避難者立ち退き提訴の撤回求め、緊急要請
2020年 03月 28日
緊急要請には、ひだんれんの武藤共同代表ら3名と避難の協同センターからも出席し、福島県の生活拠点課と避難地域復興課の各主幹に緊急要請を提出したものです。
福島県は、3月25日、原発事故の避難指示区域外から、東京・江東区の国家公務員宿舎にの避難した4世帯に対し、部屋の明け渡しと賃料の支払いを求めて、福島地方裁判所に提訴しました。しかし、提訴された人の中には、障がい者年金で生活をしている人もおり、損害金を請求されている避難者には、請求額が収入を上回る人もいます。
新型コロナウィルス感染症による社会的影響が拡大深刻化する中で、非正規雇用で働く避難者も影響を受け、減収や雇止めの不安に晒されているいます。このような緊迫した現状にもかかわらず、なぜこの時期に国家公務員宿舎の4世帯を提訴するのかと取り下げを求めたものです。
福島県の生活拠点課などは、「話し合いでの解決に至らなかったため提訴した」と、これまでの主張を繰り返しましたが、ひだんれんの村田幹事は、「県民を裁判の場に被告として引きずり出して退去を迫るというのは前代未聞だ。次の住まいを探すなどしている避難者の現状を無視した行動は納得できない」と訴えました。
以下、要請書です。
福島県知事 内堀雅雄様 2020年3月27日
原発避難者の住宅と人権保障を求める共同行動・緊急要請
今こそ避難者住宅政策の抜本的な転換を求めます
想定外の新型コロナウイルスのまん延により、政府と福島県が「福島原発事故からの復興」 を世界にアピールするはずだった2020東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催は遠のき、 先の見えない不安が世界を覆っています。原発事故から10年目を迎えた被害者・避難者は、 未だ回復には程遠い現実に加え、この新たな災禍も加わり、二重三重の苦難を強いられていま す。知事は、今こそこの現状を直視し、喫緊の課題である避難者の住宅政策を抜本的に見直 し、県民の命と暮らしを守る責務を果たされるよう要請します。
福島県は、政府の復興政策に足並みをそろえ、「2020年避難者ゼロ」を復興ビジョンの柱と してきました。その実現に向けて知事は、避難指示解除区域外からの避難者に対する住宅無 償提供を2017年3月で終了とし、経過措置として続けてきた国家公務員宿舎入居者の有償提 供、民間賃貸住宅入居者への家賃補助も打ち切りました。そして今年3月末には帰還困難区 域(浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村)の住宅提供打ち切りも強行しようとしています。
そればかりでなく、経済的困窮や健康障害などで退去できないでいる国家公務員宿舎の入 居者に対して、昨年4月以降、退去と家賃2倍相当の「損害金」支払いの請求を続け、一部の 入居者には強制退去を求める訴訟を提起するという強硬手段にまで踏み切りました。
これらの措置は、「住宅無償提供ゼロ=避難者ゼロ」を前提にした現実無視の政策、それ以 外の何物でもありません。県当局が認めているだけでも、未だ4万人を超える県民が元の生活 の回復はおろか、ふるさとを離れて全国各地で避難生活を強いられ続けているのです。生活の 根拠である住宅を追われ、健康を害し自死した人、毎月送られてくる県からの「2倍家賃」請求 に怯え続ける人、民間借り上げ住宅の貸主からの立ち退きと家賃の倍額請求に追いつめられ る人...。これらの人々の上に、新型コロナウイルスの影響で、パート切りや雇止めによる収入減 などの深刻な状況が追い打ちをかけているのです。
東日本大震災と原発事故10年目。新たな社会情勢を踏まえ、いまこそ立ち止まって、これら 「復興の陰」の部分を直視し、原発事故の被害者である県民一人ひとりの命と暮らしを守る政 策に転換する証として、下記の事項に直ちに応えられることを強く要請します。
記
1.国家公務員宿舎入居者に対する「2倍家賃の損害金」請求を止めること
2.国家公務員宿舎入居者に対する立ち退き提訴を撤回すること
3.帰還困難区域からの避難者の住宅提供打ち切り通告を撤回し、すべての避難当事者の意向と生活実態に添った住宅確保を保障すること
4.新型 コロナウィルスによる経済状況が改善するまで、福島県はみなし民間賃貸住宅の家主に対し、被災者への立ち退き要求や未退去者への損害金請求を行わないよう要請す ること、また避難先自治体に対しても同様に要請すること
原発事故被害者団体連絡会
連絡先:☎080-2805-9004 Email:hidanren@gmail.com
「避難の権利」を求める全国避難者の会
連絡先:☎080-1678-5562 Email:hinannokenri@gmail.com