一般質問報告1ーいのちを守る、防災・災害に強いまちづくり
2020年 02月 29日
第1回は、「いのちを守る、防災・災害に強いまちづくり」の「(1)台風19号等水害対応の検証と今後の改善」、「(2)夏井川等の河川改修などの水害対策」、です。
1 いのちを守る、防災・災害に強いまちづくりについて(第1回)
(1)台風19号等水害対応の検証と今後の改善について
(2)夏井川等の河川改修などの水害対策について
2 いのちを守る、福島第一原発事故の現状とタンク貯蔵汚染水の海洋放出について(第2回)
(1)原子力緊急事態が進行中の福島第一原発事故の現状等について
(2)タンク貯蔵汚染水の海洋放出について
3 阿武隈山地における風力発電事業による土砂災害等の未然防止について(第3回)
(1)(仮称)阿武隈南部風力発電事業における土砂災害等の対策について
(2)(仮称)三大明神風力発電事業における土砂災害等の対策について
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35番、創世会の佐藤和良です。
東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から丸9年を迎えようとしています。改めて、犠牲となられた皆様に哀悼の誠を捧げます。
今、中国発の新型コロナウィルス感染症が世界中に広がり、致死者の増加、都市の封鎖、経済と国際金融への打撃と猛威を振るっています。我が国では国の対応が後手後手で、水際作戦が失敗し、市中に感染が拡大しています。唐突な全国一律小中高校の休校要請も学校やひとり親・共働き家庭など現場の混乱が心配です。国は、PCR検査の拡充や保険適用などを行い、官民挙げた抜本的な防疫体制を確立して国民の命と健康を守らねばなりません。
昨年の消費増税により10−12月期のGDPが年率換算でマイナス6.3%と大幅下落する中で、新型コロナウィルスの感染拡大は、景気後退の日本経済、更に本市の地域経済と市民生活に大きな影を落としています。
私は、震災以来、放射性物質による長期の低線量被曝に向き合い、いのちを守ることを最優先に活動してまいりました。今、新たな国難、いのちの危機を迎え、改めて、子どもたちや市民が安心して暮らせる、いわきをめざし、市民の皆様と共に力を合わせてまいります。
それでは、通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、いのちを守る、防災・災害に強いまちづくりについて、です。
昨年の10月の令和元年東日本台風により、犠牲になられた方々に改めて哀悼の誠を捧げますとともに、生活再建に奮闘しておられる被災者の皆様に改めて、お見舞いを申し上げます。
1点目は、台風19号等水害対応の検証と今後の改善について、です。
現在、本市の災害対応を検証し、今後の防災対策に反映させる災害対応検証委員会が開かれていますが、私にも様々な形で市民の皆様から多くの意見が寄せられています。
①まず、高齢者等の早期避難に向けた情報伝達の手段・方法について、被災者から「住民がうるさいというので、 10月12日、平窪地区の防災サイレンが鳴らなかった」「消防車の音量も低かった」と伺いました。防災サイレンや消防車スピーカーの音量、避難方法など高齢者の早期避難に向けた改善の検討はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
市といたしましては、防災情報等を迅速かつ的確に市民の皆様に周知するため、緊急速報メール、いわゆるエリアメールを活用するほか、消防団等の広報車両を活用しながら、放送及び声掛けによる避難誘導等に取り組んだところでありますが、今月12日に「情報伝達のあり方」を議題として開催した第2回検証委員会におきまして「伝達の内容が分かりにくく、改善の必要がある」との意見や、また、特に高齢者の方々にも効果的に伝達する手段として、防災行政無線や防災ラジオの活用について意見が出されたところであります。
このようななか、市といたしましては、情報の伝達文について、市民の皆様が分かりやすい表現に改めるとともに、消防車両については、速度を落として、また、民家の多い場所では停車して、確実に広報を行うなど、きめ細かい広報の実施について取り組んでいるところでありますが、今後におきましても被災された方々への避難行動等に関するアンケート調査や検証委員会における検証を踏まえながら、高齢者の方々や携帯電話を持たない方でも確実に災害情報を取得できるよう、防災行政無線や防災ラジオなどをはじめとした様々な手法を対象とし、効果的な情報伝達の方法について、他市における導入事例や費用対効果も勘案しながら検討して参りたいと考えております。
