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海洋放出素案、東電が国と事前に擦り合わせ決める

 4月8日、脱原発福島ネットワークなど福島県内の10市民団体による、東電交渉(再開第53回)が、いわき市平で開かれました。
今回の東電交渉は、下記の項目について行われました。
 1、2月12日提出の質問事項(相次ぐトラブル事故、人員と資金投入、汚染水の海洋放出)への回答と質疑
 2、「排気筒の解体、トリチウム等タンク貯蔵汚染水の陸上保管、福島第二原発の廃炉についての申し入れ書」への再々回答と質疑
 3、ADR関係、社員自殺未遂事件の質問への回答と質疑
 このうち、2月12日提出の質問事項の「汚染水の海洋放出」への回答は、次回となりました。
 しかし、経済産業省が4月6日から「関係者の意見を伺う場」などのヒアリングを実施していることから、緊急に、東京電力が3月に公表した「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 報告書を受けた当社の検討素案について」(https://bit.ly/2wubS7X)質問したところ、経済産業省と東京電力が福島沖への海洋放出を既定の事実として拡散シミュレーションなどを事前にすり合わせ協議調整後に作成公表したものであることを認めました。「関係者の意見を伺う場」などのヒアリングは、処分方針決定に向けて、一応関係者の意見も聞いたという既成事実を作り、積み上げるために、行われていることが明らかとなりました。
 「はじめに海洋放出ありき」の国と東電の強行姿勢が示されており、到底許されるものではありません。

●質疑の内容

1、2月12日提出の質問事項
(1)福島第一原発における相次ぐトラブル・事故について
ア、2018年中、3号機の核燃料取り出し装置のトラブルが頻発の原因と対策
 ・回答
 燃料交換機は、海外発注品で品質管理に問題があった。昨年より、燃料集合体119体を共用プールに移動。現在447体が建屋内プールに残っている。1回に7体はいるので64回繰り返し、来年3月には完了したい。2019年にも不具合はあった。
イ、2019年11月、6号機で新燃料の燃料棒の損傷事故の原因と対策
 ・回答
 ヒューマンエラーであり、手順書への記載と訓練を実施しているが、まだ改善は終わっていない。作業も再開していない。
ウ、1・2号機排気筒解体作業の遅れの対策と今後の見通し
 ・回答
 本年5月までに23ブロックまで解体する。4月3日現在、18ブロックまで終了。現在は19ブロック目で20〜23ブロックは筒身になる。
エ、排気筒汚染水の土壌流出の原因と対策
 ・回答
 325mm付近が問題。ポンプ水位口を260~300mmで吐き出すように対策。ピットの場所が毎時950msvの被ばく線量なので確認できない。23ブロック解体終了後にピットに蓋をして対応する。
オ、台風19号等による雨水の建屋内への大規模浸水により10月は汚染水が8000トン増加の原因と対策
 ・回答
 1、3号機には天井がないため、雨氷の浸水防止対策が必要。
 ・質疑
ー市民:雨水をシャツタウトする設備は?
ー東電:1号機は24〜25年までにカバーをかける。時間がかかるがガレキ撤去が先決。
ー市民:今後の雨水を想定して対策とるのか?
ー東電:10年降水量で考えている。シミュレーション。土嚢を置く対策で対処。屋根は時間がかかる。
カ、2020年1月以降の2号機タービン建屋北東エリアにおけるサブドレン運転制限値の逸脱の原因と対策
 ・回答
 水位設定をあげる操作をしていた。

(2)東京電力の人員及び資金投入のあり方について
ア、相次ぐトラブル・事故を巡り、原子力規制委員会が東京電力の「カイゼン活動」がコスト削減であり、人員及び資金が投入されていないと指摘しており、労災事故など作業員の労働環境の悪化の原因の一つとなっていることの改善策
 ・回答
 4月1日から要員増。本社から約80名程度移動しプロジェクトチーム。
 ・質疑
ー市民:コロナ対策は?
ー東電:本社からの移動社員は分離して作業中。重要度の高い部署は、寮、移動、食事を別にしている。出張はせずテレビ会議を実施。
ー市民:「部下の監督指導できない」「自らの仕事を乖離見ることができない」との声については?
ー東電:原子力規制委員会第40回の小林発言でも指摘されているが、セクショナリズムが働いて横の連絡がなかった。
ー市民:!Fの1,100人の職員のうち何人やめているか?
ー東電:わからない。

(3)タンク貯蔵汚染水の海洋放出について(回答は次回、緊急質問のみ回答)
ア、経済産業省のALPS小委員会の報告書について、「海洋放出」と「水蒸気放出」の2つを「現実的な選択肢」とし、海洋放出は国内の原発で実績があるから「より確実に実施できる」として、陸上保管を求める漁業者や海洋放出反対とする県民世論の声を無視していることの東京電力としての評価
イ、今後の対応について、東京電力としての対応方針
ウ、汚染水貯蔵管理及び処理費用について、これまでとこれからの費用及び財源

 ・緊急質問
ー市民:小早川社長は「地元に寄り添う形にしたい」といっているのでは。
ー東電:発言している。
ー市民:本店松本氏は「1F全体でトリチウムは2,069兆ベクレル」といっているのでは。
ー東電:タンク内860兆ベクレル、残り建屋内残留水1,209兆ベクレル、放出する可能性はある。
ー市民:なぜ、東電検討素案にALPS小委員会報告書にはない、福島第一原発からのシミュレーション図を記載したのか、福島から出したいのか。
ー東電:当社素案に示された福島第一原発からの海洋放出拡散予測図については、福島からの放出をやりたいとう意識はない、そういう意図はないと思う。具体的にやろうとすると、こうなるのかなと。事前に国に示して、国がOK出したのもを使っている。国の了解を得て公に出している。国の方から、こういった形で資料をつくってみては?と。国と調整した上で出している。
ー市民:デブリ保管庫のために汚染水を海に流すのはおかしいのでは。
ー東電:タンク増設すると敷地がなくなる。
ー市民:大熊にだけ負荷かけるのはおかしい。
 *次回の東電交渉で東電側から再度検討素案について説明することを求めた。

2、前回の再質問及び関連質問への東電側の回答
ー市民:1・2号機排気筒解体のコントロールしているバスのナンバーは?
ー東電:車検切れで自走していない。
ー市民:福島第二原発使用済み核燃料の乾式キャスクの構造図と施設用地は?
ー東電:構造図、別紙。
ー市民:ADRコールセンターの相談数、事情聴取数。和解数は。
ー東電:相談数等の回答は差し控える。申立て取り下げを含む未解決の340件について対応中。
ー市民:第40回原子力規制員会での1F現地検査官の発言に対する東電の見解は?
ー東電:「現場に目がいってない」など4点。放射線管理部門など。4月1日から組織改編。プロジェクトごとの対応、シフトごとの管理でトラブルを抑制する。
ー市民:2006年の東電社員自殺未遂事件は?
ー東電:確認したが不明。記憶にない。

*次回は、6月22日(月)。
by kazu1206k | 2020-04-08 22:41 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k