大きな第二点は、いのちを守る、防災・災害に強いまちづくりについて、です。
令和2年7月豪雨は、7月3日から13日にかけて、九州北部地方に暖かく非常に湿った空気が流れ込み、梅雨前線が活発化して、球磨川流域などに線状降水帯が停滞し、総降水量が1000ミリを超える地域も出て、球磨川などの河川が氾濫し浸水害や土砂災害などの豪雨災害が発生しました。梅雨前線に伴う大雨への警戒はなお続いています。
こうした状況下にあって、昨年の令和元年東日本台風の被害を受けた市民の皆様から、議会報告会その他で、多くのご質問やご意見・ご要望が寄せられています。
1点目は、防災ラジオと避難所について、です。
⑧ まず、防災ラジオの配布拡大について、江名地区など難視聴地域の解消や機器のメンテナンスなど防災ラジオの配布拡大をどう進めるのか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
災害情報等の伝達手段のより一層の充実強化を図る観点から、新たに携帯電話やインターネット等の操作が苦手な方が多いと思われる高齢者をはじめとする避難行動要支援者等を対象に、防災ラジオを無償で貸与することとしており、市公式ホームページや広報いわき等による周知を行いながら、その配布促進に努めてまいりたいと考えております。
また、貸与にあたりましては、無償貸与を受けた方には適正な管理を行っていただきますが、貸与を受けた方の故意によらない故障の場合は、市で修繕を行うなどの機器のメンテナンスを実施することとしております。
なお、FMいわき等の放送エリアにつきましては、中山間地域の一部を除き市内を概ねカバーしておりますが、一部に放送が聞えづらいとの声もありますことから、このような場合におきましては、個別に聞き取りを行い、その原因等について、設置場所によるものかなどを調査し、その結果等を踏まえながら、個別、具体的に対応してまいりたいと考えております。
⑨ 次に、新たな避難所について、平久保町や小名浜上神白地区等、最寄りの学校や地域集会所の指定の要望も踏まえ、コロナ対策に配慮した、新たな避難所の指定はどのようになるか、お尋ねします。
—答弁(危機管理監)
新たな避難所の指定にあたり、まず現在、避難所として指定されていない小中学校につきましては、地域住民の皆様の要望を踏まえるとともに、避難される方の安全を確保する観点から耐震性が確保され、洪水や高潮等による浸水や土砂災害による被災の危険のない施設について、教育委員会等と協議しながら、避難所として指定して参りたいと考えております。
また、地域所有の集会施設等につきましては、分散避難のための有効な施設の一つであると考えられ、また、避難しやすい環境整備を図る観点からも有効でありますことから、現在、各地区の自主防災組織を通じて、避難所として利用可能な施設等の照会を行い、取りまとめを行っているところであります。
今後におきましては、施設の設備や安全性等について確認したうえで、地域が独自に設置・運営する避難所としての開設について調整して参りたいと考えております。
⑩ 次に、障がい者の避難場所について、通い慣れた通所施設等への避難が可能か調査検討する考えはあるか、お尋ねします。
—答弁(保健福祉部長)
障がい者の避難につきましては、障害の状態や特性に応じた支援が必要になるものと認識しておりますことから、障がい福祉に係る課題及び支援体制の充実等について協議する場である市地域自立支援協議会において、令和元年東日本台風時の障がい者の避難状況等を調査し、障がい者支援の視点から、災害対応について検討してきたところであります。
その中で、「通い慣れた通所施設等」についても、新たな避難場所とすることが望ましいとされたことから、今後、障がい者が安心・安全に避難できる体制の構築に向けて、市地域自立支援協議会で検討してきた内容を関係課及び関係機関において共有し、協議して参りたいと考えております。
2点目は、高齢者施設など水防法における要配慮者利用施設について、です。
令和2年7月豪雨により、死者、行方不明者が相次ぎました。熊本県球磨村の特別養護老人ホーム・千寿園では、入居者70人のうち14人が亡くなるという痛ましい事態になりました。
⑪ まず、本市の河川洪水ハザードマップの浸水区域における要配慮者利用施設について、浸水深50cm以上で、高齢者施設はじめ要配慮者利用施設は、改訂版による夏井川・鮫川、従来版による藤原川で、どの程度分布しているか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
