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三大明神風力発電事業の中止を要望、遠野町住民

 1月24日午後、遠野町の環境を考える友の会と遠野町下根本地区住民有志一同が、台風19号の被害状況を踏まえて、風車建設に伴う地形の改変が土砂災害の危険を飛躍的に拡大することから、「土砂災害の危険を高め生活水を脅かす三大明神風力発電事業の中止と、事業計画地の国有保安林の解除に反対することを求める要請書」をいわき市長に提出しました。
 要望3項目は、「1.いわき市は住民の安全と生活の安定を第一に考えて、「合同会社ユーラス三大明神風力」による保安林解除の申請に対して、県及び国に反対の意思表示をすること。
2.遠野地域に計画されている風力発電計画に関しては、土砂災害や生活水に対して極めて大きな影響が出る懸念があるため、計画に反対する立場に転換すること。
3.いわき市は住民の意志を無視した無条件の風力発電推進をやめ、住民の多数意見を尊重すること。」
 代表6名が環境企画課長と林務課長に読み上げて手交、1時間ほど説明しましたが、市側は計画反対への転換について確約しませんでした。

土砂災害の危険を高め生活水を脅かす三大明神風力発電事業の中止と、事業計画地の国有保安林の解除に反対することを求める要望書

        2020年1月24日
いわき市長 清水敏男殿
                  遠野町の環境を考える友の会 会長佐藤吉行
                  遠野町下根本地区住民有志一同 代表根本 貞治

 現在遠野町においては2つの風力発電事業が計画されていますが、そのうち「(仮称)三大明神風力発電事業」に関しては平成28年7月29日に環境影響評価準備書が出されており、経産大臣から環境への負荷が大きいとし、大幅な事業計画の見直しが求められました。当会としてもいわき市に、土砂災害や生活水の影響を懸念して住民の多数が反対していることを明らかにして、同事業計画に関して反対意見を上申することを求めてきました。
 事業者は関東森林管理局に国有林の貸し付けを求め、10月10日には国有林野管理審議会において審議が行われ、おおよそ了承する旨の議論が行われました。この会議の議事録ではいわき市が「市の環境基本計画において、環境への負荷の少ない持続的な発展可能な社会の実現を目指すということで風力発電の推進を進める考えであり、環境アセスメントにおいては、住民の理解の醸成と環境保全に配慮して進めるよう意見表明をしていることや、整備推進の意向」などと、いわき市の意向が判断の材料のひとつとなっています。
 三大明神風力発電計画は、急峻な山の尾根付近に風車や作業道路が配置される予定で、大規模な自然壊変が計画されています。この計画地は国土交通省のハザードマップにおいて「土石流危険渓流」に指定され、福島県の河川情報システムでも「土石流危険個所」となっています。さらに関東森林局の山地災害危険地区図では「崩壊土砂流失危険地区」に指定され、住民の住むふもとの地域が土砂災害警戒区域や特別警戒区域に含まれています。
 これに対し、事業者の環境影響評価準備書では、土砂災害の危険について評価する項目すらありませんでした。
 入遠野地区は本来県内でも雨量の多い地域ですが、先の台風19号で入遠野は山間部にしては比較的雨量が少なく、最悪の事態は免れました。とはいえ、ほとんどの林道が壊滅的な被害を受け、復旧の見通しが立たない状況となっており、河川もあちこちで護岸が壊れたり溢水などの被害も見られました。それでも、大規模な土砂災害が起きなかったのは不幸中の幸いでした。もし風力発電開発で尾根付近の土地を壊変した上に、田人や三和で降ったように500mmほどの雨が降ったとしたら、ふもとの集落はたいへんな被害を受けたと考えられます。地域住民の多くは風車の建設に伴う地形の改変が土砂災害の危険を大きくすると心配していますが、事業者も関係機関も「土砂災害の危険を増すものではない」と明言したところはありません。にもかかわらず、事業を推進するのは無責任としか言えないのではないでしょうか。
 また、この地域の大部分に公共水道が通っておらず、住民の多くが沢水などの自然水に生活用水を頼っていることを考えると、流域河川の大規模な被害や汚濁が、住民の生活を困難にする恐れが極めて高いと言えます。

 今回の計画に対し当該地域の区長が、同事業に対し「同意書」を提出しているために、先に挙げた審議会でも住民の理解があるかのように説明されていますが、この区長の「同意書」というのは、区の総会などで討議されて決められたものではなく、住民にほとんど知らされないまま当該各区長が独断で行ったものです。また、下根本行政区を除いては同意書の提出自体住民に知らされておらず、大多数の住民は「同意書」の存在すら知らない状態です。
 また、この「同意」も、事業主体が親会社のユーラスエナジーホールディングス㈱から「合同会社ユーラス三大明神」に変更されたことの認識もないまま区長が判を押したことが判明しました。「合同会社ユーラス三大明神風力」は資本金100万の会社で、森林管理局の企画官さえ、国有林の貸借代を払えるかが心配で「親会社と連帯保証が必要」としているところであり、何か不測の事態が起きたときに住民への責任が取れるものとは到底思えません。

 当会・遠野町の環境を考える友の会は、住民生活への影響が大きいとして、この地域においては風力発電事業は行うべきではないと反対署名を行ってきました。その結果、当該地域はもちろん、遠野町の他の地域でも8割を超える世帯で計画反対の署名が集まっています。また、住民の意向を聞いていながらそれを無視して区長が同意書を提出した下根本地区においては、地区住民有志が再び計画反対の署名を集めましたが、前の署名と同様に8割の世帯の署名が集まったことを見ても住民の反対意志は明らかです。このように住民意思と区長の「同意」はあまりに乖離しております。
 住民の多数意見は本事業に反対である事をしっかり認識し、いわき市も市民の多数意見を尊重すべきです。
 上記の理由より、以下を強く要望するものです。

一、いわき市は住民の安全と生活の安定を第一に考えて、「合同会社ユーラス三大明神風力」による保安林解除の申請に対して、県及び国に反対の意思表示をすること。

二、遠野地域に計画されている風力発電計画に関しては、土砂災害や生活水に対して極めて大きな影響が出る懸念があるため、計画に反対する立場に転換すること。

三、いわき市は住民の意志を無視した無条件の風力発電推進をやめ、住民の多数意見を尊重すること。

 
  以上

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by kazu1206k | 2020-01-24 22:58 | 環境保護 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k