②次に、避難所について、被災者から「好間川は二級河川なのに、堤防も水門もない箇所もある。平一中や高校も避難所にして欲しい」「平窪の避難所をみはま体育館にしてほしい」「高台避難用の用地を造成してほしい」と要望を伺いました。被災者の声にこたえ、降雨期の6月前に避難所の選定見直しを行うべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
災害時における避難所につきましては、地域住民の皆様のご意見を伺いながら、洪水や高潮等による浸水や土砂災害による被災の危険のない建物を基本として、指定しております。
令和元年東日本台風等による災害では、市民の皆様の安全性を考慮し、浸水想定区域にある避難所は開設せず、また、避難者の状況に応じて、順次増設して対応してきたところでありますが、一部の避難所に避難者が集中したことにより、受入れを停止したことや、浸水エリア内にあっても近くの避難所を開設して欲しいとの市民の皆様の声を受け止め、浸水想定区域にある避難所等の状況等に関する調査確認を行っているところであり、今後、検証委員会における「避難所開設のあり方」に係る検証等を行いながら、次期出水期に備え、避難所の適正な配置等について、検討して参りたいと考えております。
③次に、避難行動要支援者への取り組みについて、会派で視察した、岡山県津山市城西地区のまちづくり協議会は、1998年の吉井川水害で、ボランティア本部を立ち上げ、ゼロからの防災の取り組みとして、内閣府地区防災計画作成モデル事業になりました。災害時のルールづくり、町歩き、避難所までの地図づくり、防災マップづくり、防災訓練などを進め、2018年の西日本豪雨では、公民館で避難所を開設します。「見守り台帳」を作り、町内毎の一時避難所の確定し、地区防災計画をまとめました。活動のポイントは、一人で避難が容易でない高齢者や障がい者などの避難行動要支援者への対応です。対象者のリスト「見守り台帳」を活用して、災害発生時、個々に誰が誰の援護に出向くのか町内会ごとに決めています。本市も「見守り台帳」を地域で作った経験に学んで、避難行動要支援者の個別計画を作る活動を、地域住民同士のつながりを培って災害時に助け合えるベースづくり、住民共助のノウハウ作りとして進めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
避難行動要支援者への取り組みにつきましては、災害時に、避難行動要支援者の避難を迅速かつ的確に行うためには、平時から自主防災組織や民生委員、消防団や行政区などの地域関係者で要支援者の情報を共有し、避難支援者の選定や必要な支援内容を定めておく必要があるほか、防災活動のみならず、普段からの声かけや見守り活動、地区行事への参加など、要支援者が地域社会で孤立することを防ぎ、地域におけるきめ細やかで重層的な支援体制を構築しておくことが重要であると認識しております。
今後におきましては、議員おただしの岡山県津山市の事例や、今後開催される災害対応検証委員会での要支援者への支援、避難のあり方にかかる検証結果等も踏まえ、要支援者の避難支援体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
④次に、平中平窪戸川原周辺の夏井川堤防の陥没による被害について、福島県は、陥没地の一部を埋め、土嚢を3段に重ね応急対応しました。堤体が摺鉢状に陥没して水が溜まっており、深さ25m陥没したといいます。台風19号の10月12日午後11時半過ぎに、約1㎞近くにお住いの方が「ドーン」という巨大な音を2回聞いており、堤体陥没後に陥没地点から夏井川の流水が一挙に流れ込んだと推察されます。2メートルの浸水被害を受けた周辺の民家では、12日夜、2階に避難して難を逃れ、13日夜が明けてから救助隊のゴムボートで2階から救出されました。この周辺は、旧日曹赤井炭鉱の坑道が地下に伸びており、過去にも、石炭採掘後の地下空洞が陥没する「浅所陥没」が発生し犠牲者も出た、とのお話も伺いました。被災から4ヶ月も経った2月17日に県のホームページに被害情報が公開されたようですが、被害情報の開示が4ヶ月も大幅に遅れたことについて、本市はどう考えているのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
県によりますと、平中平窪地区で発生した夏井川堤防の陥没につきましては、原因を特定するため、国の外郭団体である独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構と現在も調整が進められているところであり、公表までに時間が必要であったと伺っております。
