一般質問報告1ー新型コロナ対策、検査と医療、介護等の現場への支援
2020年 06月 08日
第1回は、「いのちを守る、新型コロナウイルス感染症対策」のうち「検査と医療提供体制の充実等」「介護・福祉の現場への支援」、です。
1 いのちを守る、新型コロナウイルス感染症対策について(第1回)
(1)検査と医療提供体制の充実等について
(2)介護・福祉の現場への支援について
(3)個人と企業等に対する本市独自の支援策について (第2回)
2 いのちを守る、防災・災害に強いまちづくりについて
(1)令和元年東日本台風における災害対応の検証と今後の改善について
3 いわき市の再生と地域課題の解決について(第3回)
(1)水産業の復興について
(2)小名浜地区における公共施設再編と連携したまちづくりについて
(3)中山間地域の振興について
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35番、創世会の佐藤和良です。
今、世界はコロナ禍の只中にあります。
いのちを守るために、新型コロナウイルス感染症の防疫と医療体制を充実させ、くらしを守るために、休業補償、雇用確保など、セーフティネットを充実させる時です。
昨年は、台風19号などの豪雨により、夏井川はじめ市内の河川が氾濫し、尊い命が失われました。災害の激甚化に対して、河川改修など人命最優先の治水、災害に強いまちづくりを推し進めることも必要です。
そして、東日本大震災と原発事故から10年目。未だ原子力緊急事態宣言は解除されていません。復興は道半ばです。復興に水を差す国の汚染水海洋放出に反対する農林水産団体の声を重く受け止め、農林水産業の再生をめざすことが重要です。
わたくしは、あらためて「いのちを守る」原点に立って、通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点は、いのちを守る、新型コロナウイルス感染症対策について、です。
本市は、新型コロナウイルス感染症対策行動計画に基づいて、サーベイランス、情報提供、蔓延防止、医療への対応など行ってきました。「感染の第2波・第3波」、次の患者増大期に向けて対策を進めなければなりません。
1点目は、検査と医療提供体制の充実等について、です。
①まず、検査体制等について、次の患者増大期に向けて、屋外でのドライブスルー・ウォークインによる鼻腔等PCR検査、本市における感染症の実態を掴むための感染者周辺の抗体検査や無作為抽出による疫学調査など、検査体制等の充実をどう進めるのか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
市の検査体制につきましては、1日最大48検体の検査を実施可能な福島県衛生研究所に委託してきたほか、3月31日に民間検査機関との間で市独自に契約を締結し、1日最大50検体の検査を確保し、さらに、4月1日より市保健所において1日最大10検体の検査を実施することにより、現在は1日最大108検体の検査ができる体制を整備して参りました。
今後においては、濃厚接触者について症状の有無にかかわらず、速やかにPCR検査を行うよう取り扱いが変更されたことを踏まえ、県と連携し検査体制の拡充を図るほか、唾液によるPCR検査など新たに保険適用された検査方法を取り入れながら、診察・検査等の各プロセスを再評価することにより、より迅速で円滑な検査体制の構築に向けて、市医師会や地域の医療機関と連携し対応して参りたいと考えております。
①−2 3都県で始まっているが、具体的に実態はどうなっているのか、感染者の実際をつかむために、一定程度抗体検査をする必要があるかと思うが、本市の所見は。
—答弁(保健福祉部長)
抗体検査につきましては、過去に感染したことがあるかどうかを確認する検査ということでありますけども、現在、市単体で行える程の治験といいますか、そういうものがあるわけではないので、国または県等の動向を踏まえながら、今後検討してまいりたいと思います。
②次に、地域医療を維持する医療提供体制について、次の患者増大期に向けて、医師会、病院協議会と連携しながら地域医療体制を維持するため、医療資機材の調達や医療従事者への特殊勤務手当の支援など、医療提供体制をどう充実をさせるのか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
本市におきましては、これまで、市医師会及び市薬剤師会のご協力のもと、発熱外来を開設して、発熱患者の受診体制の充実及び診療所等における感染リスクの低減に努めてきたほか、県が本市に設置した、軽症者等宿泊療養施設を市内医療関係者のご協力をいただきながら、県・市共同で運営することにより、今後の感染の急増にも対応できるよう備えるとともに、医療資器材の確保につきましても、「新型コロナに負けないプロジェクトチーム」を立ち上げ、医療機関等のニーズを把握しながら取り組んでいるところであります。