水防法における要配慮者利用施設については、グループホームや通所介護事業所などの「社会福祉施設」、幼稚園、小・中・高等学校などの「学校」、及び病院、診療所などの「医療施設」となりますが、洪水浸水想定区域において、浸水深さが50cm以上となる施設数は、本年6月1日時点で、夏井川水系においては、324施設、鮫川水系においては、54施設、藤原川水系においては、8施設となっております。
⑫ 次に、要配慮者利用施設の現状について、避難先や移動の方法、職員配置など避難確保計画の作成と訓練の実施が義務付けられていますが、本市における要配慮者利用施設の避難確保計画の作成及び訓練の実施状況はどうか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
洪水浸水想定区域内の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成と避難訓練につきましては、各施設管理者により実施されるものでありますが、本年6月1日時点における避難確保計画の作成状況につきましては、社会福祉施設は362施設のうち作成済みが127施設で、その作成率は35.1%、学校は59施設のうち38施設で64.4%、医療施設は22施設のうち18施設で81.8%となっており、全体では443施設のうち作成済みが183施設で、その作成率は 41.3%となっております。
また、避難訓練の実施状況につきましては、本年6月1日までに各施設管理者へ聞き取り調査を行ったものとなりますが、避難確保計画を作成済みの施設のうち、避難訓練を実施している施設の割合は、社会福祉施設が約4割、学校は約6割、医療施設では全て実施しており、全体では約5割となっております。
⑬ 次に、今後の対応について、避難確保計画の作成と訓練の実施に関する点検、氾濫の地域への立地規制、「垂直避難」のための2階以上の部分の整備、施設移転への公的支援など、本市として、今後どう対応するのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
要配慮者利用施設に対する今後の市の対応につきましては、河川の氾濫が発生した場合においても命を守り被害を最小限に止めることを最重点とし、まずは、これら対象施設の避難確保計画の作成が推進されるよう、県市の関係部署が連携し積極的に支援するとともに、計画に基づく避難訓練が実施され、有効性のある訓練となるよう、支援して参りたいと考えております。
また、浸水区域における土地利用や要配慮者利用施設の改修などの支援につきましては、近年の頻発化、激甚化する水災害を踏まえ、国全体で取り組まなければならない大きな課題であると認識しており、国の動向を注視するとともに、被災自治体と情報共有を図りながら、適切な対応がとれるよう取り組んで参りたいと考えております。
3点目は、河川、林道、水道施設の災害復旧等について、です。
昨年の令和元年東日本台風の被害に関わり、河川、林道、水道施設の災害復旧等の現状と今後の見通しです。
⑭ まず、夏井川・好間川の災害復旧、河川改良に関する住民説明について、現状と見通しを流域の被災住民等に説明する説明会はいつ開催されるのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
夏井川・好間川の改良復旧事業に関する住民説明につきましては、県は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、まずは、地区の代表者へ説明することとし、本年3月に平平窪地区振興委員会へ、去る7月9日に小川町区長会へ、夏井川の整備内容と今後の進め方などについて説明したところであります。
また、地区住民の方々に対しましては、新型コロナウイルス感染症の影響による全国的な緊急事態宣言や、本市の感染防止一斉行動の実施を踏まえ、事業概要について、速やかにお知らせする必要があったことから、本年4月にチラシでの回覧を行ったものであります。
今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を見極めると共に、感染防止に必要な対策を講じた上で、引き続き、平窪・小川地区以外の沿川地区の代表者への説明会を開催することとし、住民の皆様に対しましても、状況を見極めながら判断することとしております。
⑮ 次に、新川の河川改良について、コンクリート護岸改修、立木伐採、河道掘削など今後の見通しはどうか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