市といたしましては、今後、迅速で正確な情報の収集方法や効果的な情報の発信方法について、県とともに、改善に努めて参りたいと考えております。
平窪の被災者の方達は、被災地点陥没地点として表示されていない、地図にも載っていないじゃないか、と大分、行政に対して不信感を募らせてきたわけです。4ヶ月も立って表示というのは、おかしな話で、陥没結界は明らかなので、情報は開示すべきであったと思います。
⑤次に、夏井川河川防災センターについて、流域住民から「立地位置が一番危険」「どんな役割を果たしたのか」等の指摘もあり、今般の状況を踏まえ今後どのように運営する考えか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
夏井川河川防災ステーションにつきましては、国が創設した「河川防災ステーション整備事業」により、建設した施設であり、その立地につきましては、市街地を流れる夏井川の氾濫等に早急に対応するため、重要水防区域の近傍や比較的交通路が遮断されにくい箇所を選定し、平成9年4月より供用を開始したものであります。
当該ステーションは、洪水時における水防活動の拠点、緊急資材の備蓄、近隣地区住民の避難場所等の機能を有しておりますが、今回の台風第19号等におきましては、大規模な浸水等があったため、その機能を果たせなかったところでありますが、浸水など施設本体への被害はございませんでした。
今後におきましても、近年の頻発化、激甚化する水災害に対応するため、当該ステーションの役割は重要であると認識しており、災害規模や被災状況に応じた運営のあり方について、検討して参りたいと考えております。
⑥次に、職員に対する災害時の初動訓練について、被災者から「幕の内では、断水の時に水で薄める消毒剤が配布された、考えて対応してほしい」「役所の対応窓口の担当者、それぞれのレベルだが、瞬時に判断できることが大事」「対応する職員が不足」などの声が寄せられました。職員の災害時の初動について、検証の上、マニュアルを改善して訓練を実施すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
市におきましては、市地域防災計画や市業務継続計画において、市災害対策本部の組織及び事務分掌を部局単位に定め、刻々と変わる災害の状況、災害のニーズに対応しながら様々な対策に取り組むこととしております。
令和元年東日本台風等による災害対応につきましては、災害対応に関する取組みのほか、本市の災害対応体制の強化に向け、検証を行うこととしており、現在、災害対策本部における取組み状況やその課題・問題点の抽出、更には改善に向けた検討などに取り組んでいるところであります。
今後、これらの検証結果等を踏まえながら、今後も想定される大規模災害に備え、市地域防災計画や市業務継続計画の見直しを行うとともに、職員の防災意識のさらなる醸成に加え、初動対応の迅速化、危機管理体制の充実・強化を図る観点から、災害対策本部における初期対応訓練を実施して参りたいと考えております。
この件は、マニュアル化されているのであれば、マニュアルの改善をして、現実にあった対応がそれぞれの現場でできるようにきちんと訓練をすることが大事だと思います。
⑦次に、いわき市台風19号における災害対応検証委員会の検証作業について、6月の降雨期前に検証を終了し報告書を公表すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(市長)
検証委員会につきましては、昨年12月24日に第1回会議を開催し、今月12日には「情報伝達のあり方」を議題とする第2回会議を開催したところであります。
今後、被災された方々に対する避難行動等に関するアンケート調査や関係者等に対するヒアリング調査等を実施し、各課題ごとに状況の確認、課題の整理等、検証を行い、本年夏頃には最終報告を取りまとめて参りたいと考えておりますが、早期に取り組むべきものについては中間的な取りまとめを行いながら、速やかに実施するよう努めて参りたいと考えております。
やはり、具体的に変える、変わったと。大きな災害の後に、その初動について、行政の対応についての批判は一定程度あって、それがどう変わっていくのかというのがポイントになっています。最終報告前に、大まかな施策として実行できるものをピックアップ、公表して降雨期前にそれをやるということを実現していただきたいと重ねてお願いしたいと思います。
2点目は、夏井川等の河川改修などの水害対策について、です。
