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いわき市議会、陸上保管の継続を求める請願と意見書を可決

 6月18日午後、いわき市議会は、福島第一原発事故の汚染水の処分決定をめぐって、市民から出された「『多核種除去設備等処理水』の処分決定に関する請願書」と議会提出の「多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書」を全会一致で可決しました。いずれも、陸上保管の継続を求めるものです。
 請願は、いわき市に対して、「政府が『多核種除去設備等処理水』の処分方法の最終判断を行うに当たり、ALPS小委員会報告のみを判断の根拠にするのではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け処理水の安全に関わる情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を合わせて示すことにより関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは『多核種除去設備等処理水の陸上保管の継続を求める』意思表明を明確な文書で関係機関に提出すること」を求めました。
 また、意見書は、いわき市議会から安倍内閣総理大臣と梶山経済産業大臣に対して、「多核種除去設備等処理水の処分方法の最終判断を行うに当たっては、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告のみを判断の根拠にするのではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け、多核種除去設備等処理水の安全に関わる情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは多核種除去設備等処理水の陸上保管を継続すること」を求めるものです。

 全文、以下の通りです。

●請願第6号 「多核種除去設備等処理水」の処分決定に関する請願書

令和2年6月10日受理 
政策総務常任委員会付託 

紹介議員 
永 山 宏 恵 
溝 口 民 子 
坂 本   稔 

請願要旨
 東京電力福島第一原子力発電所の事故により発生し、「多核種除去設備等処理水」の処分について、今年2月に経産省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」は、水蒸気放出、海洋放出が現実的であり、海洋放出がより実施しやすいとの提案をまとめました。2018年8月に福島県と東京都で行われた「多核種除去設備等処理水」の取り扱いに関する「説明・公聴会」で、意見公述人からは「陸上保管」を求める多くの声がありました。
 今年3月、提言を受けて東電は「処理水の処分素案」を発表し、安倍首相も7月までには処分方法を決定したいと発言しました。経産省は、4月6日、13日、5月11日、「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場」において、各種関係団体や自治体の首長からの意見聴取を行いました。この中で、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会は放出には反対を表明しており、その他の関係機関や自治体首長からは、もっと多くの県民に説明をして意見を聞くべき、必ず起きる新たな風評被害に対する具体策を提示するべきとの発言が大半を占めました。また、朝日新聞社と福島放送が、2020年2月に福島県の有権者を対象に共同で行った世論調査によれば、「多核種除去設備等処理水」を薄めて海に流すことに対して57%が「反対」としています。
 「多核種除去設備等処理水」にはトリチウム以外にも除去できていない基準値を超える多核種が保管量の7割に残留しており、それらに関する説明や周知のための努力が不足していると感じます。

 太平洋に面したいわき市で、海に親しみ、誇りに感じながら暮し、子育てをする私たちは原発事故以降、これ以上の環境破壊をさせないことを願ってきたため、「多核種除去設備等処理水」については、慎重に取り扱っていただきたいのです。国はこれについての管理、収束に向けた努力を尽くすべき、と考え、以下の請願をいたします。

請願事項
いわき市として、政府が「多核種除去設備等処理水」の処分方法の最終判断を行うに当たり、ALPS小委員会報告のみを判断の根拠にするのではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け処理水の安全に関わる情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を合わせて示すことにより関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは「多核種除去設備等処理水の陸上保管の継続を求める」意思表明を明確な文書で関係機関に提出すること。


請願者
いわき市常磐下湯長谷町道下53番地の2
いわき海と風の会
共同代表 織田千代 千葉由美 内田ゆかり


●多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書

 本年2月、経済産業省の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会では、東京電力福島第一原子力発電所の事故により発生している多核種除去設備等処理水の処分について、水蒸気放出と海洋放出の2つの方法が現実的な選択肢であり、その中でも海洋放出がより実施しやすいとの提案をまとめた。2018年8月に福島県と東京都で開催された多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会では、意見公述人から陸上保管を求める多くの声があった。
 本年3月、提言を受けて東京電力ホールディングス株式会社は、多核種除去設備等処理水の処分素案を発表し、安倍内閣総理大臣も7月までには処分方法を決定したいと発言した。経済産業省は、4月6日、13日及び5月11日に多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場において、各種関係団体や地方公共団体の首長からの意見聴取を行った。この中で、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会及び福島県農業協同組合中央会は、海洋放出には反対を表明しており、その他の関係機関や地方公共団体の首長からは、もっと多くの県民に説明をして意見を聞くべき、必ず起きる新たな風評被害に対する具体策を提示するべきとの発言が大半を占めた。また、株式会社朝日新聞社及び株式会社福島放送が、本年2月に福島県の有権者を対象に共同で行った世論調査によれば、多核種除去設備等処理水を薄めて海に流すことに対して57%が反対としている。
 多核種除去設備等処理水には、トリチウム以外にも除去できていない基準値を超える多核種が保管量の7割に残留しており、それらに関する説明や周知が必要である。
 よって、政府においては、多核種除去設備等処理水を慎重に取り扱い、管理、収束に向けた努力を尽くすべきであり、次の事項について取り組むことを強く要望する。

1 多核種除去設備等処理水の処分方法の最終判断を行うに当たっては、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告のみを判断の根拠にするのではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け、多核種除去設備等処理水の安全に関わる情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは多核種除去設備等処理水の陸上保管を継続すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

令和2年6月18日

 内閣総理大臣  安 倍 晋 三 様
 経済産業大臣  梶 山 弘 志 様

いわき市議会議長  菅 波  健
by kazu1206k | 2020-06-18 14:51 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k