新川の災害復旧等につきましては、県によりますと、平字菱川町付近のコンクリート護岸の亀裂や破損箇所については、昨年度中に補修が完了し、また、内郷御厩町字長町地内の越水箇所については、本年6月までに復旧工事が完了したところであります。
また、洪水時の河川水位の低下を図るための河道掘削や樹木伐採につきましては、優先度の高い箇所から進めることとし、本年6月末時点で、菱川橋付近の樹木伐採の工事が契約となり、現在、着工の準備を進めているところであり、今後につきましても、河道掘削や樹木伐採について順次進める考えであると伺っております。
⑯ 次に、鮫川の災害復旧・改良について、遠野町滝地区など越水した堤体の嵩上げや補強などの見通しはどうか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
鮫川において、令和元年東日本台風により決壊した遠野町滝地内の復旧状況につきましては、県によりますと、本年6月中旬までに築堤が完了し、粘り強い構造とする堤体補強として、現在、川表及び川裏の護岸工を進めており、今年度末の完成を目指しているとのことであります。
また、同地区の越水箇所につきましては、今後、河道掘削を進め、早期に流下能力の向上を図るとともに、堤防の嵩上げについても計画していると伺っております。
⑰ 次に、令和元年東日本台風による被害林道の未復旧区間の見通しについて、母成林道など中山間地域における被害林道の早期開通を求める声が寄せられていますが、復旧工事の見通しはどうか、お尋致します。
—答弁(農林水産部長)
令和元年東日本台風により、市内林道286路線のうち中山間地域を中心に112路線、381箇所において路面洗堀や路肩崩落等の被害が確認され、このうち、路面洗堀など被害が比較的小規模な99路線、365箇所につきましては、市の単独災害復旧事業により、生活道路や林業の施業に大きな影響を及ぼすなど、緊急性の高い箇所から順次着手し、本年6月末時点で34路線、124箇所、箇所ベースで全体の約33%が完了しております。
また、未完了となっている市の単独災害復旧箇所につきましては、年内には復旧が完了する見込みとなっております。
なお、母成林道など比較的大規模な被害を受けた13路線、16箇所につきましては、公共災害復旧事業として、国の災害査定終了後、速やかに測量設計業務を発注し、本年5月末までに設計を完了したところであり、現在、工事発注に先立って必要となる国県との詳細な協議を重ねており、本年8月以降順次発注し、今年度末の工事完了を目指して参りたいと考えております。
⑱ 次に、水道施設の災害復旧について、浄水施設ならびに排水施設の災害復旧状況はどうか、お尋ねします。
—答弁(水道局長)
平浄水場をはじめ浄水施設の復旧作業は、前年度に28件の工事等を発注し、うち26件が年度内に竣工しており、平浄水場の送水ポンプ設備工事と下平窪取水場の受変電・計装設備工事については、今年度内に竣工する見込みとなっております。
次に、配水施設については、平窪第2ポンプ場と草木台配水池の復旧作業が前年度内に竣工しており、大久町配水管においては、本年3月までに、県道折木・筒木原・久之浜線の歩道及び上流側の中里橋に配水仮設管を設置し、給水の確保を図ったところであります。
今後は、市道橋「弥宜内橋」災害復旧工事の進捗と整合を図りながら、配水添架管設置等の本復旧を実施していく予定としております。
⑲ 次に、平浄水場等浄水施設の浸水対策について、恒久的対策はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(水道局長)
浄水施設の浸水対策については、その効果、工法、経済性等の検討を行うため、今年度に実施する、「浄水場浸水災害対策基本設計」を踏まえ、その後、詳細設計、工事等を計画的に実施し、被災施設の総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。
また、平浄水場では、本年3月までに施設外周のフェンス内側に大型土のうを2段、高さ約1.6mを積み、応急的な浸水対策を実施したところであります。
昨年の令和元年東日本台風の被害を受け、今般の令和2年7月豪雨災害を目の当たりにした市民の皆様は、いわき市は大丈夫かと心配しています。
令和元年東日本台風の被害を受けた河川、林道、水道施設等の復旧と改良を進めるとともに、避難所の整備、高齢者施設はじめ要配慮者利用施設の避難確保計画の作成と訓練実施の点検を進め、本市として必要な支援を要望して次に移ります。