35番、創世会の佐藤和良です。
まず、令和2年7月豪雨の甚大な被害により、お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、東日本大震災と原発事故から10年目になりました。未だ原子力緊急事態宣言が解除されていないにも拘らず、国と東京電力は、事故により発生しているタンク貯蔵汚染水の海洋放出処分を実施しようとしています。
しかし、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内の農林水産団体がタンク貯蔵汚染水の大気及び海洋放出処分案に反対を表明し、さらに本議会を含む県内21の自治体議会が海洋放出反対や陸上保管の継続、丁寧な説明などを求め国に意見書を提出したことを、国と東京電力は重く受け止めねばならなりません。
トリチウム等放射性物質の海洋投棄は、原発事故後の復興をめざす福島県民と県内の農林水産業=第一次産業に深刻な打撃を与えます。
国と東京電力は、トリチウム分離技術の開発実用化、タンク貯蔵汚染水の大型タンク保管やモルタル固化保管など陸上保管の具体的検討を進め、国際関係に配慮し、国会での議論、全国各地での公聴会の実施など国民的議論を進めるべきであり、国民的合意のない処分方針の決定は許されるものではありません。
さて、今議会は、私どもの任期中最後の議会となりました。
わたくしは、市民の皆様の共感とご支持を頂き市議会に送り出して頂いて以来、「いのちを守る」という原点に立って、いわきの再生と様々な地域課題の解決に向け、努力してまいりました。
この4年間は、高齢者福祉と介護職員の処遇改善、医師の確保と地域医療の充実、待機児童解消と放課後児童クラブの充実、地域防災の強化、汚染水など原子力災害対策と原発作業員の処遇改善、農林水産業の再生と中小・小規模企業の活性化などの市民の切実な願いを実現するために、全力を挙げてまいりました。
今、激甚災害とコロナ禍の中、世界経済も縮小局面に入り、多くの困難が待ち受けていますが、わたくしは、「いのちを守る」原点に立って、誰もが安心して暮らせる、ふるさと・いわきの再生に向け、市民のみなさんと手をつなぎ、子どもたちの未来のために、あきらめず行動して参ります。
それでは、通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、いのちを守る、新型コロナウイルス感染症対策について、です。
新型コロナウイルス感染症は、米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターの集計では、世界の累計感染者数は1412万人を超え、死者は約60万人を数えています。
国内では、7月18日現在、東京で3日連続300人近い数字となり、全国で新たに664人が確認され、緊急事態宣言が解除された5月25日以降では最多を更新し、累計感染者数は25,575人、死者は999人となりました。全国的に感染が拡大しています。
本市は、新型コロナウイルス感染症対策のロードマップを作成して、感染・蔓延の防止、地域医療の確保、経済対策・生活支援を進めていますが、「感染の第2・3波」を見据えた対応が不可欠とされております。
1点目は、感染拡大期に向けた医療提供体制等の充実について、です。
① まず、人工呼吸器及び対外式膜型人工肺(ECMOエクモ)の配備について、ワクチンや治療薬がない現段階において、肺炎が悪化した際に必要な人工呼吸器、さらに重症化し肺の働きが弱まった際、患者の静脈からチューブを通して血液を体外に取り出し、酸素を含ませるなどして再び体内に戻す対外式膜型人工肺(ECMOエクモ)の、感染症指定医療機関である市医療センターなど受入医療機関への配備状況はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
国で行われた調査によりますと、令和2年4月1日現在、体外式膜型人工肺いわゆるECMO(エクモ)については、市内の感染症指定医療機関に7台を配備しております。
また、人工呼吸器については、感染症指定医療機関に加え、新型コロナウイルス協力医療機関に、合計68台配備されております。
② 次に、市医療センターにおけるECMOエクモ稼働について、医師、看護師、臨床工学技師によるチーム体制はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(医療センター事務局長)
当センターが保有するECMO(エクモ)全7台のうち重症化した新型コロナウイルス感染症患者に対応できる台数は現時点で3台となっております。
また、ECMO(エクモ)は、肺の代わりとなる生命維持管理装置であり、その取扱いには高い技術と豊富な経験が必要であることから、当センターといたしましては、これらの技術と経験を有する医師2名、臨床工学技師2名、看護師1名での体制を基本として対応することとしております。
③ 次に、感染防護用資機材の支給について、軽症者は宿泊療養施設での療養、入所施設や自宅での療養となり、入所施設等に携わる介護職員は、医療従事者と同等の感染防護の機材や用具が必要となりますが、事業者任せにせず本市として手配・支給する考えはないか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
介護サービス事業所におきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定により、事業者の責務として、その事業の実施に関し、感染防護用資器材の確保も含め、適切な措置を講ずるよう努めなければならないとされておりますが、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の状況下におきましては、マスク等の感染防護用資器材について国内需給状況が逼迫し入手がしにくい状況であったことから、重症化のリスクが高くクラスターが発生し易い高齢者が利用する施設に対し、国、県、さらには市において、不足するマスク、消毒液等の資器材を配布したところであります。
今後におきましては、感染防護用資器材の国内需給状況が改善してきていることなども踏まえ、介護事業所等の防護用資器材購入に対する県の補助制度や、国の優先供給スキームにより消毒液を事業所が直接購入することができる専用サイトを周知するなど、事業者が自ら再度の感染拡大に備えるための適切な措置を講ずるよう促して参りたいと考えております。
なお、市におきましても、再度の感染拡大等により、施設におけるマスク等の備蓄状況が逼迫する状況が発生した場合には、市が備蓄する感染防護用資器材を配布できるよう、必要な準備を進めて参りたいと考えております。
2点目は、エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)への支援について、です。