一方、国や県において、医療従事者等への手当の支給を検討していることから、その動向も注視して参りたいと考えており、今後におきましては、これまでの取り組みの継続に加え、県に対し、一般病床を確保した医療機関への「空床補償」や、国の「緊急包括支援交付金」を活用した支援を要望するとともに、新たな感染拡大の波に備え、国、県をはじめ、市医師会や市病院協議会等の関係機関との連携・協力による検査体制や病床の拡充等を図りながら、本市の医療体制の充実に努めて参りたいと考えております。
③次に、保健所の体制について、新型コロナウイルス感染症では、感染症法による国の事前対応型行政に基づく対策が後手後手に回っていますが、本市としては人員も含めて保健所の体制をどう強化するのか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
保健所の体制につきましては、保健所総務課に、企画・立案等を担当する総務班及び患者対応や疫学調査等を担当する感染症対策班を、部内の応援職員3名を加えた上で設置し、新型コロナウイルス感染症への対応時の役割を明確にすることにより、感染者の確認時にスムーズに対応できる体制を構築するとともに、疫学調査担当者を増員し、感染者の拡大に備え対応してきたところであります。
また、保健所の体制強化のため、保健福祉部内に財務の調整等を担当する総合調整班や広報の立案、充実を担当する広報企画班等を設置するとともに、新型コロナに負けないプロジェクトチームを立ち上げ、不足している医療資器材の調達や外出自粛による不活発化防止対策に取り組むなど、保健所機能の充実、強化に努めてきたところであります。
さらに、部を超えた職員庁内応援制度の活用により、11名の職員の応援を受け、二班体制を構築するとともに、執務室も分散し、マンパワーと保健所内の感染拡大防止策の強化を図って参りました。
今後も、市内の感染状況等を踏まえ、必要に応じて応援体制の強化を図るなど、全部局の協力のもと、対応に万全を期して参りたいと考えております。
④次に、いわき市医療センターの体制強化について、感染管理委員会、感染管理室等の感染対応、呼吸器内科常勤医の確保等、院内の医療提供体制をどう強化するのか、お尋ねします。
—答弁(医療センター事務局長)
当センターにおきましては、感染症指定医療機関として、適切な医療の提供や、院内感染の防止を図るため、病院事業管理者が、自ら先頭に立ち、様々な取組みを行ってきたところであります。
その主な内容について申し上げますと、感染管理認定看護師を増員した「感染管理室」や、多職種で構成する「感染管理委員会」が中心となり、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れる際の対応マニュアルを作成するとともに、感染症対応エリアと清潔エリアを分離するため、新たに感染症患者等を受け入れる病棟等への間仕切りの設置や陰圧機能の付加工事を行ったほか、一般病棟やE-ICUでも一定の病床数を確保し、更なる感染症患者の増大に対応できる体制の構築を図ったところであります。
今後におきましては、更なる医療提供体制の強化に向け、現在、不在となっている呼吸器内科の常勤医師の確保に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大や収束状況を見極めながら、感染症への対応と高度・急性期や周産期といった通常医療との両立を図るため、これら医療提供体制のバランスに十分留意し、病院運営を行って参りたいと考えております。
市民の生命を守るため、本市における感染症の実態を掴む抗体検査や無作為抽出による疫学調査、検査体制等の充実、地域医療体制の維持、保健所体制の強化などを改めて要望いたします。
2点目は、介護・福祉の現場への支援について、です。
介護事業所や障害福祉サービス等事業所等から、切実な現場の声が寄せられています。感染当初の感染防護用資材の不足に対する訴え、入居者の場合の外出や面会制限等の実施によるストレス状況、新型コロナウイルス感染症対策の具体的な対応方法について、中核市である本市からの情報提供と適切な指導を求める声、学校休業に伴う介護職職員等の子どもの保育所等での預かりについて、保育所等から自宅で見て欲しいとされ自助努力が強制されたという声などなど、です。
⑤まず、介護事業所等や障害福祉サービス等事業所におけるマスク・消毒液・手袋・防護服等の感染防護用資材の安定供給について、各施設等で備蓄が十分ではないため、備蓄も含めた安定的な供給確保をどう進めるのか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
医療機関等に対するマスク等の感染防護用資材につきましては、国内の需給状況が逼迫し入手しにくい状況であることを踏まえ、国の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づき、県では、県内の介護サービス事業所等に対し数回の配布を行っており、本市の事業所に対しましては、マスク約12万6千枚などが配布されております。
