な処分方法を早期に確立すること,それまでは,重大事故に耐えられるよう,厳重に管理すること,3既設の原発について,運転(停止中の原発の再起動を含む)は認めず,できる限り速やかに,すべて廃止すること,4今後のエネルギー政策につき,国民の意見を広く取り入れ, 再生可能エネルギーの推進,省エネルギー及びエネルギー利用の効率化と低炭素化を政策の中核とすること,5原発に頼らない地域づくりを実現すること,6原発輸出は相手国及び周辺諸国の国民に人権侵害と環境汚染をもたらすおそれがあるため,原発輸出政策は中止することが必要です。
 私たちは,以上の諸課題に全力を挙げて取り組むとともに,事故の被害救済,再発防止の双方から,損害賠償・健康管理・エネルギー政策などに関する諸法制をより実効性のあるものとするよう,その改善に向けて努力します。
by kazu1206k | 2019-10-06 23:50 | 脱原発 | Comments(0)