自治体議連、子ども被災者支援法関連当初予算で省庁ヒアリング
2020年 02月 14日
冒頭、佐藤和良共同代表が挨拶。丸9年を迎える原発事故の被害者・被災者の住宅の確保をはじめとする課題が山積している現状が訴えられました。支援法国会議連の荒井聡会長は、「住宅支援の新法の検討を」とご挨拶。省庁窓口として対応頂いている山崎誠幹事長はじめ、岡本あきこ衆議院議員、真山勇一参議院議員、川田龍平参議院議員、道下大樹衆議院議員、金子恵美衆議院議員、大河原雅子衆議院議員に御同席頂きました。
省庁からは、復興庁、財務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、経済産業省、資源エネルギー庁、環境省、原子力規制委員会、原子力規制庁など総勢30人近く出席。
主なやり取りは、以下のようなものです。
⑴支援法関連の20年度当初予算の説明
復興庁から、昨年同様の施策、内数予算、同程度予算額の説明があったが、関連施策の2019年度決算を出すべきだ、と荒井会長が強く要請。山崎事務所に復興庁がとりまとめて回答を寄せることになりました。
下記の点などが問題点として質疑されました。
・9年目の課題はどのように認識しているか、復興庁は存続するが予算が不透明ー復興庁は「子ども被災者支援法の中の柱を維持すること。生活再建に向けての相談業務はしっかりやらないといけない」と答弁。
・住宅の確保ー国家公務員宿舎の2倍請求追い出し問題、避難解除地域の無償提供の打ち切り
・自然体験事業ー昨年1.7億円予算で実績が1.2億円。20年度予算は昨年実績。本年度採択1件。
・台風などにより河川によって拡散した汚染のための対策、除染廃棄物の流出ー保管管理を強化
・五輪聖火リレー沿道のフォローアップ除染
⑵8.30要望書への現時点での対応説明
(8.30原発事故被災者への支援施策等の改善を求める要請書は、下記に掲載)
1、住宅の確保についてー国家公務員宿舎の追い出し1年続く、毎月福島県が督促状、家賃は払っているにもかかわらず、病気で出れない人に非人道的対応。帰還困難区域の住宅支援打ち切り手法もおかしい。まず避難者の生活実態把握を。
ー復興庁:福島県と協議して適切に対応していきたい
ー自治体議連:例えば新潟県は、ニーズに沿って支援上乗せなどをしている。新潟県の上乗せは、福島県の支援が終われば、終わってしまう。支援策が縮小されていくのはおかしい。単に福島県と協議するだけでなく、当事者の声を聞いて住宅確保施策の強化をしてほしい。
—当事者:(南相馬からの避難)福島県と話し合い続けてきたが、国家公務員宿舎の追い出しがある。国会でも質問され、3月末での打ち切りは終了しないでくれと。そのとき、最後の一人まで露頭に迷わないようにしたいと答弁したが、4月で支援を打ち切り、住み続けるなら2倍の家賃を請求するとし、毎月督促状を送っている。でて行けている人はでていってる。また、住み続けている人も家賃を払っている。財務省が罰金をいらない、というなら、やらないと言ったが…
復興庁はこのような実態は知っているのか。
ー復興庁:損害金を請求しているのは知っている。国家公務員住宅の貸付は終了している。新たな生活再建をしていただけるように後押しをしていく。
ー当事者:親族まで連絡している。不動産委託事業者紹介をしているだけ。なぜ、電話にでられないか、わかるでしょう。話しを聞いて、一人ひとりの実情を把握してほしい。復興庁は生活相談拠点で相談受けているというが、苦情聞くだけで、助けてくれない。
ー復興庁:一人ひとりの状況に応じた部屋探しをしている。
ー国会議連:国家公務員宿舎の空きはどれくらいか?(財務省)東日本大震災の反省として、今後も震災も起きるので、住宅は予め確保しておくべき。
ー自治体議連:みなし仮設住宅からの転居の費用がでない。災害救助法の改正必要。
ー財務省:国会公務員宿舎、省庁宿舎あわせて16.3万戸、入居率は8割〜9割。東日本大震災以来、昨年の台風などでも活用している。
ー国土交通省:災害に応じた住宅確保重要。公営住宅の空き室を活用。自治体の判断で活用できる。
ー国会議連:財務省が二倍請求を求めているから福島県がしているという話。財務省が二倍請求しないといけない根拠はなにか。
ー財務省:使用許可証の中で返還ない場合は2倍請求するという条項がある。福島県の中で、セーフティネット住宅が必要と判断すれば延長、必要ないと判断すれば打ち切って、2倍請求するということになる。
ー国会議連:国が全面にたって、となっている。国が方針きめてくれ。福島県が「財務省から請求こなければしない」と言っている。財務省は「福島県が延長必要と判断すれば延長する」。財務省が延長必要と判断し、請求しなければいいのではないか?
