「福島はオリンピックどごでねぇ」アクション
2020年 03月 02日
3月26日、東京五輪の聖火リレーがJビレッジから始まります。政府は、東京電力福島第一原発事故の原子力緊急事態宣言が解除されない中で、汚染水は「アンダーコントロール」という、安倍総理のフェイクスピーチによって、東京五輪の招致を行いました。
現在も、デブリ取り出しの見通しも立たない困難な事故収束作業が続いています。倒壊の恐れのある1・2号機排気筒の解体工事、タンク貯蔵汚染水の海洋放出の企て、漁業者は海を守るために陸上保管を求め、多くの福島県民が海洋放出に反対しています。
政府は、復興五輪と銘打ち、JR常磐線の全線開通や帰還困難区域の避難指示解除を進めていますが、避難者はじめ原発事故の被害者・被災者は「オリンピックで事故は終わったことにされる」と政府の被害者・被災者切り捨てに危機感を募らせています。
こうした現実を直視し、福島第一原発事故のすべての被災者が人として生きる権利を求めて、「福島はオリンピックどごでねぇ」アクションが行われました。
アクションには、東京電力福島第1原発事故の県内外の避難者、被害者団体メンバーなど約50人が参加。原発事故被害の体験、それぞれが闘っている裁判の現状などを訴え、「表面的な復興だけを強調するのではなく、原発事故の被害が続く実情を知ってほしい」「アスリートも住民も被ばくさせないで」と、スタンディングなどでアピールしました。周辺では、「福島は五輪どごでねぇ」などと英語やフランス語、韓国語など計8カ国語で書かれた横断幕やプラカードが掲げられ、多くのメディアも取材に来ていました。
以下は、ひだんれん武藤類子共同代表あいさつ、です。
原発事故から9年、今、県内の報道や雰囲気は聖火リレーをはじめとして、オリンピック一色となっています。
オリンピックのために日夜努力を重ねているアスリートがいます。
聖火リレーに希望を託し、懸命に走ろうとしている中学生がいます。
聖火リレーや野球の観戦を楽しみにしている人もいるでしょう。
でも、なぜ私たちがこのようなアクションをせざるを得ないのか。
それは「福島はオリンピックどころではない」と思うからです。
原発事故は収束していますか?
汚染水はコントロールされていますか?
排気筒の解体に、いったい何回人が登ったのですか?
被害者の賠償は、きちんとされましたか?
被害者の生活は元に戻りましたか?
福島の産業は元に戻りましたか?
本当に復興に役立つオリンピックなのですか?
アスリートや住民を被ばくさせることは本当にないですか?
多くの問題が山積している中で、福島県民は在住者も避難者も必死で生きています。
皆が原発事故からの本当の復興を望んでいます。
今、この福島で最優先されるべきは何でしょうか。
莫大なお金がこのオリンピック、聖火リレーにつぎ込まれています。さまざまな問題がオリンピックの影に隠され、遠のいていきます。オリンピックが終わった後に、何が残るのかとても不安です。
私たちは、うわべだけの「復興した福島」を知って欲しいのではなく、たった9年では解決できない問題が山積した、とても苦しい、とても大変な原発事故の被害の実情こそを世界の皆さまに、知ってもらいたいです。
今日は「福島はオリンピックどごでねぇ!」と、皆さんで元気に訴えていきましょう。