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原発事故の損害賠償請求権の消滅時効を再延長する法改正を求め、日弁連が意見書

 日本弁護士連合会は、3月18日付けで「東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効期間を再延長する法改正を求める意見書」をまとめ、同月25日付けで内閣総理大臣、法務大臣及び文部科学大臣宛てに提出しました。
 東京電力福島第一原発事故により生じた損害賠償請求権については、2013年12月11日に特例法が公布・施行され、これにより民法第724条前段に定める消滅時効期間は、「3年間」から「10年間」に延長されました。その後、民法改正に伴い「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により、特例法が再び改正されましたが、民法第724条前段に定める消滅時効期間は「10年間」のままであり、2021年3月11日以降順次消滅時効期間が満了します。
 しかし、復興庁は、東日本大震災による福島県から同県外への避難者数は、2020年2月10日現在で30,914名1としており、間もなく本件事故後10年が到来する現在であっても、避難生活を余儀な くされている被害者が相当数存在しています。
 また、事故被害者の中には、東京電力ホールディングス株式会社に対する損害賠償請求未了の被害者も相当数存在します。未請求者には、避難指示区域からの避難者、避難指示区域以外の地域からの避難者のみならず、本件事故後も事故前から居住していた地域において引き続き居住を続ける被害者もいます。
 意見書では、こうした現状を踏まえ、国は「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)により改正された「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律」(平成25年法律第97号)に関して、対応を行うべきであるとして、下記の3点を挙げています。

 1 法律の改正
 「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)により改正された「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効の特例に関する法律」(平成25年法律第97号)(以下「特例法」という。)第3条を改正し、民法第724条第1号の時効期間を「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」から20年とし、同条第2号及び同法第724条の2の規定は適用しないものとすべきである。
 具体的には、特例法第3条の規定を「特定原子力損害に係る賠償請求権に関する民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百二十四条の規定の適用については、同条第一号中『三年間』とあるのは『二十年間』とし、同条第二号の規定は適用しない。この場合においては、同法第七百二十四条の二の規定は、適用しない。」と改正すべきである。

 2 改正施行5年後見直しの検討
 前項の改正法施行から5年経過後に、損害賠償の実施状況等を踏まえ、時効期間の更なる延長を含めた見直しを検討すべきである。

 3 情報提供体制の強化
 特例法第1条に規定する「特定原子力損害の被害者」が、「特定原子力損害に係る賠償請求権」の消滅時効の期間までに賠償の請求をすることを促すために、同法第2条に規定する「情報提供体制」を更に強化すべきである。

 意見書全文は、以下を参照願います。
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2020/opinion_200318_2.pdf
by kazu1206k | 2020-04-04 22:29 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k