ー復興庁:国と自治体が役割分担しておこなっている。
ー自治体議連:帰還困難区域も住宅供与終了だが、
ー復興庁:仮設を提供していた自治体との協議で供与終了が決められた。
ー自治体議連:24%が見通したってない、という状況で住宅供与終了という手法でいいのか。
2、被災住宅解体後の更地の固定資産税等について
ー復興庁:税制改正要綱でひきつづき延長を検討。
3、「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」について
ー文科省:保養団体とも意見交換していきたい。
4、リアルタイム線量測定システムの配置について
ー原子力規制庁:毎年度、関係自治体と協議。夜間表示の改善、公共の場、施設等の検討。
5、原発事故の損害賠償について
ー文科省:状況確認。
ー経産省:前世耕大臣の国会答弁、東電の「三つの誓い」を指導する〜小早川社長に指導した。
6、放射線副読本の撤回について
ー文科省:撤回しない。
※24%見通し立たず 帰還困難区域 無償提供3月終了後の住まい
東京電力福島第一原発事故に伴う仮設住宅や借り上げ住宅の無償提供が三月末で原則終了する富岡、浪江両町の全域と、葛尾、飯舘両村の帰還困難区域からの避難者のうち、約24%に当たる五百四十六世帯は昨年十二月末現在で四月以降の住まいの見通しが立っていない。県が政調会で明らかにした。
県生活拠点課によると、無償提供が終了するのは二千二百七十四世帯。町村別の内訳は富岡町が九百五十一世帯、浪江町が千二百九十四世帯、葛尾村が五世帯、飯舘村が二十四世帯となっている。四月以降の住居の見通しがついているのは千七百十五世帯で、十三世帯とは連絡がとれず意向を確認できていないという。
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原発事故被災者への支援施策等の改善を求める要請書
2019年8月30日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
復興大臣 渡辺博道 殿
国土交通大臣 石井啓一 殿
総務大臣 石田真敏 殿
文部科学大臣 柴山昌彦 殿
原子力規制委員会 更田豊志 殿
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
福島原発震災情報連絡センター
福島原発事故から8年5ヶ月、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。政府の原子力災害対策本部は、避難指示区域指定の解除・区域外避難者の住宅支援打ち切り、「特定復興再生拠点区域」指定など、帰還政策を促進しており、ふるさとを追われた家族や地域の分断、避難者の生活困窮、留まった者の長期低線量被曝を強いています。また、住宅支援以外の国や自治体の支援策も縮小・打ち切りが進み、固定資産税の減免なども2021年度末には終了しようとしています。
翻って、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「法」)は、「(被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2項)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3項)等の施策を講ずることを定めています。政府の施策は、法の趣旨の実現に遠く、支援の不十分さが指摘されています
住宅の確保については、福島県の激変緩和措置による、民間賃貸住宅の家賃支援も2019年3月に打ち切られ、国家公務員宿舎の入居者に家賃2倍相当の損害金の請求を行う事案が発生しています。元々、国や県の住宅支援制度が限定的で、その対象外となっている避難者の声は放置されています。法の趣旨に基づく抜本的・継続的な住宅支援制度の再構築が必要です。
「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」等福島県の子供支援は、政府の帰還政策促進によりニーズが増えており、予算と枠組みの拡大が求められています。
また、子どもが活動する保育所や学校、公園などリアルタイム線量測定システムを、2020年度末までに撤去するという原子力規制委員会の方針は一時棚上げされましたが、廃炉作業完了までは、継続配置の予算措置が必要です。
さらに、原発事故の損害賠償は、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東京電力が拒否し、手続きを打ち切られた住民は1万7千人、他に全国で1万2千人以上が訴訟中です。賠償請求権の消滅時効10年が迫っており、原賠時効特例法成立時の国会決議に従って、賠償実施状況の詳細な確認や時効期間の再延長も含めた法的措置等について検討することが必要です。
私たちは、原発事故被災者への支援施策等の改善を求め、2020年度予算に反映するよう、以下の通り要請します。
1、住宅の確保について、避難者の生活実態把握をおこない、必要とされる公営住宅などの入居制度の改善、県外自主避難者支援体制の強化、転居住宅が確保されるまでの国家公務員宿舎の入居継続を保障するなど、国は責任をもって福島県との協議を行い、「法」に基づく抜本的・継続的な住宅支援をめざすこと。
2、被災住宅解体後の更地の固定資産税等について、区域外・区域内に関わらず、避難者への生活支援、国税・地方税を含む負担軽減を維持・拡大すること。
3、「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」について、子どもたちや実施団体に寄り添った事業改善と事業費増額を図り、県外民間団体への補助制度を整備すること。
4、リアルタイム線量測定システムの配置について、廃炉作業完了までの予算措置を講ずること。
5、原発事故の損害賠償について、賠償実施状況の詳細な確認を実施し、時効期間の再延長も含めた法的措置等について検討すること。
6、2018年再改訂放射線副読本について、福島原発事故の写真や汚染地図、国際原子力事象尺度レベル7や被ばく線量と健康影響との間の比例関係、子供の被爆の感受性などが削除され、「国の責任」「事故の深刻さを伝える情報」「汚染や被曝による人権侵害の状況」「放射線防護」などが無記載のままであり、撤回すること。
以上