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原発過労死事件の賃金未払い裁判、遺族側勝訴

 3月26日、福島地方裁判所いわき支部で、2017年10月に、福島第一原発構内で働いていた自動車整備士・猪狩忠昭さんが長時間労働で過労死した事件の賃金未払い裁判の判決公判があり、遺族原告側が勝訴しました。
 福島地裁いわき支部の名島亨卓裁判長は、判決で、移動時間や待機時間の多くを会社側の指揮監督下にあったと認定し、未払いの割増賃金約268万6000円を支払うよう命じました。
 会社側は、「社用車運転、納品・納車、ミーティング、防護服の着用に至るまでいずれも労働時間ではない」として、残業代の適正な支払いを拒否していました。しかし、公判で元同僚は、第一原発に向かう途中に元請けへの納品を命じられていたこと、そのため猪狩さんとともに早朝4時半に出社していたこと、構内で作業を始める前にキュリティチェック、移動や装備品など様々な準備が必要なこと、帰社してからも同僚の手伝い、遅い日は18時頃まで作業をしていたことなど、労働実態を詳しく証言していました。
 遺族側の、第1原発までの移動時間、到着から作業開始までの時間などが労働時間に含まれるとした主張が認められました。
 ご遺族は雇用元・元請け・東京電力の三社を相手取って提訴した、安全配慮義務違反等の損害賠償請求訴訟も係争中です。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故収束作業で構内自動車整備をしていた自動車整備士・猪狩忠昭さんは、2017年10月26日に亡くなりなした。東京電力は猪狩さんの死亡を発表した際、作業との因果関係はないと明言していました。
 猪狩さんは、亡くなる5年前の2012年3月にいわき市内の自動車整備・レンタル企業に入社した時から、車両整備にあたり、亡くなった当日、昼休みの後、午後の作業に行く時に倒れ、午後2時半過ぎに広野町の高野病院で死亡を確認、死因は致死性不整脈と診断されました。
 猪狩さんは、2017年4月以降、月曜から金曜、朝4時半に出勤し一般道を自動車で福島第一原発に移動、事務所に戻るのが夕方5時から6時という生活が続きました。遺族らは、亡くなる直前の3か月間の平均残業時間は約105時間。亡くなる半年前からの1か月あたりの残業時間は最大で130時間超、平均で110時間に達していたとして18年3月にいわき労基署に労災申請し、いわき労働基準監督署が2018年10月17日に労災認定しました。

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by kazu1206k | 2020-03-29 22:22 | 雇用 | Comments(0)

佐藤かずよし


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