また、市におきましても、更なる感染防護用資材の供給確保に資するため、「新型コロナに負けないプロジェクトチーム」を立ち上げ、購入に係る情報提供や、企業や個人からの寄附について、市公式ホームページ等で広く募るなどしながら、物資の確保に努めてきたところであります。その結果、独自の購入ルートの開拓や、多くの寄附受納といった成果があり、介護サービス事業所等に対しましても、市独自にマスクを約11万7,000枚、消毒液を約1,700本配布したところであります。
なお、本年6月1日に市内の特別養護老人ホームに対し市が行った聞き取り調査では、マスク等の用品の備蓄状況等は概ね充足できているとのことであり、今後におきましては、再度の感染拡大に備えるため、まずは、各施設に対しマスク等の必要数の事前の確保を促すとともに、施設からの要望や、マスク等の備蓄状況を適宜聴取し、国・県との連携を図りながら、引き続き必要な支援を実施して参りたいと考えております。
⑥次に、クラスター発生時の対応方針について、人員基準体制の柔軟かつ弾力的な運用などを含めて、中核市として、より具体的な対応方法について示すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
介護サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症への対応等については、国・県が感染防止の取組みや感染者が確認された場合の取扱いに関する事項等のほか、介護サービス等を継続的に提供していくための柔軟な取扱いについても、省令等に基づき各自治体に通知しているところであります。
このような中、人員基準や報酬算定に関しましては、こうした国からの通知に基づき取り扱っているところであり、裁量の余地はないものの、市といたしましては、今後とも引き続き、国・県と連携しながら、万一、感染者が確認された施設においても継続的にサービスを提供できるよう、感染症対策や基準等の柔軟な取扱いについて、迅速に情報等を事業所等へ提供するとともに、事業所から問い合わせがあった際には、個々の状況を丁寧に聴取しながら、報酬算定可能な事例などについて、現場で運用できるよう具体的に判りやすく回答するなどの支援等を行って参りたいと考えております。
⑦次に、利用制限に伴う減収補填ついて、デイサービス・ショートスティ等通所型施設の利用制限による減収、外部病院からの特養施設への訪問リハビリや歯科診療等の中止による加算減などに対する補填について、本市としてはどう対応するのか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
介護サービス事業所等が提供する各種サービスは、利用者の方々やその家族の生活を維持する上で欠かせないものでありますことから、市では、市内事業所に対し、感染予防策を徹底した上で、支援が必要な方へのサービス提供の継続を依頼したところであります。
その一方で、感染予防策として、利用者数を制限したり、協力機関からの職員派遣を中止したことなどから、報酬の加算等が算定できず、減収に至った事業所もあると承知しております。
また、国は、介護サービス事業所等が感染拡大を防止するために講じた措置につきまして、人員や運営に関する基準を柔軟に対応することや、代替サービスを提供した場合においても報酬算定を可能にするなど、臨時的な取扱いにより対応していくことを明示しているところであります。
このようなことから、市といたしましては、介護サービス等が継続的に提供されるよう、また、算定可能な報酬について未算定となることがないよう、国からの臨時的な取扱い等について、各事業所に対し改めて周知するとともに、利用自粛等による事業所への経済的支援策につきましても、引き続き中核市市長会等を通じ、国に対し要望して参りたいと考えております。
⑧次に、介護従事者への特別手当の支給について、人手不足の中、感染防止対策で負担が強まり、職員の体力的・心理的な負担、緊張・不安は限界状態で、職員に対する手当等の支援が必要となっていますが、感染者が出た施設の職員に対する国の「コロナ手当」を介護従事者全体に拡充するよう求めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
介護従事者への特別手当につきましては、本年5月27日に閣議決定された「令和2年度第2次補正予算案」において、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」に新たに盛り込まれたものであり、その内容は、職員への慰労金として、新型コロナウイルス感染症が発生した又は濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務する職員に対して20万円、それ以外の施設・事業所に勤務し、利用者との接触を伴うサービスに携わる職員に対して5万円を支給するものとなっております。
当該予算案につきましては、今国会で審議が進められることとなっておりますことから、市といたしましては、その動向を注視して参りたいと考えております。
介護事業所や障害福祉サービス等事業所等の声を十分把握して、現状を踏まえ、介護・福祉の現場へ必要な支援が届くよう、改めて要望します。