医療従事者、ライフラインや物流などの機能を守る人、保育や障がい者・高齢者福祉など、生活維持に不可欠な職にあたる、エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)の皆さんに、敬意と感謝の意を表するとともに、その負担を軽減し、いのちと健康を守ることが必要です。
④ まず、エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)への支援の現状について、医療従事者、保育や障がい者・高齢者福祉など、生活維持に不可欠な職にあたる人々の負担軽減のための支援はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
医療従事者等への支援につきましては、国におきましては、医療機関や介護・障害福祉サービス施設等で対象期間に10日以上勤務し、患者や利用者と接するすべての医療従事者や職員に対して、最大20万円の慰労金を給付することとしております。
また、県におきましては、新型コロナウイルスの検査や診療に当たった医療従事者に、1日あたり4千円の特別手当を給付する予定であるほか、介護施設等における施設間での職員相互応援システムを構築することとしております。
さらに、市におきましては、発熱外来の設置、軽症者等宿泊療養施設の県・市による共同運営、新型コロナウイルス感染患者等に対応する医療センターをはじめとした市職員への特殊勤務手当の支給などの支援策を講じるほか、医療従事者への宿泊施設の無料貸し出しや、感染リスクの中で診療等に携わる皆様へ感謝と敬意の気持ちを込めて拍手を送る「クラップ・フォー・ケアラーズ」の実施、マスクや消毒液などの不足する資器材の確保につきましても、医療や介護施設、保育所、学校等のニーズを把握しながら取り組むなど、感染リスクが高い業務に従事される方々などの負担軽減に努めてきたところであります。
⑤ 次に、緊急事態宣言発令中に事業を継続してサービスを提供した、保育や学童クラブなど、こども分野に従事するエッセンシャルワーカーへの慰労金について、医療従事者などに続き、こども分野に従事するエッセンシャルワーカーへの支援も実施すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(こどもみらい部長)
こども分野に従事する保育士等への慰労金につきましては、国においては、子どもの感染リスクや重症化のリスクが必ずしも高いとは言えないことや、給料などに充てられる保育所等への運営費は、登園の自粛により施設利用者が減少しても、医療や介護施設などとは異なり、通常どおり支給されることなどから、支給の対象外にしたと聞き及んでおります。
本市におきましては、これまで、保育所等への感染症対策に係る支援として、手指消毒液やハンドソープ、非接触型体温計などを配付したほか、現在、施設における保健衛生用品の追加購入や消毒作業に要する経費等の補助を行っているところであります。
加えて、保育士等が消毒や清掃等を行った場合の超過勤務手当等に要する経費や、施設の感染防止対策の一環として、日常生活を含め、必要な物品を個人的に購入した場合の費用の補助等について検討しているところであります。
今後につきましても、引き続き、これらの取組みを通して、各施設における感染症対策に係る様々な負担の軽減や保育士等への支援に努めて参りたいと考えております。
3点目は、アーティスト、文化芸術活動への支援について、です。
⑥ まず、アーティストや文化芸術活動への支援について、本市としての支援策はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(特定政策監)
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、文化芸術分野においては、様々な催しが中止や延期となるなど、活動の大幅な縮小を余儀なくされてきたところであり、催しにおける収容人数の制限など、今後の新しい生活様式への対応も踏まえ、大変厳しい状況に置かれているものと認識しております。
本市におきましては、こうした状況の中でも、市民の活動機会を可能な限り支援するため、文化芸術活動における成果発表に対する助成等を例年同様に行うこととしたほか、イベント等における収容人数の制限を踏まえた措置として、いわきアリオスの使用料減免などにも取り組んでいるところであります。
また、市立美術館や草野心平記念文学館など、市の文化施設におきましては、より多くの市民の皆様が豊かな文化芸術に触れ、心身の癒しや潤いを享受できるよう、感染拡大防止対策を徹底しながら、様々な催しを企画しているところであります。
今後におきましても、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、国・県等の動向も注視しながら、市民のニーズを的確に捉え、必要となる支援策について検討して参りたいと考えております。
⑦ 次に、いわきアリオスの施設利用再開に伴う貸出条件について、演劇・音楽等の公演主催の場合、出演側の都合や経済的損害、変更後の会場予約の困難性が指摘されています。いわきアリオスの再開後の貸し出し条件は、規則により申請受付は使用日の2ヶ月前の月です。7月に中劇場使用の事例では、コロナ対策で入場者数が座席数の50%となるため1回では会場に収容しきれず、大ホールに変更できればいいのですが、変更扱いではなく、中劇場のキャンセル、大ホールの新規申し込みとなりますが、新規申込は規則上、9月使用分からのため、この公演は中止の可能性が発生し、損害が出ることになります。今般のような予測不能な事態や緊急時の場合、申請受付が使用日の2ヶ月前の月という条件は、一律適用ではなく、アリオス側の対応が可能な場合には、弾力的に運用することも検討すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(特定政策監)
先ほど御答弁申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により、文化芸術団体は大変厳しい状況に置かれておりますが、このような困難な状況にあっても、活動を継続していこうとする方々を支援するため、いわきアリオスにおきましては、6月19日からの利用再開にあたり、本番発表を目的としたホール等の使用料を100%減免する措置を講じたところであります。
今後は、新型コロナウイルス感染症の影響による申請内容の変更等があった場合には、2か月前の月という申請期限に関わらず、柔軟な対応をするなど、利用者に一層寄り添った施設運営に努めて参りたいと考えております。
「感染の第2・3波」を見据えて、いのちを守る、地域医療・福祉提供体制、検査体制の強化、そして暮らしを守る、国、県、本市独自の生活支援・経済支援の早期実施を要望して、次に移ります。