汚染水の処分に係る意見を提出
2020年 05月 05日
安倍首相は「意思決定まで時間をかける暇はそれほどなく、できる限り速やかに処分方針を決定したい」と、今年の夏7月にも決定する腹積もりです。
これまで、福島県内関係自治体や15市町村議会、関係者が慎重な対応を求め、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内農林水産業の代表的組織が海洋放出等に反対しています。
また、福島県の報道機関は二度にわたり「『時間切れ』許されない」「結論ありき許されない」との社説を掲げ、漁業が主要産業でもある浪江町議会は海洋放出反対決議を行っています。
私も意見を提出しましたので、下記に紹介いたします。
また、提出方法を末尾に載せましたので、ご自身のご意見を書いて送りませんか。ぜひ応募してください。締め切りは5月15日です。
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廃炉・汚染水対策チーム事務局 様
「多核種除去設備等処理水の取扱い」に係る書面による意見提出
(要旨)
1、タンク貯蔵汚染水の大気及び海洋放出処分案について、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内農林水産業の代表的組織が反対しており、福島第一原発事故による被災地域住民の命と健康を守り、農林水産業の再生をめざす立場から反対する。
2、国と東京電力は、トリチウム分離技術の開発実用化、タンク貯蔵汚染水の大型タンク保管やモルタル固化保管など陸上保管について、更なる検討を行うこと。
3、国は、事故炉の汚染水の処分について、国際関係に配慮し、国権の最高機関である国会での議論、全国各地での公聴会の実施など国民的議論を深めること。
4、国は、緊急事態宣言の発出など新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う事態を踏まえ、国民的議論に資する情報の公開と国民の意見聴取の促進に留意すること。
5、国は、拙速を避け、国民的合意なき処分方針の決定を、本年夏に強行しないこと。
(理由)
東京電力福島第一原発事故は、未だ、政府の原子力緊急事態宣言も解除されておらず、多くの住民が避難生活を強いられている。
事故によるタンク貯蔵汚染水は、東京電力福島第一原発事故に発生原因がある液体放射性廃棄物である。この汚染水は、東京電力が発生者責任の原則のもと、厳重に管理し処分しなければならないものである。国・原子力規制委員会は、東京電力福島第一原発について、原子炉等規制法により特定原子力施設に指定している以上、法に基づき、液体放射性廃棄物を適切な方法により安全に管理させなければならない義務があり、国民の生命・財産を守るため、高度な注意義務を果たすことが求められている。苟も液体放射性廃棄物の処分により健康影響や社会的被害を発生させてはならない。
このタンク貯蔵汚染水の処分について、経済産業省資源エネルギー庁は、汚染水処理対策委員会「トリチウム水タスクフォース」の報告書、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の報告書により、一貫して「希釈後海洋放出」の立場である。
しかし、タンク貯蔵汚染水には、トリチウムだけでなくストロンチウム90など他の7つの放射性核種が含まれ、東京電力によればタンク群の72%に基準値超えの放射性物質が含まれている。東京電力は海洋放出前に二次処理するというものの、これらの放射性核種が完全に取り除けるわけではない。1月時点で総量860兆ベクレルとされるタンク貯蔵トリチウムが海洋放出されれば、こうした放射性物質も同時に放出され、生物濃縮や健康影響の懸念が払拭されていない。
タンク貯蔵汚染水=液体放射性廃棄物は、放出に関する環境アセスと総量規制も実施しないままに放出することは許されず、予防原則に立って、タンク保管やモルタル固化保管等安全な陸上保管を進めることが現実的であり、被災者である福島県民はじめ国民の生命・財産を守るための賢明な選択である。
現在もなお、福島県はじめ東北地方太平洋沿岸地域は、東日本大震災と原発事故災害から再生の途上にある。コスト優先の海洋放出ありきの処分方針は、令和元年度の漁獲高が震災前の14%程度で、本年2月に出荷制限が解除され、今後、増産に向けて舵を切ろうとしている福島県の漁業関係者はじめ、農林水産業、地域の社会経済に大きな打撃となり、甚大な影響を与える。
4月6日開催の「関係者の意見を伺う場」で福島県漁連の野崎会長は、「国の廃炉に向けて進めてきた汚染水の総量を減らすため、地下水バイパス、サブドレンの排出に苦渋の想いで協力してきた。トリチウムを含んだ水については、関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない、というご回答をいただいている。それ抜きに信頼関係は成り立たない。」「9年で若い漁業者の参入が進んだ。今後彼らに将来を約束していくためにも、海洋放出に反対する。また、海洋に県境はない。意図的に海洋にトリチウムを放出することは、福島県の漁業者だけで判断することはできない。全漁業者の意見をきいてもらいたい。」と訴えた。
安倍首相は「意思決定まで時間をかける暇はそれほどなく、できる限り速やかに処分方針を決定したい」というが、福島県内関係自治体や15市町村議会、関係者も慎重な対応を求めている。また、福島県の報道機関は二度にわたり「『時間切れ』許されない」「結論ありき許されない」との社説を掲げたことは特筆すべきであり、漁業が主要産業である浪江町議会は海洋放出反対決議を行っている。
この際、国においては、福島県漁業協同組合連合会と軌を一にして、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会がタンク貯蔵汚染水の大気及び海洋放出処分案に反対を表明したことは、重く受け止めねばならない。トリチウム等放射性物質の海洋投棄等は、原発事故後の復興をめざす福島県民と県内の農林水産業=第一次産業に深刻な打撃を与えることが否定できない。これは、「人間の復興」に逆行する行為で許されるものではない。
【意見提出の方法】
詳しくは経済産業省のウェブサイトをご参照ください。
https://www.meti.go.jp/…/committee/takakushu_iken/index.html
1.e-Gov(電子政府)のフォームを通じて出すことができます。
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620220008&Mode=0
(あらかじめ下書きを書いておいて、そちらを保存したのち、コピーペーストでフォームに貼り付けることをお勧めします)
2.メール、ファックス、郵送でも提出することができます。
(以下「意見募集要項」からの抜粋)
(1)意見提出を御希望される方は、提出用の様式に以下の内容を記載し(任意)、電子メール、FAX又は郵送にて以下(3)の提出先まで御提出ください。(電話等による提出は受け付けておりません)。
・意見提出者の氏名、連絡先(電話番号、住所等)
・職業、勤務先・学校名(個人の場合)
・団体名、団体の所在都道府県(団体の場合)
(2)意見募集期間
令和 2 年 4 月 6 日(月)~令和 2 年 5 月 15 日(金)(必着)
※郵送の場合、消印有効
(3)提出先
① 電子メールによる場合:takakushu-iken@meti.go.jp
件名を「書面による意見提出」とご記入ください。
② FAXによる場合:03-3580-0879
廃炉・汚染水対策チーム事務局 宛
③ 郵送による場合:〒100-8931 東京都千代田区霞が関 1-3-1 経済産業省別館5階 526 廃炉・汚染水対策チーム事務局 宛
※封書に「書面による意見提出」と赤字で御記入ください。
(4)提出に当たっての注意事項
・意見の提出につきましては、日本語に限ります。