⑧まず、夏井川の河川改修工事について、河川改修に伴い土地の買い上げが必要な部分もあり、河道掘削、堆砂除去、立木伐採、堤防嵩上げ、堤体補修など河川改修工事について、河川管理者である県はどう進めるとしているのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
夏井川につきましては、令和元年東日本台風による被災箇所について、本年1月に国の災害査定が終了したことから、次期出水期となる5月末までの本復旧完了を目指し、現在、発注準備を進めているとのことであり、県では、原形復旧に留まらず、河道掘削や無堤区間の築堤、及び粘り強い構造での堤体補強や堤防天端舗装等による改良復旧について、現在、国と協議中であり、早ければ3月末から地元説明会を開催し速やかに工事に着手する考えであると伺っております。
地元説明会は、12月定例会でも申し上げましたが、平窪のみなさん、それぞれ夏井川の改修がどういうふうに進んでいくのか、自分たちは平窪に持続的に住み続けることが可能なのかと心配しているのであります。子供達の学校の通学もどうなるんだということも含めて、必死の思いで生活再建に頑張っているところなので、予算がついて事業が決まらなければ事業説明はできないというのは当たり前なのですが、住民の方々からすれば、なんで早く説明をしてくれないんだという声が強い。ですから、3月下旬ということですが、なるべく早く住民説明会を丁寧に細かく、皆さんが聞ける時間帯に設定してやっていただきたいと思います。
⑨次に、好間川について、堤防も水門もない浸水地域に対し、今後どう対策を進めるのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
好間川の浸水地域に対する対策につきましては、県によりますと、今般の被害等を踏まえ、流域にお住まいの方々の安全性を確保するため、好間町下好間字渋井地内の未改良区間について、築堤など、一定の計画基準までの施工が可能となる改良復旧事業の採択に向け、現在、国と協議中であると伺っております。
⑩次に、夏井川支流の小玉川はじめ差塩、沢渡、永井などの護岸工事について、今後どう進めるのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
夏井川支流の小玉川をはじめ上流域の河川災害につきましては、小玉川で7箇所、好間川で17箇所の護岸崩落や河床洗堀などの被害が発生しており、本年1月に、国の災害査定が終了したことから、現在、被災箇所の速やかな復旧を目指し、発注の準備を進めているところであります。
⑪次に、新川について、堤防のコンクリート壁の亀裂・破断箇所の堤体補修や河道掘削などを、県はどう進めるのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
新川における堤防のコンクリート壁の亀裂・破断箇所につきましては、県によりますと、今年度中に優先度の高い箇所の補修を完了させる予定であるとのことであります。また、洪水時の河川水位の低下を図るための河道掘削や樹木伐採につきましては、昨年9月の入札が不調となったことから、予算の繰り越しも視野に入れ、再度の入札事務の準備中であり、受注業者決定後、速やかに工事に着手する考えであると伺っております。
⑫次に、矢田川等の河道掘削について、矢田川及び蔵持川などの河道掘削を促進するよう、県に求めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
矢田川や蔵持川などの河道掘削につきましては、県によりますと、藤原川水系河川改良促進期成同盟会などの要望等を踏まえ、継続的な実施に努めており、矢田川におきましては、これまで小名浜林城や鹿島町御代、船戸、及び久保地内において、堆積土砂が著しい箇所の河道掘削や樹木伐採を実施しているとのことであります。
また、蔵持川におきましても、鹿島町久保地内において、河道掘削等を実施する予定でありましたが、昨年9月の入札が不調となったことから、予算繰越も視野に入れ、再度の入札事務準備中であり、受注業者決定後、速やかに工事に着手する考えであると伺っております。
市といたしましては、今後におきましても、矢田川や蔵持川の河道掘削等が促進されるよう、地域の方々や期成同盟会等と連携し、県に対し、引き続き働きかけを行って参りたいと考えております。
気候危機が進行中です。二度と犠牲を出さないよう、情報公開を徹底し、6月の降雨期前に検証を終え、具体的施策を確立すること、人命最優先の開かれた治水と河川の抜本的改修を進めることを要望して、次に進みます。